商品説明
居宅介護と変容する家族像をさぐる ー 「ホームホスピス」への取り組みを手がかりとして
関 孝敏・松浦尊麿・藤田益伸 編著
定価:3,740円(本体価格3,400円+税)
判型:A5 並製
頁数:280
ISBN:978-4-8329-6873-8
Cコード:C3036
発行日:2021-06-25
●本書の特徴
看護師・医師や弁護士・税理士・看取り士など、いわゆる「師・士」族33名が執筆し、僧籍を持つ執筆者も参画している。本書は、人生のターミナルポイントに焦点をあて、今を生きる、ケアとキュア(治療)の姿を平易に描く。介護保険制度の導入以来、まる20年、変容を深める日本の家族像をさぐる。「ホームホスピス」への取り組みや小規模多機能型居宅介護の事業事例を手がかりに、人生における「知・助・力」の在り方を読者に問いかける。
●目次
まえがき………関 孝敏
1章 変容する家族像をさぐる──「ホームホスピス®」事業の取り組みを手がかりとして
[ミニ解説]………関 孝敏
1.ホームホスピス®の意味………高橋紘士
ホームホスピスの実践がもたらしたケア論の書き換え
2.医療依存度の高い人の暮らしと看取り………金居久美子
2.1 ホームホスピス「ひなたの家」の始まり
2.2 ホームホスピス「ひなたの家」の理念と体制
2.3 「もう次に行く所を探さなくていいんですね。」──医療依存度の高い人の居場
2.4 「生きている意味あるんかな」──医療依存度の高い人の存在意義
2.5 命のバトン、これが私の逝き方──最期の時間を共に過ごす意味
3.地域から生えてきた──「ホームホスピスわれもこう」の取り組み……竹熊千晶
3.1 「ホームホスピスわれもこう」
3.2 「ホームホスピスわれもこう」のある地域の特徴
3.3 熊本地震と災害後のつながり
3.4 看取りからのつながり──K先生の物語
4.コロナ禍におけるホームホスピス®の意義………郡 千夏・山口健太郎
4.1 Covid-19と高齢者施設─安全か暮らしか
4.2 暮らしと住まいの関係
4.3 コロナ禍におけるホームホスピスの暮らし
5.ホームホスピス®におけるコロナ禍での看取り………市原美穂
5.1 ホームホスピスってどんなところ?
5.2 「面会はできますか?」
5.3 感染予防の対策、空間の工夫と環境
5.4 守るべきものは、暮らしと人生
5.5 看取りの主体は家族
2章 多様な小規模型居宅介護事業所における取り組み──介護事業者・看護師・社会福祉士の経験から
[ミニ解説]………関 孝敏
1.NPO法人による取り組み事例──『ほほ笑の森』(姫路市)と『花凪』(札幌市西区の経験から)
1.1 『ほほ笑の森』………関 孝敏・梅原智恵美
1.2 『花凪』………木村美和子
2.地域密着型居宅サービス─グループホームと看護小規模多機能型居宅介護事業所の事例から
はじめに………関 孝敏
2.1 地域密着型居宅サービスの概要………藤田益伸
2.2 グループホーム『すぎの子の家』に勤務して──出会いから15年を振り返る………森 典子
2.3 看護小規模多機能型居宅介護──複合型サービス事業所『なごみ』………関 孝敏・葛西千鶴子・花海美知子
3.大阪におけるふたつの事業形態の活動とこれからの居宅介護………白戸 望
3.1 「独立型」居宅介護支援事業所の歩み
3.2 小規模多機能型事業所の歩み
3.3 事業所の展開と地域で果たしてきた役割──以下の事例の吟味を通じて
3.4 現状評価と今後の役割
補節 新型コロナウイルス禍における地域包括支援センターの活動………佐藤 章
1.1 専門職の役割
1.2 「包括」の業務内容
1.3 新型コロナウイルスのなかでの地域活動
3章 「師・士」族・各専門分野から変容する家族像をさぐる
[ミニ解説]………関 孝敏
