商品説明
雑穀の自然史 ― その起源と文化を求めて
山口裕文・河瀨眞琴 編著
定価:3,300円(本体価格3,000円+税)
判型:A5 並製
頁数:262
ISBN:978-4-8329-8051-8
Cコード:C3045
発行日:2003-09-10
●本書の特徴
わずか2〜3mmの貧弱な種子に秘められている人類と雑穀の長い歴史について,雑穀に魅せられた15人の研究者たちが熱く語る。さまざまな研究手法を駆使して,その成り立ちや伝播の歴史を読み解くとともに民族や文化との関わりについて探る。研究の視点やアプローチの多様さとともに「雑穀」をめぐる研究のむずかしさ楽しさ,そして保全の重要性が伝わる,研究者とその「苗」たちに贈る一冊。
●目次
はじめに
〔第I部 雑穀とは何か〕
第1章 雑穀の種類と分布………山口裕文
1.穀物の分類と文化認識
2.雑穀の栽培中心地(センター)と伝播
3.雑穀の育つ環境
第2章 アワの遺伝的多様性とエノコログサ………河瀬箕琴・福永健二
1.栽培の歴史
2.アワの起源とエノコログサ
3.ユーラシア各地のアワの遺伝的多様性
4.アワの遺伝的多様性と分化
第3章 雑穀の祖先,イネ科雑草の種子を食べる:採集・調整と調理・栄養………松本初子・山口裕文
1.種子を集めて粉にする
2.雑草種子の食べ方(調理の方法)
3.栄養
第4章 雑穀のアミノ酸組成と脂肪酸組成………平 宏和
1.雑穀のアミノ酸組成
2.雑穀の脂質含量と脂肪酸組成
3.アワの在来品種と脂肪酸組成
第5章 先史時代の雑穀:ヒエとアズキの考古植物学………吉崎昌一
1.フローテーション法と年代推定
2.ヒエの発掘
3.日本の先史時代のマメ
4.北海道の古代遺跡における雑穀と野生植物の検出
〔第II部 日本と東アジアの雑穀〕
第6章 日本のソバの多様性と品種分化………大澤 良
1.ソバの生殖様式
2.在来品種の多様性と生態的分化
3.在来品種の利用と採種方法
第7章 飛騨の雑穀文化と雑穀栽培………堀内孝次
1.飛騨のシコクビエ栽培
2.シコクビエの呼称
3.雑穀類の直播と移植
4.飛騨の焼畑と雑穀
5.水田での雑穀栽培
6.雑穀の早晩性
第8章 東アジアの栽培ヒエとひえ酒への利用………山口裕文・梅本信也
1.現地調査へ
2.麗江と寧痰へ
3.アジアにおけるヒエ属植物の種類
4.麗江の栽培ヒエと酒造り:現地調査1
5.寧痕県のヒエ栽培と酒造り:現地調査2
6.酒とかかわって残った栽培ヒエ
第9章 南西諸島のアワの栽培慣行と在来品種………竹井恵美子
1.南西諸島における雑穀栽培
2.栽培慣行
3.アワの在来品種の出穂特性
4.沖縄のアワはどこからきたか
第10章 照葉樹林文化が育んだ雑豆“あずき”と祖先種………山口裕文
1.起源研究の問題点
2.赤い豆“あずき”とアズキの祖先種
3.タンパク質とDNA分析から
4.古代遺跡から発掘されるマメ
5.赤いマメヘのアズキの進化
〔第3部 半乾燥地の雑穀〕
第11章 雑穀の亜大陸インド………木俣美樹男
1.インド亜大陸の環境と農業の概略
2.インド亜大陸で栽培されている雑穀
3.アフリカ大陸から伝播した雑穀(Ⅳグループ)
4.中央アジアから伝播した雑穀(Ⅰグループ)
5.インド亜大陸およびその周辺で起源した雑穀(Ⅱグループ)
6.新大陸から伝播した雑穀(Bグループ)
7.インド亜大陸における雑穀の調理法
8.雑穀の栽培化過程
第12章 ネパールにおけるセンニンコク類の栽培と変異………南 峰夫・根本和洋
1.センニンコク類の分布
2.栽培方法
3.栽培者の意識
4.利用方法
5.呼称の分布と伝播経路
6.ネパール産センニンコク類の変異
第13章 南アジアにおけるゴマの利用と民族植物学………河瀬眞琴
1.ゴマの利用
2.栽培ゴマの形態的特徴
3.栽培ゴマ,ふたつの系譜
4.S.mulayanumをめぐる混乱
5.路傍雑草と随伴雑草としてのS.mulayanum
6.インドにおけるゴマの在来品種と伝統的利用
