商品説明
森の自然史 ― 複雑系の生態学
菊沢喜八郎・甲山隆司 編
定価:3,300円(本体価格3,000円+税)
判型:A5 並製
頁数:250
ISBN:978-4-8329-9891-9
Cコード:C3045
発行日:2000-10-05
●本書の特徴
巨大システムとしての森林はいかに維持さているのだろうか.15人の第一線若手研究者による複雑系の生態学への複合的アプローチ.第Ⅰ部では,森の木々の繁殖について,第Ⅱ部では,樹木と動物との相互作用に注目しつつ,芽生えから成熟までについて触れる.第Ⅲ部では,北海道の亜高山帯森林,屋久島の照葉樹林,ボルネオの熱帯低地雨林をフィールドに共存の仕組みの手がかりを,第Ⅳ部では,樹木と補食動物との関係,樹木と土壌・河川との関係をとおして,生態系としての森の機能を解明する.
●目次
はじめに
〔第1部 木の花・果実〕
第1章 熱帯雨林における植物の開花・繁殖様式………百瀬邦泰
1.混交フタバガキ林の開花周期
2.植物の繁殖間隔,繁殖様式,生活形のあいだの関係
3.そのほかの仮説
4.動物の反応
5.断片化の影響
第2章 冷温帯落葉広葉樹林における樹木の開花と結実………加藤悦史
1.林冠へのアプローチ法
2.冷温帯落葉広葉樹林でのハクウンボクの開花,結実について
第3章冷温帯落葉広葉樹林における種子散布………柴田銃江
1.樹木の種子散布の意義
2.空間的逃避仮説
3.移住仮説
4.指向性散布仮説
5.シードバンク
6.種子散布の重要性を評価するにはどうすればよいか?
第4章 森の果実と鳥の季節………木村一也
1.果実の季節変化と鳥の渡り
2.西ヨーロッパ~アフリカでの研究
3.新世界における研究
4.東アジアにおける研究
5.キナバル山・熱帯山地林の結実時期と渡り時期
6.鳥散布植物の結実フェノロジー
7.キナバル山の季節性
〔第2部 実生の定着と稚樹の生活〕
第5章 マレーシア半島の熱帯低地雨林に果実-果実食者の関係を探る………安田雅俊
1.動物あっての種子散布
2.種子散布と立地条件が織りなす植物の空間分布
3.果実と果実食者のあいだの多様な関係
4.特異な選好性をもつヤマアラシ
5.果実食者の多様性と熱帯雨林の保全
第6章 萌芽をだしながら急斜面に生きるフサザクラ………酒井暁子
1.急斜面に活路をみいだす樹木
2.急斜面で生きるフサザクラの生活史
3.萌芽するためのメカニズム
第7章熱 帯雨林におけるフネミノキの樹形変化………山田俊弘
1.空間獲得戦略としてみた樹形
2.フネミノキという植物
3.フネミノキの成長にともなう樹形の変化
4.フネミノキ稚樹の単軸成長様式の生態学的な意味
5.分枝することの生態学的な意味
6.樹形の多様性と一般法則
第8章 ミズナラの実生定着と空間分布を規定する昆虫と野ネズミ………和田直也
1.種子成熟過程における種子食昆虫の影響
2.種子散布期における野ネズミの影響
3.実生の定着期における食葉性昆虫の影響
〔第3部 森の動態と樹種の共存〕
第9章 トドマツ・アカエゾマツ林の更新動態と2種の共存………高橋耕一
1.多種共存における平衡・非平衡仮説
2.ササの優占度にそった2種の更新
3.定着場所の違いが種内・種間競争に及ぼす影響
第10章 照葉樹林の構造と樹木群集の構成………相場慎一郎
1.照葉樹林とはどのような森林か
2.森林の追跡調査
3.森林の階層構造と水平的不均一性
4.森林構造と多種共存のしくみ
第11章 リュウノウジュの林冠優占と熱帯雨林の多様性………伊東 明
1.熱帯雨林と優占種
2.擬優占種リュウノウジュ
3.リュウノウジュの更新能力
4.近縁種の共存に果たす土壌と地形の役割
5.優占種になりきれない理由
〔第4部 生態系としての森林〕
第12章 春の広葉樹林における植物-昆虫-鳥の三者関係………村上正志
1.春の雑木林で
2.樹から虫,鳥へ
3.鳥の側から
4.もう一度,春の森で
第13章 森の土壌をめぐる物質動態………柴田英昭
1.森林生態系の物質循環
2.イオン交換の場としての土壌
3.植生や微生物が物質動態へ及ぽす影響
4.土壌水の化学組成
5.土壌-植生系をめぐる物質循環と収支
