商品説明
上杉重二郎著
判型: B6 並製
頁数: 318
ISBN: 978-4-8329-3051-3
Cコード: C1022
発行日: 1978-05-25
●本書の特徴
戦後史の舞台を大きく転回させた人民民主主義国家の歴史的意義とは何か? 荒廃した国土から立ちあがり,再建のエネルギーを燃焼させてきた東ドイツの有様を,同地での4年余にわたる教壇生活の傍ら体験した著者が,現代史の流れとともに描写.
●目次
〈東ドイツの建設〉
I 現代史研究の方法について——上山、村瀬両氏に問う
II 歴史教育の一つの課題——日本と西ドイツの青年は第二次世界戦争をいかに学ぶか
1 「終戦」18年目の反省
2 ドイツ民主共和国の歴史家は西ドイツ歴史教科書をいかに批判するか
3 日本の青年はいかに第二次世界戦争を学んでいるか——高等学校歴史教科書について
III ファシストたちの分業——西ドイツの政治構造
1 大戦中における米英のドイツ帝国主義温存策
2 西ドイツ帝国主義の復活と日本との相違
3 欧州ヘゲモニーへの執念と制約条件
4 大連立政権とファシズムとの関連
5 国民民主党の抬頭と役割
6 ドイツ民主共和国の影響と西ドイツの方向
IV 東ドイツと統一国家への展望
二つのドイツ国家
西からの「統一」
ドイツ民主共和国政府の統一プラン
「変型」国家
ドイツ民主共和国成立の根拠
統一国家への意識
統一の展望
V 東ドイツにおける社会主義の形成
東ドイツ社会主義形成の時期
社会主義形成を困難にした諸要因
社会主義形成の指導的役割を果たすドイツ社会主義統一党
東ドイツにおける社会主義の形成とソ連
多党制
労働生産性向上のための闘争
社会主義意識の高揚
二つのドイツ国家の連合
VI 人民民主主義革命の思想と統一戦線
——1946年4月東部ドイツおけるドイツ共産党とドイツ社会民主党との合同について
1 両労働者党合同の理論的意義
2 合同に対する社会民主党員の態度
3 ドイツ社会主義統一党創立の歴史的意義
VII 人民民主主義革命の思想と土地改革
——第二次世界戦争後における東ドイツの民主的農地改革にかんする2、3の問題
1 土地改革のイニシァティブについて
2 反ファッショ的民主主義的諸党派の土地改革に対する支持
3 土地改革による新たな社会構成
VIII 東ドイツの知識人と修正主義
〈東ドイツ・1977年秋〉
東ドイツ・1977年秋——歴史家の旅
ユダヤ人問題 / ドイツ人とユダヤ人 / ヘブライ語 / 東ドイツのホテルとレストラン / 東と
西のマルク / 西ヨーロッパは一つか / 社会主義県政のテムポ / 西からの精神的影響 / 東ド
イツにおける中国 / ヨーロッパのドイツ人 / 農村風景 / ライプツィヒ大学 / 学生 / 正教
授 / 正教授のつづき / 日本学科 / スターリン批判 / 反共主義の伝統 / 助手と大学院生 /
大学と市民 / コーヒーと親類 / パリの眼科医 / ふたたびコソク教授と / 入学試験 / 大学
のなかの試験 / ドイツのなかのユダヤ仁 / フランツ・ダーレム / 国民的社会主義 / オーデ
ル=ナイセ国境 / クリル諸島(千島問題) / 計画経済 / ツィタウ博物館 / 神様との連絡 /
静かな生活
あとがき
●著者紹介
上杉 重二郎
1914年 東京に生まれる
1938年 東京大学文学部国史学科卒業
1978年4月まで、北海道大学教育学部教授
1957年4月〜1961年8月 ドイツ民主共和国フンボルト大学客員教授
■主要著書
『明治憲法の成立』(中央公論社)
『議会政治の発展』(中央公論社)
『ベルリン東と西』(三一書房)
『ドイツ革命運動史』上・下(青木書店)
『統一戦線と労働者政府:カップ叛乱の研究』(風間書房)
■主訳書
『ドイツ三月革命の研究』(英訳、日本評論社)