商品説明
コモンズ 地域の再生と創造 ー 北からの共生の思想
小磯修二・草苅 健・関口麻奈美 著
定価:2,860円(本体価格2,600円+税)
判型:四六 上製
頁数:308
ISBN:978-4-8329-6794-6
Cコード:C3036
発行日:2014-01-10
●本書の特徴
北海道苫東工業団地内の手入れが行き届かない緑地を、近隣の市民が協力して手入れし、ハスカップ摘みや薪の生産、フットパスなど、憩いの里山空間に生まれ変わらせた。国内外の多様な事例をもとに、このような共有空間=コモンズという言葉を手掛かりに、地域社会の新たな発展の可能性を探る。
●版元から
本書のねらいは、コモンズという言葉、コンセプトを手がかりに、これからの地域社会のあらたな発展の可能性を考えていこうというものである。
●目次
はじめに
〔第1編 地域思想としてのコモンズ 試論〕………小磯修二
第1章 なぜコモンズか:新たな地域の発展パラダイムに向けて
1 コモンズの時代:「共有空間」から「つながりのシステム」へ
2 有限な空間資源,土地は誰のものか:コモンズとしての国土,地域
3 コモンズの経済学:地域内の連携・連鎖の強化による経済カの向上
第2章 共生からコモンズへ
1 共生の思想:開放性と閉鎮性のバランス
2 ジェイコブスの多様性の思想とコモンズ
3 社会的共通資本とコモンズ
4 田園都市の思想,都市と農村の共生
5 共生空間としての流域圏:自然環境生活,経済の共生
第3章 コモンズの胎動:実践,伝統からの学び
1 由比の桜えび
2 コモンズと図書館
3 四万十川流域の広域管理
4 永遠のコモンズ
第1編のおわりに
〔第2編 コモンズの地域展開〕………草苅 健
第1章 苫東環境コモンズの誕生
1 勇払原野と苫東プロジェクト
2 内在していた苫東オープンスペース管理の課題
3 「B級自然」勇払原野ファンとNPO設立
4 コモンズの必然
第2章 苫東環境コモンズの展開の実際
1 環境コモンズとは何か
2 地域の環境保全について
3 環境の利活用について
4 生物多様性とともに
5 コミュニティにおける「持ち寄り」のつきあい
6 管理メニューと協定
第3章 苫東環境コモンズの現地からの発想
1 土地問題とオープンスペース管理
2 「森はみんなのもの」
3 オープンスペース管理の動機
4 さまざまなオープンスペース管理と課題
第4章 コモンズと風土に関する試論:結びに代えて
1 地域の風土をケアする農林業技術
2 コモンズと風土
3 薪とコモンズ
4 北海道のコモンズ感覚と北欧
5 ハスカップ・イニシアチブ
〔第3編 地域づくりとコモンズの息吹〕………関口麻奈美
第1章 潜在資源を内外の力で発現:コモンズで森林価値を高める岡山県西粟倉村
1 小さな村が取り組むコモンズ的林業再生
2 林野統一,払い下げ,造林,放置:西粟倉村の森林の歴史
3 観光再生をテーマにした地域再生マネージャーから
4 百年の森林構想と百年の森林事業とは
5 核となる百年の森林創造事業
6 必要な資金を市民の小額出資で集める
7 地域商社役を担う西粟倉・森の学校
8 施業 管理を担う美作東備森林組合
9 雇用創出,経済成長,広がる波及効果
10 私有地管理をコモンズ的発想で:「協治」と「公・共・私」
第2章 多彩な地域の資源を共有化し,生き残る地域づくり:北海道浜中町
1 北海道型コモンズが宿る浜中町
2 酪農と漁業のまち,浜中町
3 NPO法人霧多布湿原ナショナルトラスト
4 先進的な取り組みを進める浜中町農協
5 酪農家所有の土地を登録し,地域づくりに活かす「緑の回廊づくり」
6 NPO法人えんの森の誕生
7 機動的システムで土地や空間の価値を高める
8 ノウハウの共有化で地域を存続させる
9 自然資源を軸に経済活性化を目指す北海道型コモンズ
第3章 現代に残る日本型コモンズ:長野県野沢温泉の共有財産を守る仕組みから
1 伝統的な地域の共同体組織「野沢組」
2 野沢温泉の変遷
3 歴史と伝統のある野沢温泉
4 「地縁団体法人野沢組」の組織と役割
5 財産を一体管理する「財団法人野沢会」
6 野沢組の活動や運営実態から見えるコモンズの視点
