商品説明
雑草の自然史 ― たくましさの生態学
山口裕文 編著
定価:3,300円(本体価格3,000円+税)
判型:A5 並製
頁数:248
ISBN:978-4-8329-9711-0
Cコード:C3045
発行日:1997-06-10
●本書の特徴
植物は野生植物と栽培植物とに大別されるが,そのどちらにも属さない両方の性質をもっている植物がある.これが雑草である.13人の第一線の研究者が,雑草フロラの成立や,そのたくましい適応力と生活史戦略について,さまざまな視点からアプローチする.
●目次
はじめに
〔第1部 雑草フロラの成立〕
第1章 日本の雑草の起源と多様化………山口裕文
1.雑草とは
2.雑草の世界
3.日本の雑草フロラの多様化
4.雑草の一般的特性と適応
5.栽培植物と雑草
6.雑草と人間
第2章 雑草フロラをつくりあげる帰化植物………榎本 敬
1.帰化植物とは
2.帰化植物の侵入と定着
3.帰化植物の特性
第3章 タカサブロウの起源:痩果の変異からの一考察………梅本信也
1.R型とS型
2.発芽と生長のようすの違い
3.開花にみられる適応モードの違い
4.脱粒性の変異
5.遺伝的差異
6.起源地と渡来の時期
第4章 人間の影響下に成立する生物的自然,草本植生のダイナミクス………前中久行・大窪久美子
1.草地の成立条件
2.都市の草地
3.半自然草地における草本植物
第5章 人工草地のギャップ特性と侵入雑草の生育型戦術………根本正之
1.牧草の生育とギャップの形成
2.草地ギャップの大きさと形
3.侵入雑草の生育塑戦術
4.草地のギャップと森林のギャップ
5.草地群落の種多様性と安定性
〔第2部 適応力を解明する〕
第1章 桑畑におけるパラコート抵抗性雑草の分布拡大………埴岡靖男
1.除草剤の出現と抵抗性個体の出現
2.ハルジオンにおけるパラコート抵抗性個体の出現とその背景
3.キク科植物にみられる抵抗性の分布の実態
4.抵抗性雑草の増加の要因と今後
第2章 タイヌビエの種子休眠と発芽生理………山末祐二
1.土壌中における種子休眠性の変動
2.種子発芽と幼植物の生育
3.種子の呼吸代謝
第3章 家畜による雑草の種子の伝播………高林 実
1.国外飼料に潜んだ侵入者たち
2.牛に食べられて成功している雑草:牛糞のなかでうまく生きる
3.鶏と共存して成功している雑草
4.牧草畑の雑草の種子生産能力
第4章 ハマスゲにおける他感作用………駒井功一郎
1.ハマスゲの生育特性
2.他感作用の検証
3.ハマスゲ精油に含まれる他感作用物質
4.ハマスゲ近縁種におけるテルペンと他感作用
〔第3部 生活史戦略をさぐる〕
第1章 攪乱と競争へのナズナの適応………石川枝津子
1.果樹園での発生生態
2.生活史戦略
第2章 チガヤの生活史特性の分化………冨永 達
1.繁殖様式
2.生活史特性の地理的分化
第3章 ヤエムグラにおける発芽二型性の進化………増田理子
1.春発芽と秋発芽の二型性
2.発芽の二型性が進化する条件
3.ヤエムグラの生活史
4.田島ケ原のヤエムグラ
5.休眠性と発芽特性
6.田島ケ原のヤエムグラの発芽二型性の進化
7.種子の休眠特性に対する選択圧
8.畑地型と水田型の分化
第4章 倍数化による種分化:ヨメナとその近縁種を例に………西野貴子
1.田圃を囲む雑草は生き残れるか:ユウガギクとヨメナの形態と生活史の比較
2.ヨメナはどのように誕生したか
第5章 神社仏閣の境内における矮小型オオバコの成立………中山祐一郎
1.オオバコの形態的形質の変異
2.オオバコ種内2型の生活史特性
3.オオバコ種内2型の遺伝的変異の構造