6.プロトン収支と物質動態
7.土壌をめぐる物質動態と環境問題
第14章 河川の構造と森林………井上幹生
1.川は森から流れでる
2.森林の景観,河川の景観
3.魚類の生息環境を調査する
4.河川構造の階層性
5.河川景観にみられる森林と河川の相互作用
第15章 森と川のつながり:河川生態系における河畔林の機能………佐藤弘和
1.見直される河畔林
2.サクラマス:生活史と生態調査
3.河川水温に影響を与える河畔林
4.カバー機能をもつ河畔林
5.餌供給源としての河畔林
6.河川生態系に及ぽす河畔林の諸機能
引用・参考文献
索引
●著者紹介
菊沢 喜八郎(きくざわ きはちろう)
1941年生まれ
1971年 京都大学大学院農学研究科博士課程修了
現在 京都大学大学院農学研究科教授 理学博士・農学博士
主な著書:
北の国の雑木林・植物の繁殖生態学(ともに蒼樹書房),森林の生態(共立出版)など
甲山 隆司(こうやま たかし)
1954年生まれ
1983年 京都大学大学院理学研究科博士課程修了
現在 北海道大学大学院地球環境科学研究科教授 理学博士
主な著書:
生物多様性とその保全(共著,岩波書店)など
相場 慎一郎(あいば しんいちろう)
1969年生まれ
1997年 北海道大学大学院地球環境科学研究科博士課程修了
現在 鹿児島大学理学部助手 博士(地球環境科学)
伊東 明(いとう あきら)
1964年生まれ
1995年 京都大学大学院農学研究科博士課程単位取得退学
現在 大阪市立大学大学院理学研究科助教 授博士(農学)
井上 幹生(いのうえ みきお)
1968年生まれ
1997年 北海道大学大学院農学研究科博士課程修了
現在 愛媛大学理学部助教授 博士(農学)
加藤 悦史(かとう えつし)
1974年生まれ
現在 北海道大学大学院地球環境科学研究科博士課程
木村 一也(きむら かずや)
1971年生まれ
現在 日本学術振興会特別研究員 博士(理学)
酒井 暁子(さかい あきこ)
1964年生まれ
1995年 千葉大学大学院自然科学研究科博士課程修了
現在 東北大学大学院理学研究科研究生 博士(理学)
佐藤 弘和(さとう ひろかず)
1968年生まれ
1993年 北海道大学大学院環境科学研究科修士課程修了
現在 北海道立林業試験場研究職員 博士(農学)
柴田 英昭(しばた ひであき)
1968年生まれ
1997年 北海道大学大学院農学研究科博士課程修了
現在 北海道大学北方生物圏フィールド科学センター助教授 博士(農学)
柴田 銃江(しばた みつえ)
1967年生まれ
1990年 名古屋大学農学部卒業
2001年 名古屋大学大学院生命農学研究科博士課程(社会人特別選抜)修了
現在 森林総合研究所主任研究官 博士(農学)
高橋 耕一(たかはし こういち)
1966年生まれ
1996年 北海道大学大学院地球躁境科学研究科博士課程修了
現在 信州大学理学部助教授 博士(地球環境科学)
村上 正志(むらかみ まさし)
1970年生まれ
1999年 北海道大学大学院地球環境科学研究科博士課程修了
現在 北海道大学北方生物圏フィールド科学センター助手 博士(地球環境科学)
百瀬 邦泰(ももせ くにやす)
1968年生まれ
1998年 京都大学大学院理学研究科博士課程修了
現在 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科助手 博士(理学)
安田 雅俊(やすだ まさとし)
1968年生まれ
1998年 東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程修了
現在 森林総合研究所主任研究官 博士(農学)
山田 俊弘(やまだ としひろ)
1969年生まれ
1997年 大阪市立大学大学院理学研究科博士課程修了
現在 熊本県立大学環境共生学部助教授 博士(理学)
和田 直也(わだ なおや)
1967年生まれ
1995年 北海道大学大学院環境科学研究科博士課程修了
現在 富山大学極東地域研究センター助教授 博士(環境科学)
(第3刷〈2005-03-25〉発行時の情報です)