商品説明
秋月 俊幸 著
判型: 四六 並製
頁数: 368
ISBN: 978-4-8329-3386-6
Cコード: C1021
発行日: 2014-05-25
●本書の特徴
長年にわたり日露関係史・日本北辺史の研究に携わってきた斯界の泰斗が、日本とロシアの最初の接触から現代までの関係を、両国さらにはアイヌ民族とのかかわりについての種々のエピソード等を交えながら、歴史的に考察した。細かな注を付さず、一般読者向けに読みやすく書き下ろした通史。著者積年の研究の総決算。
●目次
まえがき
序 章 千島列島の地理と先住民
一 霧と流氷の火山列島
二 アイヌとクリール人(千島アイヌ)
第一章 千島列島に関する初期の情報
一 イエズス会宣教師たちの蝦夷地報告
二 フリースの日本北辺航海と地図
三 松前藩の千島認識と地図
第二章 ロシア人の千島進出
一 アトラーソフのカムチャツカ征服
二 コズイレフスキーの千島遠征
三 エヴレイノフとルージンの千島航海
第三章 ロシア人の千島列島南下
一 シュパンベルグ探検隊の日本および南千島への航海
二 チョールヌイの千島アイヌ追跡行
三 ロシア人狩猟者と南千島アイヌの衝突
第四章 ロシア人の蝦夷地到来と『赤蝦夷風説考』
一 「秘密の航海」
二 ベニョフスキー(はんべんごろう)の「警告」
三 『赤蝦夷風説考』の成立
第五章 天明年間幕府の蝦夷地調査
一 天明五年の探検
二 天明六年の探検
三 最上徳内とロシア人イジュヨ
第六章 幕府の蝦夷地直轄への道
一 クナシリ・メナシ事件(寛政蝦夷の乱)
二 寛政初年幕府の蝦夷地調査
三 ラクスマン使節の蝦夷地来航
四 一八世紀末の海防論とロシア観
五 幕府の東蝦夷地直轄とエトロフ島の開島
六 間宮林蔵の『東韃地方紀行』
第七章 露米会社と千島列島
一 シェリホフのウルップ島植民
二 露米会社の成立とレザーノフ使節の長崎来航
三 露米会社船の日本北辺襲撃
四 ゴロヴニーン捕囚事件とその解決
五 露米会社の北千島経営
第八章 幕府・松前藩の南千島経営
一 幕府直轄時代
二 松前藩復領時代
三 千島経由で帰国した漂流民たち
四 日露和親条約と幕府の蝦夷地再直轄
第九章 日本の北千島領有と経営
一 樺太千島交換条約の締結
二 サハリン・アイヌと千島アイヌの運命
1 サハリン・アイヌの北海道移住
2 千島アイヌのシコタン島移住
三 外国密猟船の活動
四 北千島探検と移住の試み
五 北千島調査研究の始まり
第一〇章 北洋漁業と北千島諸島
一 樺太・沿海州漁業からカムチャツカ漁業へ
二 北千島漁業の開花
第一一章 内国植民地としての南千島諸島
一 南千島諸島の沿革
二 内国植民地の成立
終 章 第二次世界大戦と千島列島
一 千島列島における日米戦争
二 ソ連軍の千島侵攻
三 サンフランシスコ平和条約と北方領土問題
四 北方領土問題の今後
事項索引
人名索引
地名索引
参考文献
千島史略年表
図版出典一覧
●著者紹介
秋月 俊幸
1931年長崎県生まれ。東京教育大学文学部卒業。北海道大学附属図書館を退職後,北海道大学法学部講師を経て,現在,日露関係史や日本北辺地図学史の研究に従事。著書に『日露関係とサハリン島』(筑摩書房,1994年),『日本北辺の探検と地図の歴史』(北海道大学図書刊行会,1999年),編書に『日本北辺関係旧記目録』(同前,1990年),『明治大正期の北海道—写真と目録』(同前,1992年),『北方史史料集成 第五巻』(北海道出版企画センター,1994年),『書簡集からみた宮部金吾』(北海道大学出版会,2010年),訳書にS.ズナメンスキー『ロシア人の日本発見』(北海道大学図書刊行会,1979年),ニコライ・ブッセ『サハリン島占領日記1853−54』(平凡社東洋文庫,2003年),ブレット・ウォーカー『蝦夷地の征服1590−1800』(北海道大学出版会,2007年)などがある。