商品説明
スラブ・ユーラシア叢書 1
国境・誰がこの線を引いたのか ― 日本とユーラシア
岩下明裕 編著
定価:1,760円(本体価格1,600円+税)
判型:A5 並製
頁数:210
ISBN:978-4-8329-6661-1
Cコード:C1031
発行日:2006-06-25
●本書の特徴
日本を取り巻く3つの国境問題――尖閣・竹島・北方領土。このチャレンジをどう乗り越えるべきか?ヨーロッパ,コーカサス,中央アジア,南アジアなど世界の事例から考える。国際関係・国際法・安全保障・経済・社会・歴史・民族・文化など多様な視点から踏み込む,日本初の本格的な国境問題研究!
●目次
序
第1章 日本の外で「固有の領土」論は説得力をもつのか──欧州戦後史のなかで考える………林 忠行
なぜドイツの事例を考えるのか
「固有の領土」をめぐるヨーロッパ人との対話
「固有の領土」なきドイツ
「住民移動」という新たな難題
戦後ドイツの課題
アデナウアー外交──西ヨーロッパ共同体のなかでの発展
アデナウアー期の国境問題
ブラント外交の始動
東方外交の現実主義
欧州安全保障協力会議とドイツ問題の克服
国内での闘争
ブラントをどう評価するか
「北方領土問題」へのメッセージ
第2章 国境と民族──コーカサスの歴史から考える………前田弘毅
講義の狙い
コーカサスの地政学的位置
民族の坩堝
前近代のコーカサス国境
国境を越える人々──エジプトのグルジア人
ミスター五パーセント
コーカサス国境の20世紀
チェチェンの近代史
第二次世界大戦期の強制移住
アブハジア
サムルザカノの謎
「平和の島」は可能か
第3章 旧ソ連中央アジアの国境──20世紀の歴史と現在………帯谷知可
「国境」を切り口に中央アジアの現代史を振り返る
国境線の変遷──三つの契機
中央アジア民族別国境画定のダイナミズム
「分割して統治せよ」は妥当か?
民族の政治化
中央アジア側のイニシアティヴ
「民族」としての主張の時差
境界線を引く原則の「揺れ」──遊牧民にも都市を!
タシュケントはウズベクのもの? カザフのもの?
現代の国境越えの旅から
ウズベキスタンの飛び地スフへ行く
ウズベキスタン・カザフスタン・クルグズスタン周遊陸路の旅
国境とバザール(市場)
立ちはだかる国境?──共存の道を求めて
第4章 カシミールと印パ・中印国境問題………吉田 修
一つの広がりとしての南アジア
英領インドの分離独立と国境
イスラーム教徒の国、パキスタンの生まれ方
インド・パキスタン間に国境問題はあまりない
ヒマラヤで隔てられたインドとカシミール
ヒンドゥー教の国ではないインド
パキスタンと中国
インドと中国
中華人民共和国の成立とチベット
中印平和共存五原則とチベットの地位
中印国境問題
譲り合いを求める中国と、譲らないインド
現状追認で進展する中印関係
第5章 竹島問題と日本の課題………下條正男
日本にとっての竹島問題
日韓における認識の溝
竹島問題とのかかわり
外交カードとしての李承晩ライン
妄言と先送り
強みは弱み?
韓国による歴史的主張の誤り
安龍福の偽装
鬱陵島から竹島は見えるか
国際法上の根拠はあるのか
第6章 中国と日本・ASEAN間の国境問題──波立つ東シナ海と平穏な南シナ海………石井 明
内陸を向いた国──中国
琉球王国の問題
尖閣諸島の問題
尖閣諸島の帰属の棚上げ論
中国領海法の制定
中国・ベトナム間の国境問題の由来
1979年の中越戦争
中国・ベトナム間の陸上国境問題の解決
中国・ベトナム間の領海の画定
南シナ海──南沙・西沙群島領有権問題
共同資源開発は可能か?
第7章 中ロ国境問題はいかに解決されたのか──「北方領土」への教訓………岩下明裕
国境地域のアドバンテージ
日ロ関係とのかかわり
中ロ国境問題の前史と概観
交渉決裂から軍事衝突へ
やれるところからやろう
1991年協定への反発と「フィフティ・フィフティ」の誕生
中ロと日ロの違い
段階方式は適用可能か
「フィフティ・フィフティ」──一発決着の模索
国境画定後の共同利用
「四島返還」論の見直し
領土問題が動くとき
執筆者紹介
●著者紹介
岩下 明裕(イワシタ アキヒロ)
所属:北海道大学スラブ研究センター
専門分野:ロシア外交、特にロシアとアジアの国際関係
林 忠行(ハヤシ タダユキ)
所属:北海道大学スラブ研究センター
専門分野:比較政治、チェコ政治外交史
前田 弘毅(マエダ ヒロタケ)
所属:北海道大学スラプ研究センター
専門分野:コーカサス地域研究、イラン・グルジア史
帯谷 知可(オビヤ チカ)
所属:京都大学地域研究統合情報センター
専門分野:中央アジア地域研究、中央アジア近現代史
吉田 修(ヨシダ オサム)
所属:広島大学大学院社会科学研究科
専門分野:南アジア国際関係、現代政治
下條 正男(シモジョウ マサオ)
所属:拓殖大学国際開発学部
専門分野:日本史・東アジアの儒教文化圏
石井 明(イシイ アキラ)
所属:東京大学大学院総合文化研究科
専門分野:東アジア国際関係史
(本書刊行時の情報です)