商品説明
北海道大学大学院文学研究科研究叢書 6
環オホーツク海古代文化の研究
菊池俊彦 著
定価:5,170円(本体価格4,700円+税)
判型:A5 上製
頁数:300
ISBN:978-4-8329-6451-8
Cコード:C3022
発行日:2004-03-25
●本書の特徴
唐の都長安を訪れた流鬼国の朝貢使節は貢物として何を持って行ったのか。その国の北方にあるという夜叉国とはどこなのか。唐代に中国東北の貢納品として記録されたセイウチの牙はどこからもたらされたのか。広範に展開した交流と交易を軸に、環オホーツク海の諸民族の歴史と文化を解明する。
●目次
序文
凡例
〔第1部 環オホーツク海の古代文化〕
第1章 コリャーク地方の考古学研究史
はじめに
第1節 17~19世紀における調査と研究
第2節 20世紀前半における調査と研究
第3節 1955年以降における調査と研究
むすびに替えて
第2章 オホーツク海北西岸の初期鉄器時代の遺跡
はじめに
第1節 オホーツク海北岸と北西岸の遺跡の発掘
第2節 オホーツク海北西岸の遺跡
第3節 オホーツク海北西岸の遺跡の年代
第4節 オホーツク海北西岸の初期鉄器時代の遺物とオホーツク文化の遺物の対応
おわりに
第3章 夜叉国へ至る道――7世紀の北東アジアの歴史と地理
はじめに
第1節 流鬼国の所在地に関する史料の記述
第2節 流鬼国の所在地をめぐる見解
第3節 考古学資料による夜叉と流鬼の解釈
第4節 夜叉とオホーツク海北西岸の遺跡
おわりに
第4章 サハリンの鈴谷式土器
はじめに
第1節 サハリンの住居址出土の鈴谷式土器
第2節 サハリンの遺跡出土の鈴谷式土器
第3節 北海道の住居址出土の鈴谷式土器
おわりに
第5章 カムチャツカ半島リャブーヒナ遺跡の骨角器
はじめに
第1節 リャブーヒナ遺跡出土の掘り具
第2節 周辺諸地域の遺跡出土の掘り具
おわりに
〔第2部 環オホーツク海の交易〕
第1章 北辺からの朝貢使節
第1節 流浪の鬼と夜叉の国
第2節 蝦夷を連れた遣唐使
第3節 「三千里……」の世界観
第4節 オホーツク=ヴィーナス
第2章 環オホーツク海とオホーツク文化人
第1節 「流鬼国」の朝貢使節
第2節 流氷接岸地帯を選んだ理由
第3節 大陸文化とのつながり
第4節 ルーツはサハリン
第3章 環オホーツク海のセイウチの牙交易
はじめに
第1節 オホーツク文化のセイウチの牙製品
第2節 セイウチの棲息域
第3節 オホーツク海北岸のセイウチ
おわりに
第4章 中国史料から見た環オホーツク海交易
はじめに
第1節 後漢~魏晋南北朝時代の中国東北の紹皮
第2節 隋唐時代の中国東北の紹皮
第3節 流鬼国の紹皮
第4節 中国にもたらされたセイウチの牙
おわりに
第5章 オホーツク文化の青銅製小鐸
第1節 オホーツク文化の青銅製の鐸
第2節 目梨泊遺跡の青銅製小鐸
第3節 目梨泊遺跡の青銅製跨帯金具
第4節 目梨泊遺跡と女真文化の関係
〔第3部 環オホーツク海古代文化研究の展開〕
第1章 ヴァシーリエフスキーのコリャーク民族の古代文化研究
第2章 ヂーコヴァの南カムチャツカの古代文化研究
第3章 ヴァシーリエフスキーとゴールベフのサハリンの古代文化研究
第4章 デレヴャーンコのムール河中流域の蛛輻の遺跡の研究
第5章 ヂャーコヴァの中世初期のロシア極東の土器の研究
引用文献一覧
収録図版出典一覧
初出一覧
あとがき
索引
●著者紹介
菊池 俊彦(キクチ トシヒコ)
1943年 群馬県伊勢崎市に生まれる
1967年 北海道大学文学部史学科(東洋史学)卒業
同年 北海道大学文学部助手(北方文化研究施設考古学部門)
1978年 北海道大学文学部助教授(一般教育歴史学)
1991年 北海道大学文学部教授(総合文化論講座東洋文化史)
1995年 同上(東洋史学講座)
2000年 北海道大学大学院文学研究科教授(東洋史学講座)、現在に至る
博士(文学、北海道大学)
第10回濱田青陵賞受賞(1997年)
〈主著〉
『北東アジア古代文化の研究』北海道大学図書刊行会、1995年.
「北方世界とロシアの進出」『岩波講座世界歴史』13、岩波書店、1998年.
など
(本書刊行時の情報です)