商品説明
北大アイヌ・先住民研究センター叢書 4
アイヌ研究の現在と未来
北海道大学アイヌ・先住民研究センター 編
定価:3,300円(本体価格3,000円+税)
判型:A5 上製
頁数:358
ISBN:978-4-8329-6727-4
Cコード:C3039
発行日:2010-03-31
●本書の特徴
2007年に「先住民族の権利に関する国連宣言」が採択されるなど、アイヌを始めとする先住民族をめぐる状況は、著しく変化している。本書は、アイヌ研究者と、当事者であるアイヌ民族によるシンポジウムの記録である。対象は歴史学、考古学、形質人類学、法律学・政治学、文化人類学、言語学の6つの分野にまたがっている。
●目次
北大アイヌ・先住民研究センター叢書創刊の辞………北海道大学アイヌ・先住民研究センター長 常本照樹
序………桑山敬己
第1章 歴史学
報告 これからのアイヌ史研究にむけて…………榎森 進
コメント 自己を省察するための当事者性………新井かおり
コメント 「アイヌ史」の構築をめぐって──榎森氏の講演に接しての雑感………谷本晃久
第2章 考古学
報告 アイヌ考古学の歩みとこれから………佐藤孝雄
コメント 岩屋(シラッチセ)の保護と伝承………谷上 嶐
解説 アイヌ研究において考古学の果たすべき役割とは何か………加藤博文
第3章 形質人類学
報告 アイヌと縄文人──日本列島の基層集団………百々幸雄
コメント アイヌ研究者との対話と協力………貝澤和明
コメント アイヌ人骨研究の過去と未来………マーク・ハドソン
第4章 法律学・政治学
報告 先住民族の権利に対するアプローチの仕方──カナダ憲法を参考にして………佐々木雅寿
コメント 「先住民族の権利に関する国連宣言」を受けて………阿部ユポ
コメント 先住民をめぐる政治の重層性について………辻 康夫
解説 「先住民族の権利に関する国際連合宣言」の採択とその意義………常本照樹
論文 アイヌ文化振興法の意義とアイヌ民族政策の課題………常本照樹
第5章 文化人類学
報告 文化人類学はなぜアイヌを忌避したか──学問もまたアイヌを差別するか………佐々木利和
コメント アイヌにとっての先住民研究………野本正博
コメント 「アイヌ研究」について………本田優子
論文 研究する側と研究される側──先住民族調査における課題………岩崎まさみ
第6章 言語学
報告 アイヌ語の復興とアイヌ語研究………佐藤知己
コメント アイヌ語研究に想う事………太田カムㇱオッカイ満
コメント 少数民族言語の研究と復興………津曲敏郎
資料
アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律(アイヌ文化振興法、アイヌ新法)
United Nations Declaration on the Rights of Indigenous Peoples
先住民族の権利に関する国際連合宣言
著者紹介
●著者紹介
阿部 ユポ(アベ ユポ)
社団法人北海道アイヌ協会,北海道大学アイヌ・先住民研究センター運営委員
主著に,
『一目でわかる先住民族の権利宣言――国連案の内容と争点』(共著,ウハノッカの会,2004年),『グローバル時代の先住民族――「先住民族の10年」とはなんだったのか』(共著)法律文化社,2004年.
『先住民族アイヌの権利確立に向けて(現代世界と人権23)』(共著)反差別国際運動日本委員会,解放出版社(発売),2009年.
新井 かおり(アライ カオリ)
立教大学大学院社会学研究科博士課程
岩崎 まさみ(イワサキ マサミ)
北海学園大学人文学部教授
〈主著〉
『人間と環境と文化』清水弘文堂,2005年.
「サケの民カナダ北西海岸先住民族――サケの保存・調理・分配」『海洋資源の流通と管理の人類学 みんぱく実践人類学シリーズ3』明石書店,2008年.
“Traditional food system and nutritional status ofindigenous peoples: the Ainu in the Saru River Region," Japan, Indigenous Peoples' Food Systems: the many dimensions of culture, diversity and environmentfor nutrition and health, Food and Agriculture Organization of the United Nations Centre for Indigenous Peoples' Nutrition and Environment, 2009.
榎森 進(エモリ ススム)
東北学院大学文学部教授
〈主著〉
『アイヌの歴史 日本民衆の歴史・地域編⑧』三省堂,1987年.
『増補改訂 北海道近世史の研究――幕藩体制と蝦夷地』海道出版企画センター,1997年.
『アイヌ民族の歴史』草風館,2007年.
太田カムㇱオッカイ満(オオタ カムシオッカイ ミツル)
貝澤 和明(カイザワ カズアキ)
社団法人北海道アイヌ協会
加藤 博文(カトウ ヒロフミ)
北海道大学アイヌ・先住民研究センター教授
〈主著〉
「旧ソヴィエト考古学における民族起源論の系譜」『ポスト社会主義人類学の射程――人類学理論と民族概念・社会変容の文脈』国立民族学博物館,2009年.
