商品説明
北海道大学COE研究成果編集委員会編
判型: A5 ソフトカバー
頁数: 388
ISBN: 978-4-8329-8177-5
Cコード: C3040
発行日: 2007-03-30
●本書の特徴
バイオサイエンスとナノテクノロジーにおいて独創的・先端的研究を展開している北海道大学の理学研究院・薬学研究院・電子科学研究所・遺伝子病制御研究所に所属する43名の第一線の研究者が,それぞれの研究分野を超えて結集し,生命科学研究の最前線を詳述する。本書では新技術を生み出すための23テーマの基礎研究が紹介されている。
●目次
口絵
まえがき
第I部 ナノサイエンスの新展開
第1章 導電性・磁性を有する機能性分子システムの創製
はじめに / 生体分子モーターと人工分子モーター / 生体分子モーターの仕組み / ブラウン-ラチェット機構 / 固相分子モーターの設計 / 分子性導体・磁性体 / 固相分子モーターの構築の試み / 固相分子モーター実現に向けて
第2章 フォトンフォース計測とナノフォトニック操作
はじめに / 三次元ポテンシャル計測技術 / レーザー光のフォトンフォース計測 / 単一微粒子の表面電荷密度の解析法 / 2微粒子間の相互作用力の解析 / 単一微粒子のフォトンフォース吸収分析法 / レーザートラッピングにおけるホッピング現象 / おわりに
第II部 バイオに学ぶナノテクノロジー
第3章 自己組織化とナノテクノロジー
自己組織化とは何か / 自己組織化による高分子ナノマテリアルの作製
第4章 超撥水フラクタル表面上における細胞の挙動
フラクタル構造の特徴 / フラクタル表面の自己組織的形成 / 超撥水フラクタル表面 / 超撥水フラクタル表面上における細胞培養 / 超撥水フラクタル表面上における粘菌の挙動
第5章 生体組織に匹敵するソフトマター材料の創成
はじめに / ゲルの低摩擦性 / 高強度ゲル / 強く耐久性のある低摩擦ゲル / 生体適合性のあるゲル / おわりに
第III部 ナノバイオサイエンス
第6章 蛍光相関分光法と分子ものさしを用いた細胞内微環境の解析
はじめに / 蛍光相関分光法 / FCSによる細胞測定
第7章 ペプチドチップを利用した分子間相互作用の解析
はじめに / ペプチドのSPOT合成 / 抗体の抗原決定基(エピトープ)のアミノ酸配列の決定 / 高次構造を再現したペプチドチップ解析の試み / ペプチドチップを用いた脂質-タンパク質相互作用の解析の試み / おわりに
第8章 発光性タンパク質を利用したバイオセンサーの開発
はじめに / 高効率に発光する蛍光タンパク質 / 円順列変異GFPを利用したバイオセンサー / 蛍光タンパク質間FRETを利用したバイオセンサー / BRETを利用したバイオセンサー / おわりに
第9章 細胞内部の力を可視化するナノフォース走査型プローブ顕微鏡の開発
はじめに / WR-SPMの開発と生細胞の形状測定 / 細胞内張力の可視化による細胞運動の解析 / 細胞内張力を制御するミオシン調節軽鎖のリン酸化 / 細胞の変形と張力ホメオスタシス / 今後の展望
第10章 DNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現の網羅的解析
はじめに / DNAマイクロアレイ解析の概要 / ホヤ胚発生における遺伝子発現の解析 / 市販されていない動物種のcDNAマイクロアレイ作製方法 / おわりに
第IV-1部 バイオを極める(1)——タンパクのナノサイエンス
第11章 光で機能するレチナール膜タンパク質のナノ構造
はじめに / 古細菌型ロドプシンとGPCR / 膜タンパク質の発現系とハロロドプシンへの応用 / ハロロドプシンのクロライドイオンポンプ機能に必要なアミノ酸残基 / ハロロドプシンの三量体ナノ造の形成 /
第12章 真核生物の転写制御因子によるDNA配列認識——ドメイン間の協調性による認識の多様化
はじめに / 真核生物における転写制御 / 転写制御因子のDNA結合領域 / 協調的DNA結合によるDNA配列認識 / 分子内に複数のDNA結合ドメインをもつ転写制御因子 / 分子内ドメイン間の協調的DNA結合 / おわりに