4.オオバコ種内2型の生育地の環境と生活史戦略の成立
第6章 世界に分布を広げた盗賊種:セイヨウタンポポ………森田竜義
1.帰化植物セイヨウタンポポ
2.群れからの自由の威力
3.タンポポ属の無融合生殖
4.無性生殖者の有性生殖
5.帰化植物セイヨウタンポポの起源
付表 日本への帰化植物一覧表………榎本 敬
引用・参考文献
索引
●著者紹介
山口 裕文(やまぐち ひろふみ)
1946年長崎県佐世保市に生まれる
1977年 大阪府立大学大学院農学研究科博士課程修了
現在 大阪府立大学大学院生命環境科学研究科教授
農学博士
主な著書:
植物の自然史(分担執筆, 北海道大学出版会),植物の生き残り作戦(分担執筆, 平凡社),ヒエという植物(編著, 全国農村教育協会),雑草科学の基礎(分担執筆, 日本雑草学会),栽培植物の自然史(共編著, 北海道大学出版会)
石川 枝津子(いしかわ しづこ)
1954年生まれ
1987年 北海道大学大学院農学研究科博士課程修了
現在 農業・食品産業技術総合研究機構北海道農業研究センター主任研究官 農学博士
梅本 信也(うめもと しんや)
1959年生まれ
1989年 京都大学大学院農学研究科博士課程中退
現在 京都大学フィールド科学教育研究センター里域生態系部門紀伊大島実験所所長・助教授 京大農博
榎本 敬(えのもと たかし)
1946年生まれ
1971年 大阪市立大学大学院理学研究科修士課程修了
現在 岡山大学資源生物科学研究所助教授 農学博士
大窪 久美子(おおくぽ くみこ)
1961年生まれ
1991年 大阪府立大学大学院農学研究科博士課程修了
現在 信州大学農学部助教授 農学博士
駒井 功一郎(こまい こういちろう)
1942年生まれ
1965年 近畿大学農学部農芸化学科卒業
現在 近畿大学農学部教授 農学博士
高林 実(たかばやし みのる)
1936年生まれ
1959年 東北大学農学部卒業
1998年 死去
冨永 達(とみなが とおる)
1955年生まれ
1980年 京都大学大学院農学研究科修士課程修了
現在 京都大学大学院農学研究科教授 農学博士
中山 祐一郎(なかやま ゆういちろう)
1968年生まれ
1997年 京都大学大学院農学研究科博士課程修了
現在 大阪府立大学大学院生命環境科学研究科助手 博士(農学)
西野 貴子(にしの たかこ)
1968年生まれ
1994年 新潟大学大学院教育学研究科修士課程修了
現在 大阪府立大学大学院理学系研究科助手
根本 正之(ねもと まさゆき)
1946年生まれ
1978年 東北大学大学院農学研究科博士課程修了
現在 東京農業大学地域環境科学部教授 農学博士
埴岡 靖男(はにおか やすお)
1942年生まれ
1965年 岩手大学農学部総合農学科卒業
元埼玉県農林総合研究センター 農学博士
前中 久行(まえなか ひさゆき)
1947年生まれ
1973年 大阪府立大学大学院農学研究科博士課程中退
現在 大阪府立大学大学院生命環境科学研究科教授 農学博士
増田 理子(ますだ みちこ)
1964年生まれ
1992年 東京大学大学院理学系研究科博士課程修了
現在 名古屋工業大学工学部助教授 博士(理学)
森田 竜義(もりた たつよし)
1945年生まれ
1971年 東京大学大学院理学系研究科博士課程満期退学
現在 新潟大学教育学部教授 理学博士
山末 祐二(やますえ ゆうじ)
1945年生まれ
1968年 京都大学農学部農学科卒業
現在 京都大学大学院農学研究科教授 Ph.D.
(第2刷〈2006-07-25〉発行時の情報です)