商品説明
近代北海道とアイヌ民族 ー 狩猟規制と土地問題
山田伸一 著
定価:7,700円(本体価格7,000円+税)
判型:A5 上製
頁数:512
ISBN:978-4-8329-6744-1
Cコード:C3021
発行日:2011-05-10
●本書の特徴
開拓使以降1930年代に至る諸政策におけるアイヌ民族の位置づけとアイヌ民族への影響・彼らによる対応を,膨大な既存史料の徹底した読み込みに基づき,狩猟・漁業規制と土地下付を中心に精緻に分析。個別的な課題を設定し,基礎的事実の確定に力を注ぐことにより,従来のアイヌ史研究の見直しを目指す。
●目次
序章
第一節 主題と構成
第二節 史料について
〔第一部 明治期の狩猟・漁業規制とアイヌ民族の生業〕
第一章 「北海道鹿猟規則」の制定過程──毒矢猟の禁止を中心に
はじめに
第一節 狩猟規制法規の制定過程
第二節 毒矢猟禁止に対するアイヌ民族の対応
第三節 毒矢猟の一部容認と全道的な禁止へ
おわりに
第二章 「北海道鹿猟規則」施行後のシカ猟
はじめに
第一節 自律的な狩猟秩序の破壊
第二節 その後の「北海道シカ猟規則」の改正
第三節 「北海道鹿猟規則」の運用状況
第四節 シカの急激な減少
おわりに
第三章 オオカミ・ヒグマ・カラスに関する「有害鳥獣獲殺手当」
はじめに
第一節 「獲殺手当」の導入
第二節 手当制度の変遷
第三節 狩猟数統計の分析
おわりに──博物学的関心のあり方
第四章 千歳川のサケ漁規制とアイヌ民族
はじめに
第一節 開拓使によるサケ漁規制
第二節 札幌県の対応
第三節 天然孵化から人工孵化へ
おわりに
〔第二部 「北海道旧土人保護法」による土地下付と共有財産管理〕
第五章 十勝における土地下付
はじめに
第一節 「旧土人保護法」以前のアイヌ民族の農耕地
第二節 「旧土人保護法」による下付の過程
第三節 モンベツ新「給与予定地」設定計画
おわりに
第六章 下付地没収規定の適用実態
はじめに
第一節 検査の方法と史料の限界
第二節 没収処分の分布状況
第三節 農耕不能地下付の問題
おわりに
第七章 「旧土人保護法」以前からの所有地に対する所有権制限
はじめに
第一節 条項の背景
第二節 第二条第三項の適用事例
第三節 「保護民」意識の醸成
おわりに
第八章 十勝アイヌの共有財産管理
はじめに
第一節 共有財産管理に関する規定と指定
第二節 1920年代のアイヌ「保護」事業との関わり
第三節 1930年代の共有財産管理
おわりに
〔付論〕
1 アイヌ語地名はどう書き換えられたか
はじめに
第一節 近世の経過と開拓使による郡名の命名
第二節 開拓使による村名の幹事化
第三節 1890年の北海道庁長官内訓
第四節 1910年の北海道庁札幌支庁通牒
第五節 字界地番整理事業
おわりに
2 「北海道アイヌ協会」と「全道アイヌ青年大会」
はじめに
第一節 1920年代の模索
第二節 「北海道アイヌ協会」の「創立」
第三節 「全道アイヌ青年大会」
第四節 その後
おわりに
結びにかえて
あとがき
初出一覧
人名索引
事項索引
●著者紹介
山田 伸一(ヤマダ シンイチ)
1968年 秋田市生まれ
1992年 京都大学文学部卒業
1995年 北海道大学大学院文学研究科修士課程(日本史)修了
1996年 北海道開拓記念館に学芸員として勤務し,現在に至る
〈共編書〉
『アイヌ民族 近代の記録』草風館,1998年.
(本書刊行時の情報です)