第13章 好中球活性酸素発生系の構造生物学
はじめに / NADPHオキシダーゼ活性制御の概要 / NADPHオキシダーゼ休止状態におけるp47phoxのX線結晶構造解析 / NADPHオキシダーゼ休止状態におけるp47phoxの立体構造の詳細 / NADPHオキシダーゼ活性化状態におけるp47phoxの立体構造 / タンデムSH3ドメインの活性化機構 / おわりに
第IV-2部 バイオを極める(2)——細胞のバイオサイエンス
第14章 生殖細胞の分化運命決定の分子機構
はじめに / 生殖細胞分化モデル系としての線虫C. elegans / 新規卵成熟制御因子MOEファミリータンパク質の同定と解析 / 生殖幹細胞の分化を制御するユビキチン依存的タンパク質分解系 / おわりに
第15章 細胞の膜リン脂質非対称性の役割
はじめに / 細胞膜のリン脂質非対称性とアミノリン脂質トランスロケース / Cdc50ファミリーの役割 / Drs2の脂質輸送活性 / リン脂質非対称性を制御するアミノリン脂質トランスロケースの機能 / おわりに
第16章 NO/cGMP情報伝達系分子の構造と機能
はじめに / グアニル酸シクラーゼの構造と機能 / 特異な構造のグアニル酸シクラーゼと進化 / おわりに
第17章 生殖細胞形成の分子細胞生物学
はじめに / 卵成熟の制御機構 / MPF形成の分子機構 / 精子形成の制御機構 / 雑種メダカを利用した生殖細胞形成機構の解明 / おわりに
第18章 プロテアソームを介した細胞制御——高等植物の細胞サイズ制御を中心として
はじめに / ユビキチン・プロテアソームシステム / 26Sプロテアソーム / 植物プロテアソーム / 細胞サイズ制御とプロテアソーム / おわりに
第IV-3部 バイオを極める(3)——個体のバイオサイエンス
19章 本能行動のナノバイオサイエンスをめざして
はじめに / 研究の進め方とその背景 / モデル系から得られた主要な知見 / 遡上時のシロザケにおけるホルモン遺伝子の発現変動 / おわりに
第20章 エゾサンショウウオの表現型可塑性——ゲノムと環境の相互作
はじめに / ネオテニー現象 / 温度依存性分化 / 可塑的肉食形態(頭でっかち) / おわりに
第21章 昆虫の適応行動の発現機構から学ぶナノとバイオの融合
はじめに / 昆虫の神経系 / 昆虫の感覚系 / 昆虫の社会的経験にともなう行動の変容 / 昆虫の脳におけるフェロモン情報処理とNOシグナル / 社会的経験の記憶とNO/cGMPシグナル / おわりに
第22章 進化がうみだしたもう1つの耳——昆虫の聴覚器官研究の最前線
はじめに / 昆虫の聴覚器官 / 弦音器官の構造と音受容の分子機構 / 音受容細胞は動く / 音伝達構造の進化/ おわりに
第23章 行動遂行中の動物からの中枢神経活動記録と解析——水棲動物用光テレメータの開発
はじめに / 光テレメータ装置の作動原理 / 光テレメータ装置の適用 / 他の実験動物への適用 / おわりに
用語解説
索 引
●著者紹介
北海道大学COE研究成果編集委員会
青沼 仁志
北海道大学電子科学研究所 助教授
安住 薫
北海道大学大学院薬学研究院・北海道大学創成科学共同研究機構 助手
池田 亮
北海道大学大学院先端生命科学研究所 助教授
稲垣 冬彦
北海道大学大学院薬学研究院 教授
居弥 口大介
北海道医療大学薬学部 助手
浦野 明央
北海道大学大学院理学研究院 教授
小椋 賢治
北海道大学大学院薬学研究院 助手
長田 義仁
北海道大学 副学長・大学院理学研究院 教授
角五 彰
北海道大学大学院理学研究院 助手
鎌田 このみ
北海道大学遺伝子病制御研究所 助教授
川原 裕之
北海道大学大学院薬学研究院 助教授
金城政孝
北海道大学電子科学研究所 助教授
グン 剣萍
北海道大学大学院理学研究院 教授
佐古香織
北海道大学大学院先端生命科学研究院
笹木 敬司
北海道大学電子科学研究所 教授