商品説明
植物の自然史 ― 多様性の進化学
岡田 博・植田邦彦・角野康郎 編著
定価:3,300円(本体価格3,000円+税)
判型:A5 並製
頁数:280
ISBN:978-4-8329-9471-3
Cコード:C3045
発行日:1994-01-25
●本書の特徴
「植物分類学の多様な展開」の主題のもとに,第一線で活躍する17人の著者が細胞学,解剖学,形態学,生態学,統計学,分子生物学など多岐多様な研究方法を展開する.分類学は古くさい,と思い込んでいる研究者必読の書.
●目次
まえがき
〔第1部 進化の現場を探る〕
第1章 東海丘陵要素の起源と進化………植田邦彦
1.1 東海丘陵要素の定義と特徴
1.2 周伊勢湾地域の定義とその形成過程
1.3 低湿地の成因と特徴
1.4 東海丘陵要素の起源と進化
第2章 大洋島の植物相と進化………伊藤元己
2.1 大洋島の植物相
2.2 大洋島植物相の構成と散布様式
2.3 大洋島の植物の定着
2.4 大洋島内での適応放散的種分化
2.5 小笠原諸島に見られる適応放散
2.6 ハワイ諸島に見られる適応放散
〔第2部 植物たちの生き方と進化〕
第3章 種子散布の生物学………岡本素治・湯本貴和
3.1 種子散布のさまざまな型と動物との関わり
3.2 送粉と種子散布
3.3 植物はどのような論理で種子散布をしているのだろうか
第4章 植物進化における性の役割:ヒヨドリバナにおける有性型と無性型の生態………渡辺邦秋・常見直史
4.1 無性生殖型はなぜ多数派になれないのか
4.2 ヒヨドリバナにおける有性型と無性型の生態
第5章 植物の性表現:植物の性型システムとその進化………岡崎純子
5.1 性型システムの記述
5.2 性型システムの進化
5.3 シシウドの性表現
5.4 トチバニンジンの性表現
第6章 植物の成長と繁殖に関する進化生態学の数理………巌佐 庸
6.1 最も簡単な最適資源分配モデル
6.2 限界値のダイナミックス
6.3 現在と将来との配分の問題(トレードオフ)
6.4 確率的に変動する環境の下での成長
〔第3部 種と進化〕
第7章 湿潤熱帯の林床植物の集団の染色体変異:細胞分類学の1つの例として………岡田 博
7.1 染色体形質の遺伝学的意味
7.2 Schismatoglottis lancifoliaの特徴
7.3 集団構造を解析する
7.4 集団の空間的変異を解析する
7.5 集団の時間的変異
7.6 集団間に変異を生じさせる要因は何か
第8章 アズキの栽培化:ドメスティケーションの生態学………山口裕文
8.1 アズキ野生種の分類と分布
8.2 雑草アズキとは
8.3 草型を比較する
8.4 開花の早晩性
8.5 器官のサイズの比較
8.6 栽培化の過程
〔第4部 進化の道すじをたどる〕
第9章 分類群の認識の方法論:種より高次の分類群の場合………田村 実
9.1 ヒキガエル,ヤマザクラ,ココヤシ,チューリップの間の関係
9.2 相同形質と相似形質
9.3 相同性の確認
9.4 単系統群・側系統群と分類群
9.5 形質進化の方向性と形質の進化過程
9.6 形質の進化過程と生物の進化過程
9.7 形質状態の比較による分類群の認識
9.8 ユリ科アマドコロ属の分類群
第10章 木材解剖学:稚i織から木の進化を探る………高橋 晃
10.1 木材の構造
10.2 木部管状要素の形態
10.3 解剖学的特徴に変異をもたらす要因
10.4 道管の起源と進化
10.5 原始的被子植物の木部管状要素
第11章 種子の形態学………戸部 博
11.1 種子とは何か
11.2 種子による植物分類学
第12章 花粉形態:ミクロな形質の多様性………高橋正道
12.1 花粉学の基礎
12.2 KOH-アセトリシス法による花粉の観察方法