第14章 作物になれなかった野生穀類たち………三浦励一
1.ニジェール川のブルグ
2.西アフリカで利用されるほかの野生穀類
第15章 雑穀のエスノボタニー:アフリカ起源の雑穀と多様性を創りだす農耕文化………重田員義
1.起源地で雑穀を作る人々:アフリカ起源の雑穀との出会い
2.アフリカの3大雑穀:分布と生態
3.モロコシ:品種の多様性と多目的な有用性
4.シコクビエ:雑穀の負のイメージ
5.トウジンビエ:サヘルの甘い真珠の輝き
6.アフリカイネ:アフリカ古王国の食糧基盤
7.テフ:エチオピア文化のアイデンテイティー
8.アフリカの雑穀の将来
9.雑穀の民族植物学的研究:アフリカ世界における雑穀研究の意義
引用・参考文献
索引
●著者紹介
山口 裕文(やまぐち ひろふみ)
1946年長崎県佐世保市に生まれる
1977年 大阪府立大学大学院農学研究科博士課程修了
現在 大阪府立大学大学院生命環境科学研究科教授 農学博士
主著:
植物の自然史(分担執筆,北海道大学出版会),植物の生き残り戦略(分担執筆,平凡社),ヒエという植物(編著,全国農村教育協会),雑草の自然史・栽培植物の自然史(編著,北海道大学出版会) など
河瀬 眞琴(かわせ まこと)
1953年長崎県大村市に生まれる
1985年 京都大学大学院農学研究科博士課程修了
現在 独立行政法人農業生物資源研究所ジーンバンク上級研究員 農学博士
主著:
植物遺伝資源入門(分担執筆,技報堂),インド亜大陸の雑穀農耕文化(分担執筆,学会出版センター) など
梅本信也(うめもとしんや)
1959年生まれ
1989年 京都大学大学院農学研究科博士課程中退
現在 京都大学フィールド科学教育研究センター里域生態系部門紀伊大島実験所所長・助教授 京大農博
大澤 良(おおさわ りょう)
1959年生まれ
1988年 筑波大学大学院農学研究科博士課程修了
現在 筑波大学大学院生命環境科学研究科助教授 農学博士
木俣 美樹男(きまた みきお)
1948年生まれ
1974年 東京教育大学大学院農学研究科修士課程修了
現在 東京学芸大学環境教育実践施設施設長・教授 農学博士
重田 眞義(しげたまさよし)
1956年生まれ
1988年京都大学大学院農学研究科博士課程修了
現在 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科助教授 農学博士
平 宏和(たいらひろかず)
1928年生まれ
1950年 千葉農業専門学校(現,千葉大学)農芸化学科卒業
現在 (社)資源協会食品成分調査研究所所長 農学博士
竹井 恵美子(たけい えみこ)
1955年生まれ
1986年 京都大学大学院農学研究科博士課程修了
現在 大阪学院短期大学教授 京都大学博士(農学)
根本 和洋(ねもと かずひろ)
1967年生まれ
1995年 信州大学大学院農学研究科修士課程修了
現在 信州大学大学院農学研究科助手
福永 健二(ふくなが けんじ)
1969年生まれ
1998年 京都大学大学院農学研究科博士課程修了
現在 総合地球環境学研究所 京都大学博士(農学)
堀内 孝次(ほりうち たかつぐ)
1943年生まれ
1969年 京都大学大学院農学研究科博士課程中退
現在 岐阜大学応用生物科学部教授 農学博士
松本 初子(まつもと はつこ)
1973年生まれ
1995年 近畿大学農学部農学科卒業
現在 大阪府立農芸高等学校教諭
三浦 励ー(みうら れいいち)
1964年生まれ
1990年 京都大学大学院農学研究科博士課程中退
現在 京都大学大学院農学研究科講師 京都大学博士(農学)
南 峰夫(みなみ みねお)
1950年生まれ
1977年 京都大学大学院農学研究科修士課程修了
現在 信州大学大学院農学研究科教授 農学博士
吉崎 昌一(よしざき まさかず)
1931年生まれ
1956年 明治大学大学院修士課程修了
元北海道大学文学部教授
(第2刷〈2006-07-25〉発行時の情報です)