7 共同浴場を次の時代につなげる「湯仲間」制度
8 野沢組と野沢温泉スキー場
9 風土や愛着,誇りが根づく内発的コモンズ
第3編のおわりに
〔第4編 コモンズの旅〕
第1章 英国のコモンズとフットパスを訪ねて:「歩く権利」と「オープンスペース」を獲得した庶民の歴史………草苅 健
1 はじめに
2 英国のコモンズの歴史
3 フットパス探訪
4 ロンドンの森のコモンズ
第2章 フィンランド紀行:暮らしに根づく「万人権」の国を訪ねて………関口麻奈美
1 はじめに:自然環境保全を暮らしの中から学ぶ
2 北欧における「万人権」
3 フィンランドの万人権
4 万人権にかかわる組織や団体などへのヒアリングから
5 万人権を肌で感じる:ヌークシオ国立公園を歩く
6 まとめ:フィンランドを訪問して
〔第5編 座談会〕
新しい時代の「コモンズ」に向けて:まとめに代えて………小磯修二,草苅 健,関口麻奈美
1 はじめに
2 現代に託す「コモンズ」の意味
3 印象に残る地域や出会い
4 意義深かった海外調査
5 これからの「コモンズ」の意義と役割
参考文献
お世話になった方々
●著者紹介
小磯 修二(こいそ しゅうじ)
1948年大阪市生まれ。72年京都大学法学部卒業後,北海道開発庁・国土庁(現国土交通省)で,計画官,企画調整官など,企画・計画部門を歴任した後,99年に釧路公立大学教授,初代の地域経済研究センター長に就任。2008年から釧路公立大学学長。12年5月より北洋銀行非常勤顧問。同年9月より北海道大学公共政策大学院特任教授,現在に至る。
地域政策研究の分野において,地域課題解決に向けた実践的な研究プロジェクトを数多く展開。また,中央アジア地域等で地域開発分野での国際貢献活動にも従事。専門は地域開発政策地域経済。公職に,国土審議会専門委員,国際協力機構(JICA)キルギス国イシククリ地域総合開発調査委員会委員長,北海道観光審議会会長北海道バックアップ拠点構想検討有識者会議座長,釧路川流域委員会委員長,北海道社会資本整備重点化方針検討委員会委員長など。主な著書に,『戦後北海道開発の軌跡』(山崎幹根と共編著,北海道開発協会,2007年),『地域自立の産業政策』(イマジン出版,2007年),『地方が輝くために』(柏艪舎,2013年)など。
草苅 健(くさかり たけし)
1951年山形市生まれ。75年北海道大学農学部卒。76年,苫小牧東部開発株式会社に入社し,インダストリアルパークを目指した苫東工業基地の緑地づくりと緑地保全管理景観形成広報に従事。98年,同社の経営破綻に伴い退社し,財団法人北海道開発協会に入社。はまなす財団への出向を経て10年7月より北海道開発協会開発調査総合研究所所長代理。ホームページで「雑木林&庭づくり研究室」(http:/ /homepage3.nifty.com/hayashi-kokoro/)を主宰し,この活動を核にして,苫東勇払原野の保全と利活用を担う苫東環境コモンズを設立し,10年1月,NPO法人認証。技術士(環境部門),ー級造園施工管理技士。NPO法人苫東環境コモンズ事務局長。
著書に,『林とこころ』(北海道林業改良普及協会,2004年),『生活見なおし型観光とプランド形成』(分担執筆,小林好宏・佐藤郁夫編著,北海道開発協会,2007年),『これからの選択 ソーシャル・キャピタル』(分担執筆,小林好宏・梶井祥子編著,北海道開発協会,2011年)。
関口 麻奈美(せきぐち まなみ)
北海道苫前町生まれ。天使女子短期大学卒業後,編集プロダクション会社勤務を経て,1999年に独立。マーケティング調査,編集・企画業務に携わりながら,地域研究活動に従事。釧路公立大学地域経済研究センター客員研究員として,商店街活性化観光経済効果,食の安全・安心調査などの研究プロジェクトに参加するほか,99年から発刊されている地域経済レポート『マルシェノルド』(一般財団法人北海道開発協会発行『開発こうほう』特集号)の編集取材に創刊時から携わる。公職は,北海道一村一炭素おとし事業(現:一村ーエネ事業)審査委員会委員,滝川市余暇活動検討委員会委員など。
(本書刊行時の情報です)