商品説明
北大アイヌ・先住民研究センター叢書 3
アイヌ史の時代へ ― 余瀝抄
佐々木利和 著
定価:5,500円(本体価格5,000円+税)
判型:A5 上製
頁数:422
ISBN:978-4-8329-6780-9
Cコード:C3039
発行日:2013-06-04
●本書の特徴
著者の40年に及ぶアイヌ民族の歴史・文化に関する多岐にわたる研究業績のうち,文献史学の方法に立脚したアイヌ史に関連した個別論考を中心に編まれている。関係者が待ち望んでいた研究書である。実証的な諸業績は永く読み継がれていくべき価値がある。
●目次
1 「アイヌ史」は成立するのだろうか――序にかえて
2 近世北方民族の生活
描かれたアイヌ生活誌
アイヌの歴史
ウェペケレと役蝦夷の時代
コタンの生活
アイヌ絵の意味するもの
確実性の高いアイヌ絵
強制コタンでの生活
3 アイヌ文化の歴史と生業
1 四本のイクパスイ
2 酒
3 酒と漆器
4 伝世された漆器群
5 トゥキ
6 シカリンパㇵといううつわ
7 ウイマムと酒儀礼
8 アイヌ文化と漆器
むすび
4 中世の「蝦夷」史料――「諏訪大明神畵詞」より
5 強制コタンの変遷と構造について――とくにアブタ・コタンを中心に
はじめに
1 近世コタンの二形態
2 強制コタンとしてのアブタの変遷
3 アブタ・コタンの構造
おわりに
6 酋長サカナの物語――あるアイヌ研究の側面
7 噴火湾Ainuのおっとせい猟について――江戸時代におけるAinuの海獣猟
はじめに
1 問題の所在
2 おっとせいとその需要
3 獣名の由来
4 おっとせい猟の実際と禁忌
まとめ
8 レブンゲ・コタン誌稿――とくにコタン構造から
はじめに
1 レブンゲ・コタンの位置
2 レブンゲ・コタンの構造
3 家内構成の変遷
むすび
9 近世アイヌの社会――ソウヤウンクルのコタンを中心に
はじめに
1 ソウヤ場所内のコタン
2 ソウヤウンクルの社会
むすび
10 蝦夷通詞について
はじめに
1 蝦夷通詞
2 松前と蝦夷通詞
3 松前藩と蝦夷通詞
4 場所請負制下の蝦夷通詞
5 蝦夷通詞のアイヌ語
むすび
11 蝦夷通詞・上原熊次郎のこと
12 近世アイヌ語資料について――とくに『もしほ草』をめぐって
はじめに
1 上原熊次郎と『もしほ草』
2 アイヌ語資料としての『もしほ草』
むすび
13 アイヌイタク ヱラム アナ
はじめに
1 異言語との出会い
2 カムイトクイという言葉
3 アイヌと日本語
4 シャモとアイヌ語
むすび
14 少年たちのまなざし――一枚のアイヌ絵から
1 一枚の絵
2 シャモとアイヌ
3 シャモという日本語びと
4 少年の向学心
5 奇童エトメチュイくん
6 アイヌ語を学んだシャモの少年たち
7 シャモの世界にとびこんだひと
8 新しい文化に触れる意欲
15 イオマンテ考――シャモによるアイヌ文化理解の考察
はじめに
1 本報告の主たる関心
2 アイヌの神概念とイオマンテ
3 場所請負制下におけるイオマンテの評価
むすび
16 犬は先祖なりや――アイヌの創世説話と和夷同祖論
はじめに
1 犬祖説話
2 近世における犬祖説話
3 アイヌ文化成立と犬祖説話
むすび
補註
初出一覧
主要著作目録
書後に
●著者紹介
佐々木 利和(ササキ トシカズ)
1948(昭和23)年5月29日 北海道足寄郡淕別村に生まれる
1967(昭和42)年3月 北海道稚内高等学校卒業
1976(昭和51)年3月 國學院大學文学部(日本文学科二部)卒業
1979(昭和54)年3月 法政大学大学院人文科学研究科日本史学専攻修士課程修了(文学修士)
2000(平成12)年11月 早稲田大学博士(文学) 学位論文「アイヌ絵誌の研究」
〈職歴〉
1967(昭和42)年4月 札幌管区気象台稚内地方気象台技術課勤務
1968(昭和43)年3月 同台退職
1969(昭和44)年4月 東京国立博物館総務部普及課勤務
1982(昭和57)年4月 東京国立博物館資料部資料第三研究室長
以後,独立行政法人国立博物館東京国立博物館学芸部資料課民族資料室長を経て,
2004(平成16)年4月 文化庁文化財部美術学芸課主任文化財調査官(歴史資料部門)
2006(平成18)年4月 国立民族学博物館先端人類科学研究部教授,兼総合研究大学院大学教授
2009(平成21)年4月 北海道大学アイヌ・先住民研究センター教授
2012(平成24)年4月 北海道大学アイヌ・先住民研究センター特任教授(現職),東京国立博物館名誉館員
この間,学習院大学・青山学院大学・法政大学大学院・東京大学大学院・千葉大学大学院等に出講.
放送大学客員教授
専攻分野:アイヌ民族史,日本近世史,日本文化史,博物学史等を専攻
所属学会:日本考古学会幹事
公職:文化庁文化審議会専門委員,アイヌ文化振興・研究推進機構理事,アイヌ政策推進会議委員ほか
(本書刊行時の情報です)