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北海道大学出版会 blog
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判型: A5 上製 頁数: 472 ISBN: 978-4-8329-6741-0 Cコード: C3032 発行日: 0-0-0 ●本書の特徴 本書は、民法と憲法、民法改正、民事特別法制の意義等民法学の重要論点を網羅した論考集である。1990年代以降の法政策は、市場の論理と人格的価値という相克する2つの価値が規定してきた。この2つの相克・緊張関係を念頭に置きながら、日本法システムの変容を鋭く読み解く。 ●版元から 1990年代以降の日本は、法システムの大きな変動期に入っている。変動を主導している価値は、大きくは2つに整理できる。1つは市場の価値である。とりわけ市場の自由が称揚され、法は、市場の自由を支援するところに自己の役割を限定すべきものとされる。そのようにして、事前規制から事後規制への転換が語られ、規制緩和が法政策を主導する重要な理念となる。もう1つは人格の価値である。法は、現代社会における多様な個人に関わる多様な価値を考慮することを要請される。自由もまたそのような価値として重要な意味を持つが、それだけでなく、平等や生活・生存の価値も重要である。1990年代以降の日本法システムの変動は、これらの多様な人格的価値を法が支援するという要請にも主導されている。日本法システムの変動を主導しているこの2つの価値には、しかしながら鋭い緊張関係が内在している。 本書は、このような法システムの変動と2つの価値の相剋という問題状況を念頭に置きつつ、1990年代末から2000年代にかけて公表してきた諸論考から一定数のものを選び出し、加筆集成を加えて一書に編んだものである。 ●目次 はしがき 第I部 日本法システムの変容と人格的価値 第1章 90年代日本法の変容 1 はじめに 2 日本社会のシステム変容と法 3 経済危機と法 4 まとめに代えて 第2章 民事法制の変動と憲法 1 「憲法と民法」——2つの問題領域 2 家族と人の変容 3 市場の変容 4 おわりに 第3章 憲法と民法——問題の位相と構造 1 「憲法と民法」という問題の位置づけ 2 民法による社会構成と憲法原理——憲法と民法の緊張関係 3 社会における人権侵害——憲法と民法との補完・協働関係 第4章 私人による差別の撤廃と民法学 1 はじめに 2 市場における「外国人」差別とその克服 3 企業における女性差別とその克服 第5章 家族法改正問題とジェンダー 1 はじめに 2 「法とジェンダー」への序論的考察 3 家族法改正問題とジェンダー秩序 第6章 家族法改正で問われるべきもの はじめに 1 近代家族法とその前提条件の変容 2 近代家族法から21世紀家族法へ? おわりに——「人の法」と「家族の法」 第7章 民法改正と民法の基本原理 1 はじめに 2 〈契約パラダイム〉の採用とその帰結 3 〈契約パラダイム〉を支える合意原則・契約自由原則とその補完・制約原理 4 改正検討委員会案が提示する基本原理と民法学の課題 第II部 特別法制と市場・人格 第8章 借地借家法制の経済社会的分析 1 はじめに 2 市場整備的介入とその経済社会的意義 3 市場規制的介入とその経済社会的意義 第9章 定期借家権を考える はじめに 1 定期借地権は良質な賃貸住宅供給を拡大しうるか 2 定期借地権は正義・公平を実現しうるか 第10章 市場秩序と民法・消費者 1 はじめに 2 自由かつ公正な市場の確保 3 安全な市場の確保 4 消費者法における人間像 第11章 労働契約と人格的価値 1 日本法のシステム変容と労働法制 2 解雇権濫用法理とその正当化原理 3 就業規則による労働条件の不利益変更とその問題性 4 労働法における人間像 第III部 サブリース契約と市場 第12章 サブリース契約と借地借家法32条に基づく賃料減額請求 1 はじめに 2 問題に関する基本的考え方 3 裁判例の動向と問題の所在 4 借地借家法32条の射程とサブリース契約への類推適用 第13章 サブリース最高裁判決の意義と射程 1 はじめに——最高裁による修正適用説の採用 2 サブリース最高裁判決によって創出された規範 3 おわりに 第14章 賃料不減額特約と借地借家法11条1項に基づく賃料減額請求 1 はじめに 2 事実の概要と判旨 3 若干の検討 第15章 サブリース契約と正当事由 1 はじめに 2 判例法理におけるサブリース契約 3 サブリース契約と正当事由 第IV部 遺言と公序——遺言処分と「相続させる旨の遺言」をめぐって 第16章 「相続させる」旨の遺言——遺産分割不要の原則の検証 1 問題の現状 2 「相続させる」遺言と性質決定 3 「相続させる」遺言と類型の内容変更 第17章 「相続させる」旨の遺言・再考 1 はじめに 2 判例の展開 3 「相続させる」旨の遺言の法性決定とその効果・再考 第18章 遺言による財産処分の諸態様と遺産分割 1 各種の遺言処分とその内容 2 遺言処分の効力 3 遺言処分としての「相続させる」旨の遺言 4 各種の遺言処分と遺産分割 事項・人名索引 文献索引 ●著者紹介 吉田 克己 1949年 生まれ 1972年 東京大学法学部卒業 現在 北海道大学大学院法学研究科教授 博士(法学)(東京大学) ■主要著書 『人言宣言と日本:フランス革命200年記念』(共編、勁草書房、1990年) 『現代の都市法:ドイツ、フランス、イギリス、アメリカ』 (共編著、東京大学出版会、1993年) 『フランス住宅法の形成:住宅をめぐる国家・契約・所有権』 (東京大学出版会、1997年) 『高齢者介護と家族:民法と社会保障法の接点』(共編著、信山社、1997年) 『現代市民社会と民法学』(日本評論社、1999年) 『効率性と法・損害概念の変容:多元分散型統御を目指してフランスと対話する』 (共編著、有斐閣、2010年) 『競争秩序と公私協働』(編著、北海道大学出版会、2011年) 『環境秩序と公私協働』(編著、北海道大学出版会、2011年)
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