1.終わり良ければ全て良し──悔いのない人生のフィナーレを迎えるために
はじめに………外岡 潤
1.1 高齢者にとってあてになる人とは?………新井田芳治
1.2 より良いホームホスピス実現のための法的視点………田中陽平
おわりに………外岡 潤
2.高齢者と介護施設をめぐる課題
2.1 高齢社会が抱える問題──行政書士の仕事を通して老後を考える………井口由美子
2.2 高齢者の預貯金の管理──将来の相続に備えて………駒村元男
3.認知症患者とその家族の初期対応………寺島 明
3.1 認知症とは
3.2 認知症の初期症状
3.3 認知症の治療
3.4 認知症の介護
4.在宅介護の現場において認知症を患っていらっしゃる方への対応をめぐる課題………長田久雄
4.1 認知症の人と家族の持つ課題
4.2 在宅介護家族への支援
4.3 認知症の人と家族を支える基本姿勢
補節 義母と母の介護………小幡美津子
1.1 義母が認知症に
1.2 倉敷の母が認知症に
1.3 認知症患者家族会「麦の芽会」に参加して
1.4 民生委員・児童委員の依頼を受けて
4章 看取りと「無念の死」を手がかりに変容する家族像をさぐる
[ミニ解説]………関 孝敏
1.看取りの在り方と看取り文化………柴田久美子
1.1 「家で死にたい」を支える看取り士
1.2 「日本看取り士会」を創設した理由
1.3 看取りの文化
1.4 看取り士日記(1)──家に帰りたい
1.5 看取り士日記(2)──旅立ちの温かさ
補注
2.在宅看取りと医療文化
2.1 地域医療における看取り文化の醸成………前沢政次
2.2 総合診療の観点から見た看取りの在り方………久田敦史
3.仏教・災害・看取り………釈 徹宗
3.1 思い通りならない事態をどう引き受けていくか
3.2 タイのホームホスピス
3.3 消費者体質を問う
4.看取りの時間………梶原敬一
4.1 願いとは
4.2 願いを叶えるとは
4.3 息を引き取るまで
4.4 看取りの看護
4.5 小児の看取りの看護
4.6 子供たちのさまざまな命の在り方
5.災害による無念の死………長橋和希・山本保博
5.1 災害死について
5.2 DMATの創設と災害医療の進展
5.3 災害時における関連死
5.4 孤独死と呼ばれる災害関連死
5.5 家族・地域コミュニティーの重要性
5章 学際的連携に向けて変容する家族像をさぐる
[ミニ解説]………関 孝敏
1.家族社会学の立場から………関 孝敏
1.1 ライフコースと家族のライフステージ──「ホームホスピス」への取り組みに接近するために(1)
1.2 居宅介護と在宅介護──「ホームホスピス」への取り組みに接近するために(2)
1.3 看取りと見送り──「ホームホスピス」への取り組みに接近するために(3)
1.4 擬似的家族と擬制的家族──「ホームホスピス」への取り組みに接近するために(4)
2.福祉心理学の立場から………藤田益伸
2.1 専門知と専門的援助関係
2.2 専門知としての共感から汎専門知としての慈悲へ
2.3 住まいが生み出すコンヴィヴィアリティ
3.福祉政策論の立場から………高橋紘士
3.1 地域包括ケアの創始
3.2 地域包括ケアシステムの政策化
3.3 地域包括ケア………システムの前提
3.4 地域包括ケアシステムの包括化と深化──地域共生社会構想
4.地域医療の立場から………松浦尊麿
4.1 「共に生きる」地域の総合力づくり(外岡潤多可町の取り組み概要)
4.2 「家族」と地域社会の変化
4.3 「在宅医療」の課題
4.4 「ホームホスピス」の取り組みと課題
4.5 今後の医療・ケア連携に向けて
特別寄稿 新型コロナウイルスによる認知症と神経難病へのインパクト………中藤恵美・東 靖人
1.1 対象と方法
1.2 結果
1.3 考察
