商品説明
講座 サニテーション学 4
サニテーションと健康
原田英典・山内太郎 編著
定価:4,180円(本体価格3,800円+税)
判型:A5 並製
頁数:230
ISBN:978-4-8329-2954-8
Cコード:C3336
発行日:2023-03-31
●本書の特徴
SDGs目標6「安全な水とトイレを世界中に(すべての人々に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する)」で取り扱われるサニテーションと,その重要なターゲットの一つである“健康”。本書はサニテーションや国際開発に興味を持つ読者に向け,サニテーションが及ぼす健康影響を個人の身体および精神・心理的側面から社会的側面まで立体的に描き出すことで,人が暮らす場の質の改善を通じて間接的・公共的に健康を実現する方策について提示する。
■講座 サニテーション学(全5巻)
〈第1巻〉総論 サニテーション学の構築
山内太郎・中尾世治・原田英典編著/198頁・定価3520円(本体3200円+税)
〈第2巻〉社会・文化からみたサニテーション
中尾世治・牛島 健編著/256頁・定価4400円(本体4000円+税)
〈第3巻〉サニテーションが生み出す物質的・経済的価値
藤原 拓・池見真由編著/222頁・定価3850円(本体3500円+税)
〈第4巻〉サニテーションと健康
原田英典・山内太郎編著/230頁・定価4180円(本体3800円+税)
〈第5巻〉サニテーションのしくみと共創
清水貴夫・牛島 健・池見真由・林 耕次編著/412頁・定価4620円(本体4200円+税)
●目次
本講座の刊行によせて
序 章 サニテーションの健康における意味・意義………原田英典
1 サニテーションの目的
2 サニテーションと健康とは
3 本書の構成
〔第1部 サニテーションに関わる健康影響〕
第1章 し尿由来の病原性微生物と感染症………三島伸介
はじめに
1 水系感染症
2 微生物がヒトにもたらす光と影
3 感染症を予防する基本的な対策
4 し尿由来の病原微生物
5 熱帯・亜熱帯地方をフィールド地とする人へ
まとめ
第2章 サニテーションと身体的健康………山内太郎・佐井 旭
はじめに
1 直接的な影響:感染症,下痢症,寄生虫感染
2 二次的影響:栄養状態,認知機能,その他
3 長期的,広範囲の影響
4 不適切なサニテーションと障害調整生命年(DALY)
5 サニテーション・サービスチェーンと健康
まとめ
第3章 サニテーションと下痢………中澤 港
1 健康問題としての下痢
2 19世紀ロンドンのコレラと21世紀ダルーのコレラ
3 死の病としての赤痢
4 塩素殺菌が無効なクリプトスポリジウム症
5 水源改良の副作用としての健康障害
6 下痢の影響:乳幼児死亡から長期的な低栄養へ
7 ロタウイルスやノロウイルスの問題
8 腸内細菌叢との関係
9 まとめと下痢対策の将来
第4章 サニテーションと精神的健康………佐井 旭・山内太郎
はじめに
1 サニテーションが及ぼす精神的健康と社会的健康への影響
2 サニテーション・ワーカーと尊厳
まとめ
コラム① 月経は可視化されているのか………杉田映理
1 沈黙を破れ!
2 生理用品の普及による月経の不可視化
3 自分自身にとっての不可視化
4 月経の不/可視化の先にあるもの
〔第2部 サニテーションによる健康管理〕
第5章 サニテーションによる感染症制御の役割とリスクの移転………原田英典
はじめに
1 サニテーションと感染症の制御
2 サニテーションによる感染症制御の効果
3 サニテーション・システムによる健康リスクの制御と社会的配分
4 資源利用型サニテーションと健康
まとめ
コラム② 指標としての大腸菌の意味とその定量方法………五味良太
1 大腸菌と大腸菌群
2 病原性大腸菌
3 薬剤耐性大腸菌
第6章 下痢のリスクマネジメント………大石若菜・佐野大輔
はじめに
1 目標とする許容リスクをどうするか
2 リスク評価
3 リスク管理
4 展 望
まとめ
コラム③ どこまでリスクを許容する?………浅田安廣
1 リスクとは何か?
2 飲料水分野での許容リスク
第7 章 サニテーションをとりまく非常時の生活………神原咲子
1 日本における災害対応の変遷
2 健康危機管理と災害対策
3 災害リスク削減のためのケア
4 サニテーションの重要性,日本における個人の対応
5 非常時の生活環境の変化
6 プライマリヘルスケアの見直し
7 ニーズの多様性 福祉避難所の課題から包摂性へ
8 今後考えるべき避難場所・避難所のしつらえの例
9 国外の災害の例 2004年スマトラ沖地震・津波
10 事例 仮設トイレ等マッピング:西日本豪雨の事例から
11 これからの気候変動への適応と災害に向けて必要な対策
技術集 下痢のリスクマネジメントのためのし尿処理技術………大石若菜・佐野大輔
1 一次処理
2 二次処理
終 章 将来のサニテーションと健康………山内太郎
はじめに
1 世界のサニテーションの将来像
2 サニテーション・トライアングル・モデルと本書の構成
3 さらにサニテーションと健康を考えるために:重要課題,研究ニーズ
おわりに:コミュニティの視点と技術イノベーション
索 引
執筆者紹介
●著者紹介
原田 英典(ハラダ ヒデノリ)
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 准教授
専門:環境工学
山内 太郎(ヤマウチ タロウ)
北海道大学大学院保健科学研究院 教授
専門:人類生態学,国際保健学,栄養人類学
三島 伸介(ミシマ ノブユキ)
関西医科大学総合医療センター 感染制御部 部長
専門:渡航医学,熱帯医学,感染制御学
佐井 旭(サイ アキラ)
北海道大学国際連携研究教育局先住民・文化的多様性研究グローバルステーション/
北海道大学アイヌ・先住民研究センター 助教
専門:健康心理学,人類生態学,地域研究
中澤 港(ナカザワ ミナト)
神戸大学大学院保健学研究科/国際協力研究科 教授
専門:人類生態学,人口学,国際保健学
杉田 映理(スギタ エリ)
大阪大学大学院人間科学研究科 教授
専門:開発人類学,国際協力学
五味 良太(ゴミ リョウタ)
京都大学大学院工学研究科 助教
専門:環境工学,環境微生物学
大石 若菜(オオイシ ワカナ)
東北大学大学院工学研究科 助教
専門:衛生工学
佐野 大輔(サノ ダイスケ)
東北大学大学院工学研究科 教授
専門:土木環境工学,公衆衛生微生物学
浅田 安廣(アサダ ヤスヒロ)
国立保健医療科学院生活環境研究部 主任研究官
専門:水道工学,環境微生物学
神原 咲子(カンバラ サキコ)
神戸市看護大学看護学部 教授
専門:災害看護学,公衆衛生学,国際保健学
(本書刊行時の情報です)