商品説明
花の自然史 ― 美しさの進化学
大原 雅 編著
定価:3,300円(本体価格3,000円+税)
判型:A5 並製
頁数:278
ISBN:978-4-8329-9751-6
Cコード:C3045
発行日:1999-03-10
●本書の特徴
地球上には約23万5000種の「花」を咲かせる被子植物が生育している.なぜ,またどのようにしてこれほどまでに多様な花が進化したのだろうか.花の多様性とその美しさに秘められた進化の謎を,繁殖生態学・分子生物学・生理学といった多彩な側面から紹介する.
●目次
口絵
はじめに
〔第1部 色〕
第1章 純白の植物の生きざま:「昆虫白」の不思議な花・ギンリョウソウ………田中 肇・森田竜義
1.葉緑素をもたない植物の生活様式
2.「昆虫白」という不思議な花
第2章 ユリ属植物の多様な花の色と系統関係………林 一彦
1.ユリ属植物とはどんな植物か
2.ユリ属植物の花の色
3.橙色系ユリに偶発する黄花色ユリ
4.オニユリの黄花変種オウゴンオニユリの発生機構
5.ユーラシア大陸におけるユリ属の系統関係と花の色
第3章 花の色ができあがるメカニズム………武田幸作
1.花の色と色素
2.アントシアニンによる花色の発現
3.金属複合体による青色の発現
4.コビグメンテイション
5.ポリアシル化アントシアニンによる花色の発現
〔第2部 香り〕
第4章 花の匂いの進化を探る:モクレン属植物を例に………東 浩司・河野昭一
1.花の匂いと被子植物の進化
2.モクレン属およびユリノキ属の花の匂い
3.損傷を与えた葉から放出される揮発性物質
4.花と葉における揮発性物質の分布パターンと花の匂いの進化
第5章 カンアオイの花生態:キノコバエをだまして花粉を媒介するタマノカンアオイ………菅原 敬
1.異臭を放つ筒形の好腐バエ花
2.裳と腺毛の発達した蒻筒内壁
3.同花受粉を避ける花
4.花粉媒介者を待つ花
5.花粉を媒介する虫の正体
6.キノコバエをだまして送粉する花
7.いまだに謎が残るカンアオイ属植物の送粉
第6章 夜の送粉共生系………加藤 真
1.コウモリ媒
2.非飛翔性哺乳類媒
3.蛾媒
4.スズメガ媒
5.そのほかの蛾媒
6.ウツボカズラの蛾媒
7.グネツムの蛾媒
8.夜の森の交信
第7章 花の香りの化学生態学………山岡亮平・三宅 崇
1.花の香りはどのようにしてつくられるか
2.花の香りの集め方
3.香りの分析法
4.香りと訪花昆虫
5.花の香りと送粉シンドローム
6.香りの構成物質の生物検定
7.花の香りと植物の種分化
〔第3部 形〕
第8章 交配様式と花の進化:オオバナノエンレイソウ………大原 雅
1.花に魅せられた人々
2.種分化と花の形態
3.雑種形成のメカニズム
4.交配様式の集団分化
5.花の形態変異
6.1つの例外から
第9章 傘をさした植物たち:セリ科植物シシウドの性表現と開花習性………岡崎純子
1.セリ科植物の花と花序
2.シシウドの性の時間的な発現:開花習性
3.異熟性と同調性の開花フェノロジー
第10章 葉から花へ:花の進化と形態形成の遺伝子群………塚谷裕一
1.花という器官
2.そもそものはじまり:葉ができるまで
3.葉から花への遺伝制御
4.花の形の対称性を制御する遺伝子
第11章 「花粉もどき」をもつ花………川窪伸光
1.形態が暗示する性機能の分化
2.一筋縄ではいかない雄機能の確認
3.「花粉もどき」をもつ雌雄異株
4.「花粉もどき」の役割
5.イタズラのような実験で
6.花はレストラン
7.孤島での昆虫たちとのかけひき
8.なぜ雌雄異株へ?という難問
〔第4部 咲く〕
第12章 多年草フタリシズカは,なぜ閉鎖花をつくるのか………平塚 明
1.閉鎖花とは何か
2.一年草における閉鎖花の意義
3.多年草における閉鎖花の意義
4.フタリシズカはなぜ閉鎖花をつくるのか
第13章 花が季節や時を告げるしくみ………田中 修
1.「花が咲く」ための3過程
2.花芽の分化
3.花芽の発育
4.開花
第14章 花の睡眠:花はなぜ眠るか………和田正三
1.花とは何か
2.植物の睡眠を分類する
3.花の睡眠さまざま
4.花はなぜ眠るのか
第15章 パラボラアンテナで熱を集める植物:太陽を追いかけるフクジュソウの花………工藤 岳
1.向日性の生態的意義
2.フクジュソウでの実験
3.寒冷環境に生育する植物の熱獲得方法
第16章 花の性型の可塑性:雄花を咲かせるツユクサの不思議な性表現………森田竜義・濁川朋也
1.ツユクサの両性花と雄花
2.雄花の空間的,時間的分布
3.礫境条件によって雄花の割合は変わるだろうか?
