商品説明
森下 嘉之著
判型: A5 上製
頁数: 308
ISBN: 978-4-8329-6776-2
Cコード: C3022
発行日: 2013-02-28
●本書の特徴
本書は、20世紀に誕生した新国家チェコスロヴァキアの形成と社会変容を、住宅問題を通して考察する試みである。チェコに広がる大規模高層住宅は、20世紀前半に展開された様々な社会改革運動の末に形成された。当時のチェコで展開された、独自の社会構想に着目する。
●目次
序 章
はじめに
第一節 本書の目的と方法
第二節 チェコスロヴァキアという舞台
第I部 郊外住宅団地の実験——帝政期から1920年代まで
第一章 帝政期ボヘミアとプラハの都市・住宅・社会
第一節 帝政期チェコの都市化と住民構成
第二節 帝政期における都市政策と住民改革運動
小括
第二章 チェコスロヴァキア第一共和国の住宅政策——自立した市民層の育成
第一節 建国期における連立政府と社会政策の整備
第二節 社会政策の担い手としての住宅組合と建設支援法の制定
小括
第三章 1920年代の住宅改革運動——自立した個人を基盤とした国家へ
第一節 戦間期プラハの都市空間——国民社会党の都市政策を中心に
第二節 「プラハ都市開発委員会」の首都整備事業
第三節 戦間期プラハにおける郊外住宅開発——家族住宅という規範
第四節 郊外住宅団地の試み
第五節 1920年代の住宅団地の旧家屋の世界
小括
第II部 「家族住宅」から「最小住宅」へ——1930年代の住宅改革から戦後へ
第四章 経済恐慌期における住宅政策の変容——「家族住宅」から「最小住宅」へ
第一節 戸建住宅からの転換
第二節 共産党の台頭と労働者の組織化
小括
第五章 新しい住宅改革構想——戦間期チェコの建築家集団の活動から
第一節 戦間期ブルノの都市空間
第二節 1930年代の住宅改革の概要——前衛的建築家たちの社会構想
第三節 「左翼戦線」の住宅改革構想
小括
第六章 ドイツ系住民の居住地域における住宅問題——地域社会とネイション
第一節 チェコの「ドイツ系社会」
第二節 ドイツ系社会の住宅改革運動
第三節 ナチ期の住宅政策(1938-1945年)
小括
第七章 チェコスロヴァキア第三共和国(1945-1948年)期における住宅政策
第一節 戦後の住宅政策の背景
第二節 国境地帯における住宅供給政策
第三節 戦後政府の住宅政策における構想と現実
小括
終 章
(一)エピローグ——共産党政権を経て
(二)本書のまとめ
(三)チェコという場を通して
(四)今後の課題
参考文献
あとがき
地名索引
人名索引
●著者紹介
森下 嘉之
1978年 兵庫県神戸市生まれ
2001年 神戸大学文学部卒業
チェコ・カレル大学留学(2004−2007年)を経て、
2010年 東京大学大学院総合文化研究科・地域文化研究専攻修了。博士(学術)
現在 日本学術振興会特別研究員
専攻 チェコを中心とする東欧近現代史・東欧地域研究