商品説明
増田隆一・阿部 永編著
判型: A5 ソフトカバー
頁数: 302
ISBN: 978-4-8329-8101-0
Cコード: C3045
発行日: 2005-05-25
●本書の特徴
本書は,5部15+2章から構成されている。序章において,これまでの日本列島にかかわる動物地理学を概観した。第Ⅰ部では,分子系統解析という新しい手法を用いて,従来の動物分布境界線を再考している。第Ⅱ部では,日本固有種や南西諸島の動物集団を対象にして,地理的変異と種分化や集団分化との関係そして宿主と寄生虫との生物地理的関係が議論されている。第Ⅲ部では,考古遺跡から出土する動物骨について形態的特徴や分子系統からみた地域変異の変遷,さらにそこから推定される家畜化の歴史を論じている。第Ⅳ部では,山脈や砂漠が生みだす局地的ならびに大陸間におよぶ動物地理が語られている。そして,第Ⅴ部では飛翔能力を獲得した動物の動物地理とその進化の過程が考察されている。終章においては,次の新しい展開への橋渡しとして,総合科学としての動物地理学の展望について語った。
動物地理学が古典的な学問だと誤解している研究者とその卵たちに贈る必読の書。
●目次
はじめに
序 章 日本の動物地理………阿部 永
第I部 分子データで読み解く動物分布境界線再考
第1章 DNAより示唆される北海道産トガリネズミ群集の成立過程………大舘智志
第2章 DNAに刻まれたニホンジカの歴史………永田純子
第3章 ヒグマの系統地理的歴史とブラキストン線………増田隆一
第II部 種分化と動物地理
第4章 両生類の地理的変異………松井正文
第5章 琉球列島および周辺離島における爬虫類の生物地理………太田英利
第6章 アジアのネズミ類相の成因に関する時空間要因………鈴木 仁
第7章 齧歯類と線虫による宿主—寄生体関係の動物地理………浅川満彦
第III部 化石と考古遺物の動物地理
第8章 ニホンイノシシの分布・サイズ・変異………高橋 理
第9章 イノシシの遺伝子分布地図と起源………石黒直隆・渡部琢磨
第IV部 山脈と砂漠の動物地理
第10章 土壌環境がモグラの分布を制限する………阿部 永
第11章 シルクロードの動物地理:アカシカのダイナミックな大陸移動………馬合木提 哈力克
第V部 飛行への適応と動物地理
第12章 滑空性リス類の進化を探る………押田龍夫
第13章 コウモリ類における地理的変異と動物地理………前田喜四雄
第14章 小コウモリ類超音波音声の地理的変異………松村澄子
終 章 これからの動物地理学………増田隆一
引用文献
索 引
●著者紹介
増田 隆一
北海道大学創成科学共同研究機構助教授 理学博士
主 著:動物の自然史(分担執筆,北大図書刊行会),保全遺伝学(分担執筆,東大出版会)など
阿部 永
北海道大学創成科学共同研究機構助教授 理学博士
主 著:日本産哺乳類頭骨図説(北大図書刊行会),日本の哺乳類(監修,東海大出版会)など
浅川 満彦
酪農学園大学獣医学部助教授 博士(獣医学)
石黒 直隆
岐阜大学応用生物科学部教授 獣医学博士
太田 英利
琉球大学熱帯生物圏研究センター教授 博士(理学)
大舘 智志
北海道大学低温科学研究所助手 博士(理学)
押田 龍夫
帯広畜産大学畜産科学科助教授 博士(理学)
鈴木 仁
北海道大学地球環境科学研究院助教授 博士(学術)
高橋 理
千歳サケのふるさと館学芸員
永田 純子
森林総合研究所研究員 博士(地球環境科学)
前田 喜四雄
奈良教育大学教育学部教授 農学博士
松井 正文
京都大学大学院人間・環境学研究科教授 理学博士(京大)
松村 澄子
山口大学理学部助教授 理学博士
馬合木提 哈力克
中国新疆大学生命科学与技術学院教授 博士(獣医学)
渡部 琢磨
シグマアルドリッチジャパン ジェノシス事業部 博士(農学)