商品説明
細田 典明編著
判型: 四六 並製
頁数: 272
ISBN: 978-4-8329-3388-0
Cコード: C1039
発行日: 2015-03-31
●本書の特徴
食の話題のア・ラ・カルト! たっぷり召し上がれ。
人は食を通じて命を繋いでいくとともに、生活を豊かにして来ました。本書では「食と文化」をテーマとして、思想・歴史・地域・社会の面から、「食」の様々なあり方と問題点を探求します。
各執筆者の専門分野は、一見すると接点が少ないようですが、「食と文化」という人の営みと関わっているという点では共通しています。各執筆者は、専門分野からみた食と文化の諸相について、分かりやすい具体例から論じてゆきます。例えば、仏典や聖書は食べ物についてどのように説いているのか、ヨーロッパ中世・近世の旅と飲食、ペルシア宮廷の食事、中国やロシアに見る食の風景を文学から取り上げ、諸外国の歴史や文学と食に関する話題を提供します。さらに、地理学からブラジルにおけるサトウキビ栽培の発展を取り上げ、国際社会学から食と文化の問題を考えます。
身近な食の話題から、時間・空間を縦横無尽に飛び回る。北大文学部公開講座の醍醐味をぞんぶんに味わってください。
●目次
はじめに
第1章 古代インドの食の概念と食物の起源——神々と人間の食物………細田典明
はじめに
1 古代インドにおける食の概念
2 『起源経』に見る食物の起源——食の摂取と人間社会
3 神々の食物と人間界の食物
第2章 聖書は食べ物について何を教えているか………佐々木 啓
はじめに
1 聖書における「食物禁忌」とその解釈
2 ユダヤ教における「食物禁忌」の解釈
3 キリスト教における「食物禁忌」の解釈
4 メアリ・ダグラスによる「食物禁忌」の解釈
結論にかえて
第3章 ペルシア宮廷のワインとシャーベット………守川知子
はじめに
1 ペルシア文化のなかのワイン
2 ペルシアの甘味とスイーツ
3 近世のペルシア宮廷の食文化
4 辛党から甘党へ——ワインに代わるものとしての砂糖
おわりに
第4章 中世・近世ヨーロッパの食文化——旅人の食卓から………山本文彦
はじめに——旅行記について
1 旅人はどんなふうに旅をしたのか
2 旅人は何を食べ、何を飲んでいたのか
3 「肉なし日」には何を食べていたのか
4 食事と身分は関係していた
5 地域や時代で食卓は変化した
おわりに——私たちの食卓
第5章 猪八戒は食いしん坊か?………武田雅哉
1 空腹の怪物たち
2 喰うことの物語『西遊記』
3 八戒歎異
4 饕餮よ永遠に
第6章 ロシア文学における食の風景………大西郁夫
1 パンの「白黒」——白いパンと黒いパン
2 ロシア文学に現れる食——レアリアとして
3 小説における食べ物の描写——社会的記号として
4 食が重要な小説二題——『羨望』と『モスクワ—ペトゥシキ』
第7章 ブラジルにおけるサトウキビ生産の発展………仁平尊明
はじめに
1 ブラジルにおけるサトウキビ生産の展開
2 サンパウロ州におけるサトウキビ生産の構造
3 サトウキビ生産の課題
第8章 フランスに見る食と文化の国際社会学………樽本英樹
1 「食」と「文化」のクエスチョン
2 生存のための「食」
3 楽しみのための「食」
4 グローバル化とフランスの「食」
5 人のグローバル化と「食」の多文化化
6 グローバル化における食と文化のこれから
おわりに
執筆者紹介
●著者紹介
細田 典明
1957年生、北海道大学大学院文学研究科博士課程中退。
現在、北海道大学大学院文学研究科・教授(宗教学インド哲学講座)。
論文に“The simile of the leech (jalāyukā) as samsārin” (Three mountains and seven rivers, Motilal Banarsidass Publishers, 2004)、「『雑阿含』道品念處相応」(『インド哲学仏教学論集』第二号、2014年)。
佐々木 啓
1959年生、北海道大学大学院文学研究科博士課程中退。
現在、北海道大学大学院文学研究科・教授(宗教学インド哲学講座)。
共著に『聖と俗の交錯』(北海道大学図書刊行会、1993年)、『面白いほどよくわかるキリスト教』(日本文芸社、2008年)。
守川 知子
1972年生、京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定退学、博士(文学)。
現在、北海道大学大学院文学研究科・准教授(東洋史学講座)。
単著に『シーア派聖地参詣の研究』(京都大学学術出版会、2007年)、論文に「地中海を旅した二人の改宗者:イラン人カトリック信徒とアルメニア人シーア派ムスリム」(長谷部史彦編『地中海世界の旅人』慶應義塾大学言語文化研究所、2014年)、「「イラン史」の誕生」(『歴史学研究』第863号、2010年)。
山本 文彦
1961年生、東北大学大学院文学研究科博士課程後期修了、博士(文学)。
現在、北海道大学大学院文学研究科・教授(西洋史学講座)。
単著に『近世ドイツ国制史研究:皇帝・帝国クライス・諸侯』(北海道大学図書刊行会、1995年)、訳書に『神聖ローマ帝国1495—1806』(ピーター・H・ウィルスン著、岩波書店、2005年)、『中世ヨーロッパ社会の内部構造』(オットー・ブルンナー著、知泉書館、2013年)。
武田 雅哉
1958年生、北海道大学大学院文学研究科博士課程中退。
現在、北海道大学大学院文学研究科・教授(中国文化論講座)。
単著に『〈鬼子〉たちの肖像:中国人が描いた日本人』(中央公論新社、2003年)、『楊貴妃になりたかった男たち:〈衣服の妖怪〉の文化史』(講談社、2007年)、『万里の長城は月から見えるの?』(講談社、2011年)。
大西 郁夫
1985年生、北海道大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。
現在、北海道大学大学院文学研究科・准教授(西洋文学講座)。
論文に「『オブローモフ』におけるコーヒーとウォトカのイメージ」(『ロシア語ロシア文学研究』第33号、2001年)、「ロシア文学における北方イメージ」(北海道大学大学院文学研究科・文学部/北大文学研究科公開シンポジウム『北方的—北方研究の構築と展開』報告書、2007年)。
仁平 尊明
1971年生、筑波大学大学院博士課程地球科学研究科修了、博士(理学)。
現在、北海道大学大学院文学研究科・准教授(地域システム科学講座)。
単著に『エネルギー効率から見た日本の農業地域』(筑波大学出版会、2011年)、共編に『地域調査ことはじめ:あるく・みる・かく』(梶田真・加藤政洋と共編、ナカニシヤ出版、2007年)。
樽本 英樹
東京大学大学院人文・社会系研究科博士課程修了、博士(社会学)。
現在、北海道大学大学院文学研究科・准教授(社会システム科学講座)。
単著に『よくわかる国際社会学』(ミネルヴァ書房、2009年)、『国際移民と市民権ガバナンス:日英比較の国際社会学』(ミネルヴァ書房、2012年)、共編著に『現代人の国際社会学・入門:トランスナショナリズムという視点』(西原和久と共編著、有斐閣、2015年刊行予定)。