商品説明
林 忠行・仙石 学編著
判型: A5 並製
頁数: 362
ISBN: 978-4-8329-6740-3
Cコード: C3031
発行日: 2011-03-31
●本書の特徴
旧ソ連・東欧諸国で体制転換の過程が始まって20年余り.同じように民主化・市場かを目指しながらなぜ国ごとに政治・経済制度が相違するのか.政治を軸にした比較分析により,体制転換の特質を明らかにする
●目次
はしがき………林 忠行
序 章 体制転換を理解する——政治比較の視点から………仙石 学・林 忠行
1.体制転換を研究する意義——なぜ今「体制転換研究」なのか
2.体制転換を研究する視点——体制転換の「政治比較」を軸として
3.各章の構成
第1部 制度構築・再編の比較分析
第1章 「歴史の遺産」とその影響——旧東欧諸国における政治発展と制度選択・デモクラシー
………………平田 武
1.移行論から政治発展論へ
2.旧東欧諸国の政治発展と民主化
2.1.第一次世界大戦以前
2.2.戦間期
2.3.第二次世界大戦後
2.4.共産主義体制
3.移行様式と制度選択
3.1.選挙制度
3.2.大統領の権限
4.デモクラシーの固定化と歴史の遺産
第2章 ポスト共産期の東中欧諸国の地方制度改革——広域自治体設置問題をめぐって
………………林 忠行
1.体制転換における広域自治体設置問題の位置
2.東中欧諸国の地方制度改革の概観
2.1.ポーランド
2.2.チェコ
2.3.スロヴァキア
2.4.ハンガリー
3.EUの条件設定
4.政党政治と地方制度改革
5.おわりに
第3章 ソ連共産党中央委員会からロシア大統領府へ——ロシアにおける半大統領制の発展
………………大串 敦
1.旧ソ連諸国の半大統領制と現代ロシアの二頭制
2.ソ連・旧ソ連諸国の大統領制の設立
3.ロシアの大統領制の成立過程
4.ロシア大統領府の組織・機能とロシア官僚制
5.大統領権力の発展の一解釈——エリツィンからプーチン,メドヴェージェフへ
6.むすび
第2部 政党システム形成の比較分析
第4章 政党戦略と政党間競合——東中欧政党システムにおける二極競合化?………中田瑞穂
1.政党システムにおける政党間競合構造
2.チェコ共和国の2006年選挙に見られる政党のリンケージ戦略と政党間競合
2.1.綱領リンケージ戦略と政党間競合
2.2.カリスマ的リーダーシップと政党間競合
2.3.属性帰属意識や政党帰属意識に基づく競争性の低いモード
3.スロヴァキアの2006年選挙に見られる政党のリンケージ戦略と政党間競合
3.1.綱領リンケージをめぐる競合
3.2.カリスマ的リーダーシップをめぐる競合
3.3.属性帰属意識や政党帰属意識に基づく競争性の低いモード
4.チェコとスロヴァキアの2006年選挙に見られる政党間競合構造
4.1.チェコの政党間競合構造
4.2.スロヴァキアの政党間競合構造
5.結 論
第5章 旧ユーゴスラビア諸国の政党システム
——専門家サーベイの結果に基づく政党の「政策位置」の測定………久保慶一
1.政党システムをどう比較するか——政党の政策位置という視座
2.専門家サーベイの方法
3.政党の「政策位置」
4.旧ユーゴ地域全体の「政策空間」と政党ファミリー
5.旧ユーゴ諸国の収斂?——セルビアとモンテネグロの近年の変容
6.おわりに
第6章 政党システムの分岐点
——ロシア,ウクライナにおける政治エリートの連合再編過程の比較分析………溝口修平
1.類似から相違へ——ロシアとウクライナの発展経路の違い
2.1990年代の選挙と政党システム
3.政党システムの変容——「統一ロシア」結成と「オレンジ革命」
3.1.大統領の交代をめぐるエリートの連合再編
3.2.巨大与党の成立と政党間競合の激化
4.結 論
第7章 エストニアとラトヴィアの政党政治比較
——歴史的要因としてのロシア語系住民問題を軸に………小森宏美
1.共通性の中の相違——エストニアとラトヴィアの比較から
2.ロシア語系住民問題の「表出」——ペレストロイカ期から独立回復まで
2.1.エストニアにおけるロシア語系住民をめぐる政治過程
2.2.ラトヴィアにおけるロシア語系住民をめぐる政治過程
3.体制転換後のロシア語系住民の国籍問題と政治参加
3.1.エストニアの国籍法と国籍取得状況
3.2.エストニアにおけるロシア語系政党と政治参加
3.3.ラトヴィアの国籍法と国籍取得状況
3.4.ラトヴィアにおけるロシア語系政党と政治参加
3.5.ロシア語系住民の現状の違い
4.エストニアとラトヴィアの政党政治——選挙と組閣を軸に
4.1.政治的争点の変遷と政党配置
4.2.エストニアにおける選挙と組閣
4.3.ラトヴィアにおける選挙と組閣
5.中道右派政権の継続とロシア語系住民
第3部 比較政治経済の視点から
第8章 東欧における経済的後進性について——ルーマニアおよびブルガリアを例として
………………上垣 彰
1.経済的後進性
1.1.経済的後進性論の意義
1.2.ガーシェンクロン
2.ルーマニアとブルガリアの経済的後進性
2.1.東欧の後進性,バルカンの後進性
2.2.ルーマニアおよびブルガリアにおける「社会主義的工業化」
3.ルーマニアおよびブルガリアにおける市場経済移行と経済的後進性——民営化を例にして
3.1.ルーマニアの民営化
3.2.ブルガリアの民営化
3.3.「後進国型民営化」
4.おわりに
第9章 ポスト社会主義の中東欧諸国における福祉制度の多様性
——あるいは「体制転換研究」と「福祉政治研究」の架橋の試み………仙石 学
1.福祉政治研究と体制転換——福祉政治の理論は中東欧諸国に適用できるか
2.多様な資本主義論と中東欧諸国
3.権力資源論と中東欧諸国
4.多様な資本主義論と権力資源論の接合——分析枠組みの拡張可能性を考える
5.さらなる比較のために
第10章 ロシア財政制度の資本主義化………田畑伸一郎
1.財政制度の資本主義化の課題
1.1.体制転換開始時の課題
1.2.財政の安定化
1.3.資本主義的財政制度の導入
1.4.安定的成長のための財政制度の確立
2.財政の安定化
2.1.ショック療法の適用とその失敗
2.2.1998年までの状況
3.資本主義的財政制度の導入
3.1.歳入構造の変化
3.2.歳出構造の変化
4.安定的成長のための財政制度の確立
4.1.税収の増大
4.2.財政黒字の積み立て
終 章 体制転換研究の意義——研究の成果と残された課題………仙石 学
1.体制転換研究を進めるために——本書の知見から
2.残された課題——あるいは「中東欧と旧ソ連は比較可能か?」
付表 本書で取り上げた国の主要政党一覧表
索 引
執筆者紹介
●著者紹介
仙石 学
西南学院大学法学部教授
林 忠行
北海道大学スラブ研究センター教授
平田 武
東北大学大学院法学研究科教授
大串 敦
早稲田大学政治経済学術院助教
中田 瑞穂
名古屋大学大学院法学研究科教授
久保 慶一
早稲田大学経済学術院准教授
溝口 修平
東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻博士課程在籍
小森 宏美
京都大学地域研究統合情報センター准教授
上垣 彰
西南学院大学経済学部教授
田端 伸一郎
北海道大学スラブ研究センター教授