商品説明
栗田 啓子・松野尾 裕・生垣 琴絵編著
判型: A5 上製
頁数: 348
ISBN: 978-4-8329-6819-6
Cコード: C3033
発行日: 2016-03-31
●本書の特徴
日本において、女性に対する経済学教育はどのように成立したのか。
女性の経済学者はどのように誕生したのか。
大正期の女性経済学教育、日本初の女性経済学者・松平友子とその系譜、労働経済学者・竹中恵美子の業績など、100年にわたる歴史的展開と現代的意義を論じる。
●目次
はじめに………栗田啓子
第1部 女性への経済学教育——新渡戸稲造と森本厚吉
第1章 日本における「女性と経済学」の起点——1910—20年代,山川菊栄の論説にそくして
………………松野尾 裕
第1節 はじめに
第2節 山川菊栄の登場
第3節 女性に対する経済学教育
第4節 女性の要求
第5節 むすび
第2章 女子高等教育におけるリベラル・アーツと経済学——東京女子大学実務科とは何だったのか
………………栗田啓子
第1節 はじめに
第2節 女子高等教育への期待
第3節 リベラル・アーツと人格教育
第4節 リベラル・アーツと経済学
第5節 経済学教育の成果
第6節 おわりに
第3章 森本厚吉の女子経済教育………生垣琴絵
第1節 はじめに
第2節 経済学者としての森本——消費経済の研究
第3節 文化生活の普及を試みる
第4節 教育者としての森本——女子経済教育の実践
第5節 おわりに——森本厚吉の評価
第2部 生活への視点
第4章 松平友子の家事経済学——日本における女性による経済学研究/教育の誕生
………………松野尾 裕
第1節 はじめに——女性による経済学研究/教育の始まり
第2節 家政学と経済学
第3節 家庭生活の経済学的把握
第4節 家族経済の理論
第5節 家族経済の実際
第6節 まとめ——松平友子から学ぶこと
第5章 オルタナティブな「生活者の経済」学——家庭生活の経済的研究の系譜………上村協子
第1節 家庭生活の経済的研究の系譜——松平友子・伊藤秋子・御船美智子
第2節 家族経済と国民経済の接合——松平友子の家族経済学
第3節 実証分析とフィールド調査——伊藤秋子の家庭経済学
第4節 御船美智子の生活者の経済学
第5節 まとめ——生活の創造に向けて
回想 松平友子先生と私………亀髙京子
まえがき
松平友子先生と私
追記 家事経済学から家政学原論へ
第3部 労働への視点
第6章 竹中恵美子の女性労働研究——1960年代まで………松野尾 裕
第1節 はじめに——女性の経験を理論化する
第2節 格差ではなく差別の問題
第3節 『女のしごと・女の職場』
第4節 「春闘方式」への批判
第5節 むすびに代えて
第7章 1970年代以降;第二派フェミニズムの登場とそのインパクト——女性労働研究の到達点
………………竹中恵美子
第1節 はじめに——生産と社会的再生産の経済学を拓く
第2節 ジェンダーによる経済学批判
第3節 雇用における男女平等の新段階
第4節 「20世紀型福祉国家」から「21世紀型福祉国家」への変化
第5節 いま日本の労働フェミニズムが提起すべき改革とは
第8章 関西における労働運動フェミニズムと竹中理論………伍賀偕子
第1節 はじめに——関西における労働運動フェミニズムの軌跡
第2節 同一価値労働同一賃金をめざして
第3節 「保護か平等か」二者択一論と統一の理論
第4節 「機会の平等」と「結果の平等」
第5節 ディーセント・ワークをめざす女性たちの学びと解放のテキスト
対談 「女性と経済学」をめぐって………竹中恵美子・村松安子
おわりに………生垣琴絵
あとがき
事項索引
人名索引
執筆者紹介
●著者紹介
生垣 琴絵
小樽商科大学教育開発センター学術研究員
専門領域:経済思想史
主な著作:「1920年代アメリカの消費論——女性経済学者ヘーゼル・カーク」『経済学研究』(北海道大学大学院経済学研究科)第60巻第3号所収,2010年。「アメリカにおける消費経済学の形成」(博士学位論文:北海道大学)2012年。「森本厚吉の消費経済学」『経済社会学会年報』第35号所収,2013年。ほか
上村 協子
東京家政学院大学現代生活学部教授
専門領域:生活経済学
主な著作:『現代社会の生活経営』(共編著)光生館,2001年。『相続にみる女性と財産』(科学研究費報告書)2003年。「生活創造時代の消費者教育——消費生活創造論 試論」『生活福祉研究』(明治安田生活福祉研究所)第85号所収,2013年。ほか
亀髙 京子
東京家政学院大学名誉教授
専門領域:家政学原論
主な著作:『家政学原論』(共著)光生館,1981年。『新版家政学原論・家庭経営』(共著)朝倉書店,1981年。ほか
2015年逝去
栗田 啓子
東京女子大学現代教養学部教授
専門領域:経済思想史
主な著作:『エンジニア・エコノミスト——フランス公共経済学の成立』東京大学出版会,1992年。『古典から読みとく経済思想史』(共著)ミネルヴァ書房,2012年。「ジッド=リストの『軽罪学説史』——20世紀転換期フランスにおける経済学観の変容」『経済学史研究』(経済学史学会)第55巻第2号所収,2014年。ほか
伍賀 偕子
元大阪総評オルグ,元関西女の労働問題研究会代表
専門領域:女性労働・女性労働運動史
主な著作:『大交五十年史』(共著/大阪交通労働組合編)1995年。『次代を拓く女たちの運動史』松香堂,2002年。『敗戦直後を切り拓いた働く女性たち——「勤労婦人聯盟」と「きらく会」の絆』ドメス出版,2014年。『大阪社会労働運動史』第5・7・8巻(共著/大阪社会運動協会編)1994・97・99年。ほか
竹中 恵美子
大阪市立大学名誉教授
専門領域:労働経済学
主な著作:『戦後女子労働史論』有斐閣,1989年。『竹中恵美子の女性労働研究50年——理論と運動の交流はどう紡がれたか』(共著)ドメス出版,2009年。『竹中恵美子著作集』全7巻,明石書店,2011〜12年。ほか
松野尾 裕
愛媛大学教育学部教授
専門領域:日本経済思想史
主な著作:『田口卯吉と経済学協会——啓蒙時代の経済学』日本経済評論社,1996年。『日本の近代化と経済学——ボン大学講義』日本経済評論社,2002年。「丸岡秀子の生活・家計研究——その思索の根幹について」『経済学史研究』第57巻第2号所収,2016年。ほか
村松 安子
東京女子大学名誉教授
専門領域:開発経済学
主な著作:『「ジェンダーと開発」論の形成と展開——経済学のジェンダー化への試み』未来社,2005年。『壁を超える——政治と行政のジェンダー主流化 ジェンダー社会科学の可能性 第3巻』(共著)岩波書店,2011年。ほか
2013年逝去