"Whose archaeology?: Decolonizing Archaeological Perspective in Hokkaido Island", Journal of the Graduate School of Letters., vol.4, pp.47-55, 2009.
「先住民考古学という視座――文化遺産·先住民族・考古学の課題」『北海道考古学』31号,2009年.
桑山 敬己(クワヤマ タカミ)
北海道大学大学院文学研究科教授,同アイヌ・先住民研究センター兼務教員
〈主著〉
『ネイテイヴの人類学と民俗学』弘文堂,2008年.
Native Anthropology. Trans Pacific Press, 2004.
『よくわかる文化人類学(第2版)』(共編著)ミネルヴァ書房,2010年.
『グローバル化時代をいかに生きるか』(共編著)平凡社,2008年.
佐々木 利和(ササキ トシカズ)
北海道大学アイヌ・先住民研究センター教授
〈主著〉
『アイヌ絵誌の研究』草風館,2004年.
など
佐々木 雅寿(ササキ マサトシ)
北海道大学大学院法学研究科教授,同アイヌ・先住民研究センター兼務教員
〈主著〉
『現代における違憲審査権の性格』有斐閣,1995年.
『はじめての憲法学I』(共著)三省堂,2004年.
佐藤 孝雄(サトウ タカオ)
慶應義塾大学文学部教授
〈主著〉
『人と動物の日本史1 動物の考古学』(共著)吉川弘文館,2008年.
『シラッチセの民族考古学――漁川源流域におけるヒグマ猟と“送り”儀礼に関する調査・研究(編著)六一書房,2006年.
『クマとフクロウのイオマンテ――アイヌの民族考古学』(共著)同成社,2004年.
佐藤 知己(サトウ トモミ)
北海道大学大学院文学研究科教授,同アイヌ・先住民研究センター兼務教員
〈主著〉
『アイヌ語文法の基礎』大学書林,2008年.
谷上 嶐(タニガミ タカシ)
千歳文化財保護協会理事
谷本 晃久(タニモト アキヒサ)
北海道大学大学院文学研究科准教授,同アイヌ・先住民研究センター兼務教員
〈主著〉
『新旭川市史』通史2 - 4(共編著)旭川市,2002-09年.
『世界史のなかの明治維新 講座明治維新』(共著)有志舎,2010年.
『蝦夷島と北方世界 日本の時代史19』(共著)吉川弘文館,2003年.
辻 康夫(ツジ ヤスオ)
北海道大学大学院法学研究科教授,同アイヌ・先住民研究センター兼務教員
〈主著〉
「市民社会と小集団」『北大法学論集』55巻1, 3, 6号,2004-2005年.
「文化的多様性と社会統合」『年報政治学』2007年2号.
『政治学のエッセンシャルズ』(共編)北海道大学出版会,2008年.
常本 照樹(ツネモト テルキ)
北海道大学大学院法学研究科教授,同アイヌ・先住民研究センター兼務教員
〈主著〉
「国内法における先住民族の地位――アメリカを中心に」『文化人類学研究』5巻,2004年.
「先住民族と憲法」『文化人類学研究――先住民の世界』放送大学教育振興会,2005年.
「先住民族の文化と知的財産に関する一考察」『新世代知的財産法政策学の創成』有斐閣,2008年.
津曲 敏郎(ツマガリ トシロウ)
北海道大学大学院文学研究科教授
〈主著〉
『満洲語入門20講』大学書林,2002年.
『北のことばフィールド・ノート――18の言語と文化』(編著)北海道大学図書刊行会,2003年.
『ビキン川のほとりで――沿海州ウデヘ人の少年時代』(訳)北海道大学図書刊行会,2001年.
百々 幸雄(ドド ユキオ)
東北大学医学部客員教授・名誉教授
〈主著〉
「日本人のなりたち モンゴロイドの地球3』(編著)東京大学出版会,1995年.
『北上山地に日本更新世人類化石を探る――岩手県大迫町アバクチ・風穴洞穴遺跡の発掘』(共編)東北大学出版会,2003年.
『骨が語る奥州戦国九戸落城』(共著)東北大学出版会,2008年.
野本 正博(ノモト マサヒロ)
財団法人アイヌ民族博物館学芸課長
〈主著〉
「イオルプロジェクトからみる先住民族としてのアイヌ」『先住民とはだれか』世界思想社,2009年.
Mark J. HUDSON(マーク ハドソン)
西九州大学リハビリテーション学部作業療法学専攻教授
〈主著〉
Multicultural Japan(共編)Cambridge University Press, 1996.
Ruins of Identity(単著)University of Hawaii Press, 1999.
"Beyond Ainu Studies"(査読中)
本田 優子(ホンダ ユウコ)
札幌大学文化学部教授
〈主著〉
『二つの風の谷』筑摩書房,1997年.
「近世北海道におけるアットゥㇱの産物化と流通」『北海道立アイヌ民族文化研究センター研究紀要』第8号,2002年.
「金成マツの英雄叙事詩にみられるイトコ婚」『比較文化論叢』18号,2006年.
(本書第2刷刊行時の情報です)