商品説明
北海道大学大学院文学研究院研究叢書 32
からまりあい重なりあう歴史 ー 植民地朝鮮の文化の力学
権 錫永 著
定価:3,740円(本体価格3,400円+税)
判型:四六 上製
頁数:376
ISBN:978-4-8329-6877-6
Cコード:C3021
発行日:2021-10-10
●本書の特徴
柳宗悦の朝鮮のための「愛の仕事」、移植された桜、文化的欲望をかき立てる博覧会…、そこに引き起された闘争・贈与・受容・敗北・創造。複雑に織りなされた植民地の文化の力学について、朝鮮の人々の思いを描き、「民族の物語」からの転回を見透す。
●目次
凡 例
序 章 民族主義を超えて
第1章 「白衣」の意味をめぐる闘争
はじめに
1 朝鮮人の病理化と白衣
2 柳宗悦と白衣
3 「白衣」をめぐる闘争
4 過去の痕跡と韓国人の「白衣」への意味づけ──結びに代えて
第2章 光化門・ヘテをめぐる物語と柳宗悦
はじめに
1 柳宗悦の追悼文──「東洋の純粋な建築を敬愛せよ」
2 移転される光化門をめぐる物語
3 「ヘテが哭いている」
結びに
第3章 「朝鮮の美」をめぐる日本人の文化実践──柳宗悦、浅川伯教
はじめに
1 柳宗悦と「朝鮮の美」
2 「朝鮮の美」という観念の問題
3 朝鮮陶磁礼賛と「高麗茶碗」
結びに
第4章 〈植民地の国花〉と〈帝国の国花〉(I)――無窮花(ムクゲ)と桜、二つの国花の異なる運命
はじめに
1 国花としての無窮花
2 〈帝国の国花〉・桜と「桜の国土」の拡張
結びに
第5章 〈植民地の国花〉と〈帝国の国花〉(II)――朝鮮人の文化的欲望と伏流する民族主義
はじめに
1 朝鮮に蔓延する桜
2 無窮花と桜の間
結びに
第6章 「植民地の博覧会」と朝鮮の言論――朝鮮副業品共進会・朝鮮博覧会
はじめに
1 朝鮮副業品共進会
2 1929年の朝鮮博覧会
結びに
第7章 「ヨボ」という蔑称と「内鮮融和」
はじめに
1 「ヨボ」とは?
2 「ヨボ」という語の氾濫と朝鮮人の思い
3 他者の眼差しの内面化
4 「内鮮融和」と蔑称
結びに
終 章 「からまりあい重なりあう」経験・歴史
あとがき
初出一覧
図版一覧
索引
●著者紹介
権 錫永(クォン ソギョン)
1964年 韓国生まれ。北海道大学文学研究科博士課程修了(文学博士)
現在 北海道大学大学院文学研究院教授
専攻 韓国文化史・日本近代思想史
〈単著〉
『オンドルの近代史:オンドルをめぐる朝鮮人の暮らしと歴史』一潮閣、2010[ソウル].
〈主な論文〉
「思想課題としての帝国主義」『哲学年報』67号、2021.
「『北方論』のイデオロギーと戦略」『歴史評論』658号、2005.
「日本における統制とプロパガンダ」『岩波講座文学第2巻メディアの力学』2002.
「帝国主義と『ヒューマニズム』」『思想』882号、1997.
など
(本書刊行時の情報です)