商品説明
                            北海道大学大学院文学研究科研究叢書 29
共和政ローマの内乱とイタリア統合 ― 退役兵植民への地方都市の対応
砂田 徹 著
定価:7,150円(本体価格6,500円+税)
判型:A5 上製
頁数:272
ISBN:978-4-8329-6843-1
Cコード:C3022
発行日:2018-11-30
●本書の特徴
前八〇年代、全イタリアを巻き込んだローマの内乱の後、イタリア各地の都市に退役兵植民が実施され、それら都市は存続の危機に直面した。本書は、対象都市の立場や経緯のほか、特に地方貴族のローマとの交渉を分析し、これまで見えなかった、帝政ローマへ至るまでのイタリアのあり方、イタリアに政治的一体化がもたらされた道のりを明らかにする。
●目次
序章 課題と方法
第一章 前八〇年代の内乱──退役兵植民までの過程
 1 はじめに
 2 前八八年のローマ進軍
 3 前八七年の内乱
 4 キンナ時代:内乱の小休止
 5 キンナの殺害とカルボ
 6 ポンペイウスの挙兵問題
 7 スッラのイタリア帰還
 8 前八三年の戦闘
 9 内乱の最終局面(前八二年)
 10 おわりに
第二章 スッラによる戦後処理──イタリアへの退役兵植民
 1 はじめに
 2 スッラの経歴
 3 退役兵植民の規模をめぐって
 4 退役兵植民の対象都市
 5 おわりに
第三章 ポンペイ──退役兵植民と「二重共同体」
 1 はじめに
 2 退役兵植民の実相
 3 「二重共同体」説の再検討
 4 「不和」から「融合」へ:公共建築物の変容
 5 おわりに
第四章 ファエスラエ──退役兵植民とエトルリアの騒擾
 1 はじめに
 2 レピドゥスの蜂起
 3 カティリナ陰謀事件
 4 おわりに
第五章 ウォラテッラエとアッレティウム──退役兵植民と地方貴族の交渉力
 1 はじめに
 2 ローマ市民権の剝奪をめぐって
 3 ウォラテッラエへの退役兵植民
 4 アッレティウムへの退役兵植民
 5 おわりに
 補論 クルシウムに退役兵植民市は存在したか?
第六章 カプア──退役兵植民と有力都市の再興
 1 はじめに
 2 ブルトゥスの植民市とスッラ
 3 ハンニバル戦争後のカプア
 4 「マギステル碑文」と地方貴族
 5 カプアの再興
 6 おわりに
終章 内乱とイタリアの一体化
あとがき
初出一覧
参考文献表
地名・事項索引
人名索引
●著者紹介
砂田 徹(スナダ トオル)
1959年 輪島市生まれ
1983年 金沢大学法文学部卒業
1986年 金沢大学大学院文学研究科修士課程修了
1988年 名古屋大学大学院文学研究科博士後期課程中退
現在 名古屋大学文学部助手,北海道大学大学院文学研究科助教授を経て,同教授
〈著書〉
『共和政ローマとトリブス制:拡大する市民団の編成』北海道大学出版会,2006年.
(本書刊行時の情報です)