商品説明
江口和洋・髙木昌興編著
判型: A5 並製
頁数: 288
ISBN: 978-4-8329-8230-7
Cコード: C3045
発行日: 2018-10-10
●本書の特徴
鳥類研究の基盤となる生活史戦略につき、産卵・繁殖、内分泌物質、営巣戦略と採餌戦略、ヒナへの給餌、配偶様式と繁殖様式や、地球規模の環境適応として、鳥の渡り、島嶼への適応、外来種の定着などを取り上げ、包括的に論じた論文集。研究史と研究の最前線を紹介。
●目次
はじめに
第1部 生活史研究の基盤
第1章 鳥類における生活史研究の最新動向………堀江明香
1 生活史進化とは
2 生活史形質に影響を与える選択圧
3 生活史形質間の相互作用
4 まとめと課題
第2章 産卵数の進化………松井晋
1 一腹卵数の変異
2 最適一腹卵数仮説の検証
3 産卵・抱卵・育雛コストを考慮した検証
4 一腹卵数の種間・個体群間比較
5 今後の課題
コラム:r 選択とK 選択
第3章 繁殖開始のタイミングを決める至近および究極的な要因………乃美大佑
1 D. Lack による繁殖タイミングの研究
2 繁殖タイミングの適応度への影響
3 繁殖タイミングに影響する要因
4 結論と今後の課題
第4章 内分泌物質と生活史………富田直樹
1 はじめに
2 ホルモンとは
3 テストステロンと雌雄の生活史
4 テストステロンを介した母性効果
5 今後の課題
第2部 行動と生活史
第5章 営巣戦略………中原 亨
1 はじめに
2 営巣様式の分類
3 営巣様式の進化と生活史
4 営巣場所選択
5 対捕食者戦略
6 まとめと展望
第6章 採餌戦略………上野裕介
1 はじめに─鳥類の生活史と採餌戦略
2 最適採餌戦略と鳥類の意思決定
3 何を食べるべきか─餌メニューの選択
4 どこで採餌するべきか─—採餌場所の選択
5 群れるべきか,単独でいるべきか─—採餌集団のサイズ
6 今後の課題と可能性
第7章 給餌をめぐる利益対立と協調………石井絢子
1 はじめに
2 餌乞いと親子対立
3 餌乞いとヒナ間競争
4 ヒナ間の協調と交渉
5 雌雄の利益対立
6 巣の特定の場所から給餌する鳥類
7 給餌行動と生活史
8 給餌研究のこれから
第8章 繁殖様式と生活史………江口和洋
1 はじめに
2 つがい外父性と配偶様式
3 つがい外交尾の利益とコスト
4 つがい外父性の出現傾向と生活史
5 家族と協同繁殖の進化
6 協同繁殖の進化と生活史要因
7 家族群形成の進化
8 まとめと今後の課題
第3部 鳥類の環境適応における生活史的側面
第9章 渡りの生活史的側面………山口典之
1 生活史イベントとしての渡り
2 どこをどのように移動するか
3 いつ移動するか
4 渡り以外の生活史イベントとの関係
5 気候変動が渡りに及ぼす影響
6 まとめと展望
第10章 島嶼における鳥類の生活史形質の共通性………髙木昌興
1 鳥類の生活史戦略を研究する有益性
2 島嶼における生物群集の成立と島嶼の環境
3 形態形質における島嶼シンドローム—─島の規則
4 鳥類における島の規則
5 生活史形質における島嶼シンドローム
6 島嶼における生活史と行動の変化
7 今後の研究の方向性
第11章 外来種の新天地での適応と生活史戦略………天野一葉
1 はじめに
2 外来鳥類の適応と表現型可塑性
3 繁殖戦略と侵入成功
4 種間関係の変化と侵入成功
5 個体の多様性の基盤
6 まとめ
引用文献
索 引
●著者紹介
江口 和洋
元九州大学大学院理学研究院、助教
髙木 昌興
北海道大学大学院理学研究院、教授
堀江 明香
大阪市立自然史博物館、外来研究員
松井 晋
東海大学生物学部生物学科、講師
乃美 大佑
北海道大学環境科学院生物圏科学専攻、博士課程
富田 直樹
公益財団法人山階鳥類研究所保全研究室、研究員
中原 亨
北九州市立いのちのたび博物館(自然史・歴史博物館)、 学芸員
上野 裕介
石川県立大学生物資源環境学部環境科学科、准教授
石井 絢子
九州大学大学院システム生命科学府、博士課程
山口 典之
長崎大学大学院水産・環境科学総合研究科、准教授
天野 一葉
滋賀県立琵琶湖博物館、特別研究員