商品説明
清水 靖久著
判型: A5 並製
頁数: 338
ISBN: 978-4-8329-6862-2
Cコード: C3031
発行日: 2019-11-20
●本書の特徴
彼は、戦後民主主義の「虚妄」の方に賭けたのか、東大全共闘に「ナチもしなかった」と言ったのか——戦後半年あまり民主主義に懐疑的であった丸山は、人民主権の新憲法と60年安保を経て「永久革命としての民主主義」の思想に至る。その丸山は1960年代末の東大紛争で直面した困難にどのように応えようとしたか。破滅的な戦争から再出発した日本のデモクラシーを丸山真男の軌跡とともに考える。
●目次
まえがき
第一章 戦後民主主義は虚妄か
一 戦後民主主義の「虚妄」
二 守るも攻めるも戦後民主主義
三 民主主義の逆説
四 否定をくぐった肯定
第二章 永久革命としての民主主義
一 民主主義への懐疑
二 人民主権の思想
三 民主勢力の運動
四 民主主義の永久革命
第三章 アメリカの不可解さ
一 境界に住むこと
二 ビザ拒否と不適格免除
三 アメリカは画一的か
四 日本の方が画一的か
五 海外亡命の途
六 ビザ取消と制限
結びに代えて
第四章 他者を理解する知性
一 マンハイムとヘーゲル
二 他者理解と大学再建
三 民主主義の未成熟
四 知識人であること
第五章 東大紛争と研究室封鎖
一 東大紛争と丸山真男
二 「ナチもしなかった」と言ったか
三 ナチもしなかったのは事実か
四 東大法学部研究室
五 吉本隆明の批判
六 批判の連鎖
第六章 概念の解体とロマン主義
一 安田講堂の鎮圧
二 大学問題シンポジウム
三 概念の解体
四 ロマン主義
第七章 授業再開と形式への固執
一 講義は日常的な制度
二 機動隊導入の責任
三 人生は形式
四 大学は暴力に弱い
五 奇妙な光景
六 形式を固執
七 三重の迷雲
第八章 戦後民主主義ナンセンス
一 戦後民主主義への否定的言辞
二 全共闘と自己否定
三 東大教授であること
四 試された知性
結びに代えて
あとがき
付録 丸山真男日録 一九六九年一 ─ 三月
人名索引
●著者紹介
清水 靖久
1954年8月、広島県三原市に生まれる。
1984年3月、東京大学大学院法学政治学研究科退学。
1984年4月、九州大学教養部講師として社会思想史を担当。
現在、九州大学大学院比較社会文化研究院教授。
著書 『野生の信徒 木下尚江』(2002年2月、九州大学出版会)