商品説明
植田 邦彦編著
判型: A5 並製
頁数: 216
ISBN: 978-4-8329-8205-5
Cコード: C3045
発行日: 2012-10-10
●本書の特徴
研究の最前線を5人の著者がわかりやすく語っている。いまホットな話題である植物進化のダイナミクスは,若い研究者の卵達に大きな関心を呼ぶものと期待できる。多くの野生植物の愛好家の方々にとっても,今見ている花々のルールを知るための待望の本である。
●目次
口 絵
序 章 植物地理学の誕生と現状………植田邦彦
1.ウォレスとダーウィン
2.生物地理学の誕生
3.植物地理学
4.植物地理学の現状
第1章 琉球列島における植物の由来と多様性の形成………瀬戸口浩彰
1.日本列島とユーラシア大陸を陸橋でつないだ琉球の島々
2.琉球列島での種分化・種内分化の時期
——陸橋が形成と分断を繰り返した時期と合っているのか?
クサアジサイ属の種分化 / アセビ属の種分化
3.同一種内における遺伝構造
——種内の遺伝構造は,かつての陸橋の形の影響をどのように受けているのか?
ソテツにおける葉緑体とミトコンドリアDNA多型の地理的構造 / スダジイにおける葉緑
体とミトコンドリアDNA多型の地理的構造 / 複数の植物系統地理から想定される琉球列
島の陸橋の形態
4.島嶼固有の特性——交雑と遺伝子浸透
5.植物系統地理学の知見をどのように活かすか
第2章 南半球分布型植物の分子系統地理………朝川毅守
1.南半球において隔離分布する植物
2.ゴンドワナ大陸の地史
3.分子系統に基づく分子系統地理学の手法
4.ゴンドワナ植物の分子系統地理学的研究
ナンキョクブナ属 / シキミモドキ科 / アテロスペルマ科 / フトモモ科 / ヤマモガシ科 /
グンネラ属 / バオバブ属 / ナンヨウスギ科
5.まとめと展望
第3章 被子植物の分布形成における拡散と分断………長谷部光泰
1.生物地理学における生物区系
2.系統樹に基づいた生物地理研究
3.より精確な系統樹を求めて
4.ドクウツギ
ドクウツギ属の分布 / ドクウツギ科の系統 / ドクウツギ属の種間系統
5.食虫植物の系統
食虫性の進化 / モウセンゴケ属内種間の系統関係 / モウセンゴケ属の生物地理
6.カエデ属の生物地理
第4章 沿海州の気候と植生………いがり まさし
1.沿海州の位置と気候
2.沿海州の植生
3.目につく西日本との共通種
4.沿海州に雨や雪が少ないわけ
5.氷期の日本列島と沿海州
6.ふたつの火山と縄文人
7.里山はタイムカプセル
8.変幻自在のオキナグサ
9.カワラノギクの故郷
後書きにかえて………植田邦彦
3冊の本 / 分類地理学との出会い / 系統地理学的研究 / 「日本海要素」の研究 / 植物地
理学研究における標本の重要性
索 引
●著者紹介
植田 邦彦
1952年生まれ
1981年 京都大学大学院理学研究科博士後期課程修了
現 在 金沢大学自然システム学系教授 理学博士
序章・後書きにかえて執筆
主 著 里山の自然をまもる(共著、築地書館、1993)、植物の自然史—多様性の進化学(共編
著、北海道大学図書刊行会、1994)、高山植物の自然史—お花畑の生態学(分担執筆、
北海道大学図書刊行会、2000)、新しい植物分類学I(分担執筆、講談社、2012)など
朝川 毅守
1965年生まれ
1988年 千葉大学理学部卒業
現 在 千葉大学大学院理学研究科助教 博士(理学)
第2章執筆
いがり まさし
1960年生まれ
1983年 関西学院大学文学部美学科中退
現 在 植物写真家・シンガーソングライター
第4章執筆
瀬戸口 浩彰
1962年生まれ
1993年 東京大学大学院理学系研究科博士課程修了
現 在 京都大学大学院人間・環境科学研究科教授 博士(理学)
第1章執筆
長谷部 光泰
1963年生まれ
1991年 東京大学大学院理学系研究科博士課程中退
現 在 基礎生物学研究所教授・総合研究大学院大学教授 博士(理学)
第3章執筆