商品説明
日本サブカルチャーと危機 ― 死と恐怖の表象史
押野武志・横濱雄二・諸岡卓真・高橋啓太・井上貴翔 編著
定価:3,960円(本体価格3,600円+税)
判型:四六 並製
頁数:264
ISBN:978-4-8329-3420-7
Cコード:C1095
発行日:2025-03-31
●本書の特徴
ミステリ、ゲーム、映画、アニメ、マンガなどにおいて、第二次世界大戦や東日本大震災などの実際に起きた「危機」、あるいは物語上のクローズドサークルや世界の終わりなどの架空の「危機」はどう扱われ、描かれてきたのか。危機表象についてのジャンル横断評論集。
●目次
まえがき………諸岡卓真
〔Ⅰ 危機の時代のミステリ:災害・狂気・戦争・閉鎖空間〕
転位/回避される〈危機〉:江戸川乱歩と海野十三における関東大震災の影………井上貴翔
神経衰弱と〈探偵小説〉:小酒井不木「懐疑狂時代」論………鈴木優作
衛生とミステリ:〈浴室の死体〉というモチーフ………小松史生子
“捏造”された市と戦災:松本清張『砂の器』を読み直す………高橋啓太
災害/原発ミステリの諸相:関東大震災から東日本大震災まで………押野武志
信頼する犯人:今村昌弘『兇人邸の殺人』論………諸岡卓真
〔Ⅱ 世界のエッジ:危機表象のフロンティア〕
ビデオゲームにおける(危機の)表象:『ダークソウル』を例として………榊 祐一
「決定」をやりなおす:黒沢清『回路』について………川崎公平
描かれる他者、描かれない他者:「火垂るの墓」論………横濱雄二
セカイ系と「危機」の平成史:言説と表象の変遷で辿る30年………渡邉大輔
災厄の記憶と、その歪み:東日本大震災後のアニメーションと純文学を例に………藤田直哉
はっきりしない危機表象:森泉岳土の諸作について………阿部嘉昭
あとがき………押野武志
執筆者紹介
関連年表
●執筆者紹介
阿部 嘉昭(あべ かしょう)
1958年、東京都生まれ。
北海道大学名誉教授、京都情報大学院大学教授。専攻は映画、サブカルチャー、詩歌論。
著書に『マンガは動く』(2008年、泉書房)、『黒沢清、映画のアレゴリー』(2019年、幻戯書房)、『てのひらのつづき』(詩誌『フラジャイル』別冊、2024年)など。
井上 貴翔(いのうえ きしょう)
1981年、大阪府生まれ。
北海道医療大学講師。専攻は、日本近現代文学・文化。
共著に『日本探偵小説を知る』(2018年、北海道大学出版会)、論文に、「「論理」と「科学」の分離」(『層』2023年3月)など。
押野 武志(おしの たけし)
1965年、山形県生まれ。
北海道大学教授。専攻は日本近代文学。
著書に『童貞としての宮沢賢治』(2003年、筑摩書房)、『文学の権能』(2009年、翰林書房)、編著に『日本サブカルチャーを読む』(2015年、北海道大学出版会)など。
川崎 公平(かわさき こうへい)
1979年、北海道生まれ。
北海道大学准教授。専攻は、映像論、日本映画研究。
著書に『黒沢清と〈断続〉の映画』(2014年、水声社)、共編著に『川島雄三は二度生まれる』(2018年、水声社)、共著に『リメイク映画の創造力』(2017年、水声社)、『映画と文学交響する想像力』(森話社、2016年)など。
小松 史生子(こまつ しょうこ)
1972年、東京都生まれ。
早稲田大学教授。専攻は日本近代文学・文化。
著書に『探偵小説のペルソナ』(2015年、双文社出版)、共編著に『〈怪異〉とナショナリズム』(2021年、青弓社)、『〈怪異〉とミステリ』(2022年、青弓社)など。
榊 祐一(さかき ゆういち)
1968年、福岡県生まれ。
台湾・南臺科技大學助理教授。専門は日本近代文学・文化、現代日本ポピュラーカルチャー(主にビデオゲーム)。
共著に『ヴィジュアル・クリティシズム』(2008年、玉川大学出版会)、『日本サブカルチャーを読む』(2015年、北海道大学出版会)、『日本學指南』(2023年、五南)。論文に「日本におけるサブカルチャーをめぐる語りの諸類型」(『層』2018年2月)、「台湾妖怪ブームにおける台湾/妖怪の表象」(『多元文化交流』2020年6月)、「明治二十年代前半の和歌改良論の再検討」(『日本近代文学会北海道支部会報』2021年5月)など。
鈴木 優作(すずき・ゆうさく)
神奈川県生まれ。
鹿児島大学特任助教。専攻は日本近代文学。
著書に『探偵小説と〈狂気〉』(2021年、国書刊行会)、共編著に『〈怪異〉とミステリ』(2022年、青弓社)、論文に「狂気の価値」(『日本文学』2022年12月)、「ミステリにおける奇書の再考」(『ユリイカ』2023年7月)など。
高橋 啓太(たかはし けいた)
1977年、北海道生まれ。
花園大学准教授。専攻は日本近現代文学。
著書に『「文学」の倫理と背理』(2017年、中川書店)、共著に『日本探偵小説を読む』(2013年、北海道大学出版会)、論文に「戦後の鞍山を描く」(『花園大学文学部研究紀要』2023年3月)など。
藤田 直哉(ふじた なおや)
1983年、札幌市生まれ。
批評家、日本映画大学准教授。
著書に『虚構内存在』(2013年、作品社)、『新世紀ゾンビ論』(2017年、筑摩書房)、『攻殻機動隊論』(2021年、作品社)、『シン・エヴァンゲリオン論』(2021年、河出書房新社)、『ゲームが教える世界の論点』(2023年、集英社)、『現代ネット政治=文化論』(2024年、作品社)など。
諸岡 卓真(もろおか たくま)
1977年、福島県生まれ。
北星学園大学教授。専攻は日本近現代文学(主にミステリ)。
著書に『現代本格ミステリの研究』(2010年、北海道大学出版会)、共編著に『日本探偵小説を読む』(2013年、北海道大学出版会)、共著に『本格ミステリの本流』(2020年、南雲堂)、『〈怪異〉とミステリ』(2022年、青弓社)など。
横濱 雄二(よこはま ゆうじ)
1972年、北海道生まれ。
甲南女子大学教授。専攻は日本近現代文学、映像文化。
共著に『ジブリ・アニメーションの文化学』(2022年、七月社)、共編著に『地域×アニメ』(2019年、成山堂書店)、『日本探偵小説を知る』(2018年、北海道大学出版会)など。
渡邉 大輔(わたなべ だいすけ) *邉は一点しんにょうが正しい
1982年、栃木県生まれ。
跡見学園女子大学准教授。専攻は日本映画史、映像文化論、メディア論。
著書に『イメージの進行形』(2012年、人文書院)、『明るい映画、暗い映画』(2021年、blueprint)、『新映画論』(2022年、ゲンロン)、『謎解きはどこにある』(2023年、南雲堂)、共著に『日本探偵小説を知る』(2018年、北海道大学出版会)など。
(本書刊行時の情報です)
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