商品説明
講座 サニテーション学 2
社会・文化からみたサニテーション
中尾世治・牛島 健 編著
定価:4,400円(本体価格4,000円+税)
判型:A5 並製
頁数:256
ISBN:978-4-8329-2952-4
Cコード:C3336
発行日:2023-03-31
●本書の特徴
人類の社会と文化にとって,何らかの「取り除かれるべきもの」を除去し,「場をきれいに保つ」こととはどのようなものであるのか。
第1部では、「取り除かれるべきもの」=「きたない」ものとし,「きれい」と「きたない」という対概念を出発点に,日本列島の歴史などを事例としつつ,この対概念をめぐる理論的な問題を明らかにしていく。
第2部では,「取り除く」仕組みとそこで働く人々に焦点をあてる。彼ら・彼女らこそが,現場を担い「きれい」を実現する仕組みの主人公であり,そこからみえる世界とそれぞれの地域の社会と文化のなかでの具体的な問題が明らかにされる。
■講座 サニテーション学(全5巻)
〈第1巻〉総論 サニテーション学の構築
山内太郎・中尾世治・原田英典編著/198頁・定価3520円(本体3200円+税)
〈第2巻〉社会・文化からみたサニテーション
中尾世治・牛島 健編著/256頁・定価4400円(本体4000円+税)
〈第3巻〉サニテーションが生み出す物質的・経済的価値
藤原 拓・池見真由編著/222頁・定価3850円(本体3500円+税)
〈第4巻〉サニテーションと健康
原田英典・山内太郎編著/230頁・定価4180円(本体3800円+税)
〈第5巻〉サニテーションのしくみと共創
清水貴夫・牛島 健・池見真由・林 耕次編著/412頁・定価4620円(本体4200円+税)
●目次
本講座の刊行によせて
序 章 人類の社会・文化にとってサニテーションとは何か………中尾世治
はじめに
1 排泄・排泄物・トイレに関連する文化と歴史
2 本巻の立場:サニテーションを正面から捉え,実践や理工学との対話を目指す
3 本巻の構成
〔第1部 サニテーションの歴史と社会〕
第1章 「きれい」と「きたない」という対の概念――その普遍と個別………中尾世治
はじめに
1 生活の秩序と感情に結びついた「きれい」と「きたない」
2 文化による差異:「きれい」と「きたない」の線引きの基準
3 「きたない」の拡張・強化・複合化:宗教的な言説との重ねあわせとしての不浄
4 「きたない」と不浄:し尿の位置づけの文化ごとの差異
結論
第2章 感染呪術と浄化――「きたない」ものを日常に取り込むということ………中尾世治
はじめに
1 死の「穢れ」:感染,非日常,予防,浄化
2 感染呪術とその現在
3 再生水の飲用利用と浄化:日常に組み込むための試み
結論
第3章 衛生の思想と歴史――集団としての健康………中尾世治
はじめに
1 養生から衛生へ:衛生の翻訳と「誤解」
2 衛生の思想:「国民一般の健康保護」のための警察と地方自治
3 明治時代のコレラ:隔離と排除
4 大正・昭和時代の住血吸虫症:生業・生活・環境の長期の変容
結論
〔第2部 サニテーションを担う人びと〕
第4章 サニテーション・ワーカーの経験と知識から学ぶ――ブルキナファソの地方都市における汲み取り業者について………中尾世治
はじめに
1 サニテーション・ワーカーの「発見」とグローバル・スタンダード
2 ブルキナファソにおけるサニテーション改善の状況と汲み取り
3 コングシ市内の汲み取り
4 汲み取りの仕事についての工夫と試行錯誤
結 論
コラム① 排泄後に水で洗い流す文化と今日の日本のトイレ………牛島 健
第5章 サニテーション労働とカースト――インドの事例から………増木優衣
はじめに
1 インドのサニテーションワーカーと「カースト」
2 インドのサニテーション状況
3 清掃人カーストの労働と社会経済的問題
4 サニテーションの拡大と清掃人カーストをめぐる新たな課題
コラム② ブルキナファソのNGO………清水貴夫
1 NGOとブルキナファソ
2 存在感を増すブルキナファソにおけるNGO
3 ブルキナファソにおけるNGOの位置づけ─支援ビジネス化
4 変化するNGOの運営
コラム③ イスラームにおける清浄と不浄………法貴 遊
第6章 汚れた仕事――サニテーション・ワーカーを事例に………佐井 旭
はじめに
1 「汚い仕事」とそれに従事する人々
2 「汚い」に対する対処方法
おわりに
コラム④ 適切な月経衛生対処(MHM)に影響を及ぼす要因――経済,衛生,社会文化の観点から………佐藤寿実・佐井 旭・山内太郎
はじめに
1 MHMに影響を与える要因
2 生理用品の処理とサニテーション
コラム⑤ 狩猟採集民のサニテーション………林 耕次
はじめに
1 バカ・ピグミーのサニテーション
2 サニテーションをめぐる近年の動向
3 社会と文化からどのようにみるか
おわりに
終 章 社会・文化にとってのサニテーションの意味を問う………牛島 健
はじめに
1 社会・文化をどうとらえるか
2 サニテーションを社会・文化の土壌に植えこむ
3 講座サニテーション学第2巻を振り返る
おわりに
索 引
執筆者紹介
●著者紹介
中尾 世治(ナカオ セイジ)
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 助教
専門:歴史人類学,アフリカ史研究
牛島 健(ウシジマ ケン)
北海道立総合研究機構北方建築総合研究所 研究主幹
専門:地域計画,社会システムデザイン
増木 優衣(マスキ ユイ)
日本学術振興会特別研究員(PD)
専門:文化人類学,南アジア地域研究
清水 貴夫(シミズ タカオ)
京都精華大学国際文化学部 准教授/総合地球環境学研究所 客員准教授
専門:文化人類学
法貴 遊(ホウキ ユウ)
京都大学大学院文学研究科 連携研究者
専門:カイロ・ゲニザ,ユダヤ思想,イスラーム思想
佐井 旭(サイ アキラ)
北海道大学国際連携研究教育局先住民・文化的多様性研究グローバルステーション/北海道大学アイヌ・先住民研究センター 助教
専門:健康心理学,人類生態学,地域研究
佐藤 寿実(サトウ コトミ)
北海道大学大学院保健科学院 大学院生
専門:看護学,国際保健学
山内 太郎(ヤマウチ タロウ)
北海道大学大学院保健科学研究院/総合地球環境学研究所 教授
専門:人類生態学,国際保健学,栄養人類学
林 耕次(ハヤシ コウジ)
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 研究員
専門:生態人類学,地域研究
(本書刊行時の情報です)