あとがき………松浦尊麿・藤田益伸・関 孝敏
執筆者一覧(執筆順)
■執筆者一覧(執筆順)
高橋紘士 :東京通信大学教授・(一社)全国ホームホスピス協会理事・(一社)高齢者住宅協会顧問
金居久美子:NPO法人ひなた代表理事・訪問看護ステーション・ヘルパーステーション管理者・全国ホームホスピス協会理事
竹熊千晶 :熊本保健科学大学教授・NPO法人老いと病いの文化研究所われもこう代表・全国ホームホスピス協会理事
郡 千夏 :近畿大学大学院総合理工学研究科博士前期課程在学中
山口健太郎:近畿大学建築学部教授・(一社)全国ホームホスピス協会理事
市原美穗 :(一社)全国ホームホスピス協会理事長・認定NPO法人ホームホスピス宮崎理事長
関 孝敏 :編著者/詳細は下記著者紹介参照
梅原智恵美:NPO法人ほほ笑の森代表
木村美和子:NPO法人花凪(はななぎ)理事長
藤田益伸 :編著者/詳細は下記著者紹介参照
森 典子 :元(医)豊生会グループホームすぎの子の家ホーム長
葛西千鶴子:(医)豊生会東苗穂ナーシングケアセンターひだまりセンター長
花海美知子:(医)豊生会理事・看護部顧問
白戸 望 :ケアマネリングみなと代表・NPO 法人パオッコ─離れて暮らす親のケアを考える会顧問
佐藤 章 :姫路市飾磨西地域包括支援センター・社会福祉士
外岡 潤 :介護・福祉系法律事務所おかげさま代表・弁護士
新井田芳治:新井田法律事務所代表・弁護士
田中陽平 :田中・大村法律事務所代表・弁護士
井口由美子:熊本県行政書士会会長
駒村元男 :駒村元男税理士事務所代表・税理士
寺島 明 :兵庫県立姫路循環器病センター高齢者脳機能治療室・認知症疾患医療センター・医師
長田久雄 :桜美林大学大学院国際学術研究科教授・NPO法人パオッコ─離れて暮らす親のケアを考える会顧問・(財)認知症予防財団理事
小幡美津子:兵庫県福崎町民生・児童委員
柴田久美子:(一社)日本看取り士会会長・(株)日本看取り士会代表取締役
前沢政次 :夕張市立診療所所長・北海道大学名誉教授
久田敦史 :名古屋第二赤十字病院総合内科医
釈 徹宗 :相愛大学副学長/人文学部教授・浄土真宗本願寺派僧侶
梶原敬一 :元(独)姫路医療センター小児科長・真宗大谷派僧侶
長橋和希 :(医)伯鳳会東京曳舟病院救急救命士
山本保博 :(医)伯鳳会東京曳舟病院病院長・日本医科大学名誉教授
松浦尊麿 :編著者/詳細は下記著者紹介参照
中藤恵美 :(医)公仁会姫路中央病院看護部次長
東 靖人 :(医)公仁会姫路中央病院理事長
●著者紹介
関 孝敏(セキ タカトシ)
*執筆:まえがき、各章[ミニ解説]、2章1節1.1、2章2節はじめに、2章2節2.3、章1節、あとがき
北海道大学名誉教授、NPO法人パオッコ─離れて暮らす親のケアを考える会顧問、
(一社)社会と災害文化研究所代表理事
〈主な著作〉
『家族と都市移住』,2009,古今書院.
『北海道南西沖地震・津波と災害復興』,2016,北海道大学出版会. など
松浦 尊麿(マツウラ タカマロ)
*執筆:5章4節、あとがき
多可赤十字病院名誉院長、多可町医療・保健・福祉統括参与
〈主な著作〉
『保健・医療・福祉を学ぶ人のための地域ケア総論』,2009,久美.
『地域を紡ぐ包括的医療・ケア』,2020,大垣書店. など
藤田 益伸(フジタ ヨシノブ)
*執筆:2章2節2.1、5章2節、あとがき
神戸医療福祉大学准教授、日本ホスピス・在宅ケア研究会理事・編集長、
(一社)社会と災害文化研究所理事
〈主な著作〉
「在宅ケアにおける連携リフレクション尺度の作成」『ホスピスケアと在宅ケア』24(2):2016,92-99.
『教育・福祉関係者のための児童虐待と障害者虐待基礎編』(分担執筆),2019,ジアース教育新社. など
(本書刊行時の情報です)