4.性型の決定には柔軟性がある
5.他家受粉花の特徴をもつ同花受粉花
6.ツユクサはなぜ雄花をつけるのか?
引用・参考文献
索引
●著者紹介
大原 雅(おおはら まさし)
1958年札幌市に生まれる
1985年 北海道大学大学院環境科学研究科博士課程単位取得退学
現在 北海道大学大学院地球環境科学研究科教授 理学博士
主な著書:
『植物の個体群生態学』(共訳,東海大学出版会),『生態学からみた北海道』(分担執筆,北海道大学図書刊行会),『エンレイソウ』(共著,海遊舎)など
東 浩司(あずま ひろし)
1970年生まれ
1999年 京都大学大学院理学研究科博士課程修了
現在 京都大学大学院理学研究科助手 博士(理学)
岡崎 純子(おかざき じゅんこ)
1958年生まれ
1987年 京都大学大学院理学研究科博士課程単位取得退学
現在 大阪教育大学教育学部講師
加藤 真(かとう まこと)
1957年生まれ
1987年 京都大学大学院農学研究科博士課程修了
現在 京都大学大学院人間・環境学研究科教授 農学博士
川窪 伸光(かわくぼ のぶみつ)
1959年生まれ
1987年 東京都立大学大学院理学研究科博士課程単位取得退学
現在 岐阜大学農学部助教授 理学博士
河野 昭一(かわの しょういち)
1936年生まれ
1962年 カナダ・モントリオール大学大学院博士課程修了
現在 京都大学名誉教授・放送大学客員教授・NPO法人シニア自然大学学長 Ph.D.
工藤 岳(くどう がく)
1962年生まれ
1991年 北海道大学大学院環境科学研究科博士課程修了
現在 北海道大学大学院地球環境科学研究科助教授 博士(環境科学)
菅原 敬(すがわら たかし)
1954年生まれ
1982年 東京都立大学大学院理学研究科博士課程単位取得退学
現在 東京都立大学大学院理学研究科助教授 理学博士
武田 幸作(たけだ こうさく)
1936年生まれ
1965年 東京教育大学大学院理学研究科博士課程修了
現在 東京学芸大学名誉教授 理学博士
田中 修(たなか おさむ)
1947年生まれ
1976年 京都大学大学院農学研究科博士課程修了
現在 甲南大学理工学部教授 農学博士
田中 肇(たなか はじめ)
1933年生まれ
1952年 都立紅葉川高校卒業
現在 鋳職人・花生態学研究家
塚谷 裕一(つかや ひろかず)
1964年生まれ
1993年 東京大学大学院理学系研究科博士課程修了
現在 岡崎国立共同研究機構・統合バイオサイエンスセンターおよび基礎生物学研究所助教授・総合研究大学院大学先導科学研究科助教授(併任) 博士(理学)
濁川 朋也(にごりかわ ともや)
1973年生まれ
1998年 新潟大学大学院教育学研究科修士課程修了
現在 新潟県長岡市立山本中学校教諭
林 一彦(はやし かずひこ)
1946年生まれ
1974年 富山大学文理学部卒業
現在 大阪学院大学経済学部教授 博士(理学)
平塚 明(ひらつか あきら)
1952年生まれ
1979年 東北大学大学院理学研究科博士課程前期修了
現在 岩手県立大学総合政策学部助教授 理学博士
三宅 崇(みやけ たかし)
1970年生まれ
1998年 九州大学大学院理学研究科博士課程修了
現在 九州大学大学院理学研究院研究員 博士(理学)
森田 竜義(もりた たつよし)
1945年生まれ
1971年 東京大学大学院理学系研究科博士課程満期退学
現在 新潟大学教育人間科学部教授 理学博士
山岡 亮平(やまおか りょうへい)
1947年生まれ
1976年 京都大学大学院農学研究科博士課程修了
現在 京都工芸繊維大学繊維学部教授 農学博士
和田 正三(わだ まさみつ)
1941年生まれ
1971年 東京大学大学院理学系研究科博士課程修了
現在 東京都立大学大学院理学研究科教授 理学博士
(第3刷〈2004-03-10〉発行時の情報です)