商品説明
宮崎 悠著
判型: A5 上製
頁数: 362
ISBN: 978-4-8329-6721-2
Cコード: C3031
発行日: 2010-02-28
●本書の特徴
ポーランドの国民的統一と独立を唱える一方,反ユダヤ主義として賛否が分かれるドモフスキの思想を,膨大な文献により跡づける。ポーランド問題を乗り越えるべく出された「全ポーランド主義」の特徴と限界を明らかにするともに,ポーランドの「二重の帝国性」を指摘する。
●目次
凡 例
序 章
ポーランドの歴史的事情の概観 / 「ポーランド問題」の発生 / 本書の構成 / 小括
第I部 全ポーランド主義
第一章 ドモフスキ研究の現状
第一節 問題設定と分析枠組
ドモフスキの思想史的位置付け / 問題設定 / 分析枠組
第二節 第一次大戦とポーランド問題に関する研究史
第三節 ドモフスキ研究史
ポーランド国外における研究状況 / 現在のポーランドにおける研究動向
第二章 全ポーランド主義の形成
第一節 政治的前提
会議王国とその周辺情勢
第二節 『我々のパトリオティズム』
地理的分断の克服 / 19世紀「ポーランド人」の多様性 / 政治的自由を求めて
第三節 革命的プログラムの提言
危機的現状の打開へ / 「革命的」方法の提言
第三章 国民の生存競争
第一節 西欧体験と社会ダーウィニズム
第二節 『一現代ポーランド人の思想』
第三節 国民の気質
第四章 闘争のロゴス
はじめに——リアリズム対教条主義
第一節 プログラム転換
ドモフスキ思想の展開と国民連盟
第二節 ポーランド人とは誰か
国民とは何か
第三節 政治的リアリズム
第II部 帝国と革命
第五章 帝国支配の二重性
第一節 プロイセン領の国民連盟
プロイセン分割領の概要 / 19世紀後半の時代区分とその特徴 / シマンスキとの協働
第二節 オーストリア領時代のガリツィア
ルヴフからウィーンへ——オーストリア領におけるポーランド政治の成立 / ガリツ
ィア選挙区の議員構成 / 1848年の混乱 / 春の残照
第三節 越境する政治
ウクライナ・ナショナリズムの高まり
第四節 全ポーランド主義の政治的限界
第六章 新しい帝国——『ドイツ、ロシアそしてポーランド問題』を中心に
第一節 「ポーランド問題」とは何か
第二節 誰を敵とするのか
第三節 ホーエンツォレルン国家の拡大
第四節 影響力の政治
第五節 未成立国家の外交構想
「急転の年」——1925年の回想より / 「ポーランド問題」の転換
第七章 戦争と革命
第一節 大戦勃発の予兆
1908年の危機 / 各志向の概要
第二節 ニコライ・ニコラエヴィチ宣言
ニコライ・ニコラエヴィチ宣言 / 第一次大戦初期における諸志向の動向 / ロシア志
向の停滞 / ペトログラードのドモフスキ
第三節 ドモフスキ外交と11月5日宣言
対連合国外交の開始 / ロシアとの別れ / 11月5日宣言 / ドイツ・オーストリアの
思惑
第四節 奇跡は西方から
「第四のポーランド」 / 渡米までの活動 / 奇跡は西方から / ウィルソンの1月22
日教書
第五節 1917年革命
革命期のロシア領ポーランド——二月革命 / ローザンヌのポーランド国民委員会 /
十月革命
終 章 パトリオティズムのパトスとロゴス
全ポーランド主義の限界
全ポーランド主義と二つの帝国性——第一の帝国性(ドイツ、ロシア、オーストリアに
よる分割)との関係
第二の帝国性——東方領域における諸国民との関係
結 論
あとがき
ポーランド語要旨
参考文献
事項索引
人名索引
●著者紹介
宮崎 悠
1978年 北海道小樽市生まれ
2008年 北海道大学大学院法学研究科博士後期課程修了 博士(法学)
現 在 同法学研究科助教
専 攻 国際政治,ポーランド近代史