商品説明
福田 宏著
判型: A5 上製
頁数: 272
ISBN: 978-4-8329-6581-2
Cコード: C3031
発行日: 2006-02-28
●本書の特徴
現在のオリンピックやサッカーなどを見てもナショナリズムと身体文化の結びつきは明らかである.本書は,チェコ人とドイツ人の対立が深まっていった19世紀チェコの体操運動に焦点を当て,活発に活動していた体操結社が,大衆を「国民化」してゆく過程を詳細に論じる.
●目次
プロローグ
1万1000名の集団美
民主主義の学校
3つの出会い
本書の構成
第1章 国民社会への軌跡
はじめに
1.2 チェコ社会における国民主義の展開
1.3 ドイツ系社会とユダヤ系社会の反応
1.4 研究史
おわりに——本書の位置づけ
第2章 チェコ系とドイツ系の「分化」
はじめに
2.1 チェコ社会における結社活動の発展
2.2 体操運動における「分化」過程
2.3 創設者の「覚醒」
2.4 チェコ的体操の探究——身体文化の創出
おわりに
第3章 シンボルをめぐる闘争
はじめに
3.1 ソコル
3.2 労働者系体操運動
3.3 カトリック系体操団体
おわりに
第4章 「我が祖国」への想像力
はじめに
4.1 「救うべき同胞」の発見
4.2 ドイツ系多数地域とソコル運動
4.3 禁止された2つの祭典
4.4 「脅かされた地域」へのソコルの進出
おわりに
第5章 創られるユダヤ人の身体
はじめに
5.1 ドイツ体操運動における反セム主義の台頭
5.2 「病的なユダヤ人」から「新しいユダヤ人」へ
5.3 チェコ社会におけるユダヤ人
おわりに
第6章 オリンピックとチェコ国民
はじめに
6.1 社会におけるオリンピックの位置
6.2 対立の予兆
6.3 政治化するオリンピック
6.4 「国家的事項」としてのオリンピック
6.5 チェコ・オリンピック委員会の追放
おわりに
エピローグ
《マラトンの戦い》とチェコ国民
《ティルシュの夢》——国民的体操運動の頂点
夢のあとに——終わりの始まり
参考文献
あとがき
人名索引
●著者紹介
福田 宏
1971年 和歌山県新宮市生まれ
1999年 北海道大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学(政治学専攻)
博士(北海道大学・法学)
同法学研究科助手、講師を経て
現在 北海道大学スラブ研究センター21世紀COE研究員
専攻 チェコ近現代史、ハプスブルク帝国史
■主要業績
『スポーツ』(近代ヨーロッパの探究8)(共著)ミネルヴァ書房、2002年。
「『国民楽派』を超えて——近代のチェコ音楽とは?」『フィルハーモニー』(NHK交響楽団機関誌)、2004年9月。
ほか