商品説明
細田 典明編著
判型: 四六 並製
頁数: 280
ISBN: 978-4-8329-3387-3
Cコード: C1039
発行日: 2015-03-31
●本書の特徴
ブッダとイエスの旅、中世ヨーロッパの旅と時間の概念、イランの王様のヨーロッパ旅行、万里の長城と日本人、日本や外国の漂流民の旅、国際移民など、地域と時代を越えた旅の世界に出かけましょう。各執筆者が楽しい話題でガイドします。
●目次
はじめに
第1章 出家と自己の探求——ブッダ最後の旅………細田典明
はじめに
1 人生の目的と生活期
2 出家と遍歴——『ブリハッド・アーラニヤカ・ウパニシャッド』に見る「出家」の表明
3 ブッダの出家と説法の旅
4 自己の探究と旅
第2章 聖書と旅………佐々木 啓
はじめに
1 旧約聖書と新約聖書
2 旧約聖書における旅
3 新約聖書における旅
4 聖書外典・偽典における旅
結論にかえて
第3章 イランの王さま、ヨーロッパへ行く………守川知子
1 ガージャール朝君主ナーセロッディーン・シャーとその時代
2 ナーセロッディーン・シャーの第一回ヨーロッパ旅行
3 イランの王さまの見たヨーロッパ
4 ヨーロッパの見た「ペルシアの王さま」
5 旅を終えて
第4章 郵便と旅行——近世ドイツにおけるコミュニケーション革命………山本文彦
1 中世ヨーロッパの旅
2 「郵便の発見」
3 郵便路線の旅
4 時間・空間意識の変化
おわりに
第5章 万里の長城を見に行った日本人………武田雅哉
1 万里の長城は月から見えるの?
2 最初に長城を見た日本人?
3 長城を見に行った日本人
4 満洲国と長城
5 感傷の長城
6 長城以東の〈ユートピア〉
7 オトナリに行けば、まだまだ「見える」らしい?
8 日本人は長城を見たのか?
第6章 八重山に漂流した朝鮮人たち——彼らはなぜ、どのようにして朝鮮へ送還されたのか?
………………橋本 雄
はじめに
1 琉球列島への朝鮮人漂流民と済州島
2 一四七七年済州島人漂流民金非衣らの送還ルート
3 漂流民の見た琉球社会
4 済州島人漂流民はなぜ送還されたのか?
5 琉球—朝鮮間を往来する博多商人
おわりに
第7章 江戸時代漂流民と「安南国王」阮福映——漂流記から読み解くベトナム史………吉開将人
はじめに
1 大乗丸漂流に関する諸史料
2 漂流から帰還まで
3 漂流記の記述と「安南」「国王」問題
4 「景興」年号
5 「景興」「安南」「国王」問題
6 宗主国清朝の文書史料
7 阮福映の黎朝正統観
8 漂流民と阮福映の外交
おわりに
第8章 国境を越える旅の社会学………樽本英樹
1 国際移民という「旅」
2 国際移民による社会の変容と「交流」
3 国際移民への対処
4 国際移民という「旅」と「交流」のこれから
おわりに
執筆者紹介
●著者紹介
細田 典明
1957年生、北海道大学大学院文学研究科博士課程中退。
現在、北海道大学大学院文学研究科・教授(宗教学インド哲学講座)。
論文に“The simile of the leech(jalāyukā) as samsārin,”(Three mountains and seven rivers, Motilal Banarsidass Publishers, 2004)、「『雑阿含』道品念處相応」(『インド哲学仏教学論集』第2号、2014年)。
佐々木 啓
1959年生、北海道大学大学院文学研究科博士課程中退。
現在、北海道大学大学院文学研究科・教授(宗教学インド哲学講座)。
共著に『聖と俗の交錯』(北海道大学図書刊行会、1993年)、『面白いほどよくわかるキリスト教』日本文芸社、2008年)。
守川 知子
1972年生、京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定退学、博士(文学)。
現在、北海道大学大学院文学研究科・准教授(東洋史学講座)。
単著に『シーア派聖地参詣の研究』(京都大学学術出版会、2007年)、論文に「地中海を旅した二人の改宗者││イラン人カトリック信徒とアルメニア人シーア派ムスリム」(長谷部史彦編『地中海世界の旅人』慶應義塾大学言語文化研究所、2014年)、「サファヴィー朝の対シャム使節とインド洋:『スレイマーンの船』の世界」(『史朋』第46号、2013年)。
山本 文彦
1961年生、東北大学大学院文学研究科博士課程後期修了、博士(文学)。
現在、北海道大学大学院文学研究科・教授(西洋史学講座)。
単著に『近世ドイツ国制史研究:皇帝・帝国クライス・諸侯』(北海道大学図書刊行会、1995年)、訳書に『神聖ローマ帝国1495—1806』(ピーター・H・ウィルスン著、岩波書店、2005年)、『中世ヨーロッパ社会の内部構造』(オットー・ブルンナー著、知泉書館、2013年)。
武田 雅哉
1958年生、北海道大学大学院文学研究科博士課程中退。
現在、北海道大学大学院文学研究科・教授(中国文化論講座)。
単著に『〈鬼子〉たちの肖像:中国人が描いた日本人』(中央公論新社、2003年)、『楊貴妃になりたかった男たち:〈衣服の妖怪〉の文化史』(講談社、2007年)、『万里の長城は月から見えるの?』(講談社、2011年)。
橋本 雄
1972年生、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学、博士(文学)。
北海道大学大学院文学研究科・准教授(日本史学講座)。
単著に『中華幻想:唐物と外交の室町時代史』(勉誠出版、2011年)、『偽りの外交使節:室町時代の日朝関係』(歴史文化ライブラリー、吉川弘文館、2012年)、『“日本国王“と勘合貿易』(NHKさかのぼり日本史・外交篇7室町、NHK出版、2013年)。
吉開 将人
1967年生、東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退、博士(文学)。
現在、北海道大学大学院文学研究科・准教授(東洋史学講座)。
論文に「鳥居龍蔵と東アジア:歴史学説と心象地理」(北村清彦編『北方を旅する』北海道大学出版会、2010年)、「歴史意識と世界像:南越の歴史は中国史かそれともベトナム史か」(濱下武志ほか編『中国の歴史』有斐閣、2015年)。
樽本 英樹
東京大学大学院人文・社会系研究科博士課程修了、博士(社会学)。
現在、北海道大学大学院文学研究科・准教授(社会システム科学講座)。
単著に、『よくわかる国際社会学』(ミネルヴァ書房、2009年)、『国際移民と市民権ガバナンス:日英比較の国際社会学』(ミネルヴァ書房、2012年)、共編著に『現代人の国際社会学・入門:トランスナショナリズムという視点』(西原和久と共編著、有斐閣、2015年刊行予定)。