商品説明
講座 サニテーション学 3
サニテーションが生み出す物質的・経済的価値
藤原 拓・池見真由 編著
定価:3,850円(本体価格3,500円+税)
判型:A5 並製
頁数:222
ISBN:978-4-8329-2953-1
Cコード:C3336
発行日:2023-03-31
●本書の特徴
すべての人々に対して,水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保することを目指すSDGs目標6。国際的な連携協力によって,革新的かつ変革的なアイディアを迅速に開発・展開する国際社会の支援が重要となる一方、日本においては、世界有数の人口減少・高齢化社会の中で「誰一人取り残さない汚水処理」を実現するために,汚水処理コストの大幅な削減と共に、処理施設が「マイナスからプラスを生む施設」へ進化し、汚水処理そのものが価値を生むシステムとなる必要がある。持続可能な社会の実現へ向け、経済,社会,環境の各種側面から,また技術の観点から,価値を生むサニテーションシステムについて論じる。
■講座 サニテーション学(全5巻)
〈第1巻〉総論 サニテーション学の構築
山内太郎・中尾世治・原田英典編著/198頁・定価3520円(本体3200円+税)
〈第2巻〉社会・文化からみたサニテーション
中尾世治・牛島 健編著/256頁・定価4400円(本体4000円+税)
〈第3巻〉サニテーションが生み出す物質的・経済的価値
藤原 拓・池見真由編著/222頁・定価3850円(本体3500円+税)
〈第4巻〉サニテーションと健康
原田英典・山内太郎編著/230頁・定価4180円(本体3800円+税)
〈第5巻〉サニテーションのしくみと共創
清水貴夫・牛島 健・池見真由・林 耕次編著/412頁・定価4620円(本体4200円+税)
●目次
本講座の刊行によせて
〔第1部 サニテーションの現状と課題〕
第1章 価値を生むサニテーションシステムの必要性………藤原 拓
1 持続可能な開発目標(SDGs)
2 SDGs 目標6 の進捗状況と日本の取組
3 SDGs 目標6 を世界で加速させる枠組
4 日本におけるサニテーションの現状と課題
5 価値を生む持続可能なサニテーションへの転換の重要性
第2章 サニテーションと人びとの暮らし………池見真由・牛島健・Neni Sintawardani
1 背景と目的
2 都市スラム住民の属性と経済
3 サニテーション・ワーカーの仕事と収入
4 考察と提言
〔第2部 サニテーションの価値を評価する〕
第3章 サニテーションと地域の物質循環の解析………原田英典
はじめに
1 マテリアルフロー解析とは
2 マテリアルフロー解析の事例─し尿利用地域の物質循環
3 マテリアルフロー解析の課題および簡便化・不確実性管理
まとめ
第4章 下水道の経営理論と収支分析………加藤裕之
はじめに
1 集合処理と個別処理の区分けの考え方
2 下水道法の目的及び経費負担原則
3 下水道事業における「お金」の流れの概要
4 下水道使用料について
5 下水道事業の財政状況
6 人口減少下における経営改善のために必要となる政策
おわりに
第5章 環境への排出による水質汚染と失われる価値………佐野大輔
はじめに
1 感染性胃腸炎による損失DALYpppyとGDP,飲料水へのアクセス可能人口比率,及びサニテーションへのアクセス可能人口比率の関係
2 感染性胃腸炎による損失DALYpppyを説明する因子
3 サニテーションの経済価値
おわりに
コラム 障害調整生命年………佐野大輔
〔第3部 サニテーションの物質的・経済的価値を高める技術とシステムの事例〕
第6章 し尿・汚水から価値を生む技術の考え方………牛島 健
はじめに
1 し尿・汚水から実際に価値を生みだすために考えるべきポイント
2 志向する価値とその価値を高めるための技術
3 価値創出プロセス全体における技術の考え方:まとめに代えて
第7章 バンドンでのサニテーションから経済的価値を生み出す挑戦………牛島 健
はじめに
1 想定するサニテーションのしくみの概要
2 経済的価値を生み出すための基本的な考え方
3 どこで価値を生み出すか
まとめと今後の課題
第8章 岩見沢市における下水汚泥肥料利用の事業評価………赤尾聡史
1 下水汚泥肥料利用の背景と概要
2 下水汚泥肥料利用が地域へ与える経済効果:産業連関分析
3 産業連関表
4 産業連関分析
5 新規産業部門の追加:拡張産業連関表
6 岩見沢市における下水汚泥肥料利用事業の経済効果を測る
7 さいごに
〔第4部 価値を生み持続可能な社会に貢献するサニテーションとは〕
第9章 サニテーションの技術水準上昇と受容する社会の変容への対応………楠田哲也
1 サニテーションの様相
2 サニテーションの社会における受容
3 サニテーションの価値連鎖化
第10章 持続可能な社会に接続できるサニテーションの技術………楠田哲也
1 持続可能な社会
2 持続型社会の要件
3 技術の本質
4 持続性のあるサニテーション技術
5 サニテーション技術の事例
第11章 物質的・経済的価値に重きを置いたサニテーション………船水尚行
1 現在のサニテーションが抱える課題
2 価値を生み出すサニテーション
3 サニテーションとフューチャーデザイン
技術集① 水質分析技術………佐野大輔
1 衛生学的水質指標分析手法の種類
2 衛生学的水質指標分析手法の概要
技術集② 汚水処理技術………赤尾聡史
1 汚水処理概要
2 物理化学処理法
3 生物処理法
4 汚泥処理
技術集③ 消毒技術………佐野大輔
1 汚水処理水の消毒技術
2 汚水由来固形物の消毒技術
索 引
執筆者紹介
●著者紹介
藤原 拓(フジワラ タク)
京都大学大学院工学研究科 教授
専門:水環境工学,下水道工学
池見 真由(イケミ マユ)
札幌国際大学観光学部 准教授
専門:開発経済学,参加型開発論,地域研究
牛島 健(ウシジマ ケン)
北海道立総合研究機構北方建築総合研究所 研究主幹
専門:地域計画,社会システムデザイン
Sintawardani, Neni(シンタワルダニ,ネニ)
国立研究革新庁(BRIN,インドネシア)上級研究員
専門分野:環境工学
原田 英典(ハラダ ヒデノリ)
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 准教授
専門:環境工学
加藤 裕之(カトウ ヒロユキ)
東京大学大学院都市工学専攻 特任准教授
専門:下水道政策,下水道資源利用,上下水道の官民連携
佐野 大輔(サノ ダイスケ)
東北大学大学院工学研究科 教授
専門:土木環境工学,公衆衛生微生物学
赤尾 聡史(アカオ サトシ)
同志社大学理工学部 教授
専門:環境工学
楠田 哲也(クスダ テツヤ)
広島大学客員教授,九州大学名誉教授
専門:環境システム学,下水道工学
船水 尚行(フナミズ ナオユキ)
室蘭工業大学理事・副学長,北海道大学名誉教授
専門:衛生工学
(本書刊行時の情報です)