商品説明
渡辺 賢著
判型: A5 上製
頁数: 358
ISBN: 978-4-8329-6601-7
Cコード: C3032
発行日: 2006-02-28
●本書の特徴
冲永賞受賞。
公務員制度改革が進められるなか,公務員の労働基本権に対する制限・禁止の理論的解明は喫緊の課題であるといえる.本書は,公務員の労働基本権保障を適正手続保障という新たな観点から捉え直し,従来の学説と判例の二項対立状態を止揚する理論的枠組みを提示する.
●目次
はしがき
序 論
第一部 公務員の労働基本権
はじめに
第一章 現行法制度の形成史
1 敗戦直後から政令201号公布・施行前まで
2 現行制度の形成
第二章 最高裁判例・学説の概要
1 判例理論の展開
2 学説の批判の概要
第三章 今後の展望
1 判例理論の到達点の確認と代償措置論──ひとつの解釈上の課題
2 判例理論における労働基本権保障の憲法上の位置づけ
3 制度改革の動向
4 公務員の勤務関係における集団的労使関係秩序形成の意義
おわりに
第二部 適正手続保障としての労働基本権
はじめに
第一章 憲法28条をめぐる議論の系譜と公務員制度史の展開
第1節 憲法28条と制憲過程
第2節 戦後改革期における公務員制度改革に現れた思考
第3節 憲法28条論の系譜
第4節 新たな視点への示唆
第二章 制度上の問題点の確認
第1節 団結権
第2節 団体交渉権・協約締結権
第3節 争議権
本章のまとめ
第三章 適正手続保障としての公務員の労働基本権
はじめに
第1節 労働基本権をめぐる議論の概況と留意すべき視点
第2節 全農林警職法事件最大判から名古屋中郵事件最大判へ
──労働基本権制限の根拠と憲法28条
第3節 勤務条件の決定システムとその特徴──争議行為禁止規定の合憲性
第4節 代償措置論の諸相──労働基本権保障とアカウンタビリティ
おわりに
第三部 公務員の勤務条件決定システムと団体交渉
第一章 行政機関の多様性と労働条件決定システム──独立行政法人を素材として
はじめに
第1節 非現業公務員の勤務関係と職員団体の「交渉」
第2節 独立行政法人の労働条件決定システムと「交渉」
第3節 それぞれの「交渉」の対比
むすび──憲法28条の団体交渉権論への示唆
第二章 非現業公務員の勤務条件決定システムと団体交渉権──視点の提示
第1節 判 例
第2節 学説と視点の提示
第三章 公務員の勤務条件と団体交渉事項──合衆国・ドイツに関する比較法的検討
第1節 合衆国の法状況
第2節 シュレスビヒ・ホルシュタイン州職員代表共同決定法違憲決定
第四章 公務員の団体交渉権論再検討の試み──相関関係論に基づく弾力的団体交渉権理論
第1節 比較法的知見の要約
第2節 公務員の団体交渉権再検討の試み
まとめにかえて
補論 人事院(全日本国立医療労組)事件
索引
●著者紹介
渡辺 賢
1958年生まれ。北海道大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。法学博士。北海道大学法学部助手、北海道教育大学岩見沢校助教授、帝塚山大学大学院法政策学部教授などをへて、現在、大阪市立大学法学部教授。
主要論文
「手続的デュー・プロセス理論の一断面:合衆国移民法制を素材として(1)〜(8・完)」(北大法学論集40−3,40−4,41−2,42−1,42−3,42−5,43−6,46−1)
「難民の人権と平和的生存権」深瀬忠一他編『恒久世界平和のために:日本国憲法からの提言』(勁草書房、1998年)
「産業医の活動とプライバシー」保原喜志夫編著『産業医制度の研究』(北海道大学図書刊行会、1998年)
「公務員の労働基本権:団交権に関する一考察」高見勝利他編『日本国憲法解釈の再検討』(有斐閣、2004年)ほか。