12.3 花粉形態の研究
第13章 分子データからみた陸上植物の系統………長谷部光泰
13.1 系統関係の推定
13.2 分子系統学とは
13.3 陸上植物の系統
〔第V部 進化の現場を救うために〕
第14章 種の絶滅と保全生物学水生植物を中心に………角野康郎
14.1 急速に進行する植物たちの消滅:水草の場合
14.2 オニバスにみる保全生物学
14.3 保全生物学の課題
引用文献
参考図書
あとがき
索引
●著者紹介
岡田 博(おかだ ひろし)
1947年 鳥取市に生まれる
1974年 広島大学大学院理学研究科博士課程単位取得退学
現在 大阪市立大学理学部附属植物園園長・教授 理学博士
植田 邦彦(うえだ くにひこ)
1952年 岡山市に生まれる
1981年 京都大学大学院理学研究科博士課程修了
現在 金沢大学大学院自然科学研究科教授 理学博士
角野 康郎(かどの やすろう)
1952年 京都府に生まれる
1979年 京都大学大学院理学研究科博士課程中退
現在 神戸大学理学部教授 理学博士
伊藤 元己(いとう もとみ)
1956年 名古屋市に生まれる
1987年 京都大学大学院理学研究科博士課程修了
現在 東京大学大学院総合文化研究科助教授 理学博士
巌佐 庸(いわさ よう)
1952年 大阪市に生まれる
1980年 京都大学大学院理学研究科博士課程修了
現在 九州大学大学院理学研究院教授 理学博士
岡崎 純子(おかざき じゅんこ)
1958年 高知市に生まれる
1987年 京都大学大学院理学研究科博士課程単位取得退学
現在 大阪教育大学教育学部講師
岡本 素治(おかもと もとはる)
1947年 宇部市に生まれる
1971年 京都大学理学部卒業
現在 大阪市立自然史博物館学芸課長 理学博士
副島 顕子(そえじま あきこ)
1961年 枚方市に生まれる
1992年 東京都立大学大学院理学研究科博士課程修了
現在 大阪府立大学総合科学部助手 理学博士
高橋 晃(たかはし あきら)
1954年 岐阜県に生まれる
1984年 大阪大学大学院理学研究科博士課程単位取得退学
現在 兵庫県立人と自然の博物館主任研究員 理学博士
高橋 正道(たかはし まさみち)
1950年 村山市に生まれる
1979年 東北大学大学院理学研究科博士課程修了
現在 新潟大学理学部教授 理学博士
田村 実(たむら みのる)
1961年 吹田市に生まれる
1991年 京都大学大学院理学研究科博士課程修了
現在 大阪市立大学大学院理学研究科助教授 理学博士
常見 直史(つねみ なおし)
1968年 前橋市に生まれる
1992年 東京大学大学院理学系研究科修士課程修了
理学修士
戸部 博(とべ ひろし)
1948年 青森市に生まれる
1973年 東北大学大学院理学研究科博士課程単位取得退学
現在 京都大学大学院理学研究科教授 理学博土
長谷部 光泰(はせべ みつやす)
1963年 千葉市に生まれる
1991年 東京大学大学院理学系研究科博士課程中退
現在 自然科学研究機構基礎生物学研究所教授・総合大学院大学生命科学研究科教授 博士(理学)
山口 裕文(やまぐち ひろふみ)
1946年 佐世保市に生まれる
1977年 大阪府立大学大学院農学研究科博士課程修了
現在 大阪府立大学大学院農学生命科学研究科教授 農学博士
湯本 貴和(ゆもと たかかず)
1959年 徳島県に生まれる
1987年 京都大学大学院理学研究科博士課程修了
現在 総合地球環境学研究所教授 理学博士
渡辺 邦秋(わたなべ くにあき)
1946年 広島県に生まれる
1974年 広島大学大学院理学研究科博士課程単位取得退学
現在 神戸大学理学部教授 理学博士
(第5刷〈2004-03-25〉発行時の情報です)