商品説明
三木 聰著
判型: A5 上製
頁数: 574
ISBN: 978-4-8329-6271-2
Cコード: C3022
発行日: 2002-02-25
●本書の特徴
これまで江南を中心に構築されてきた明清の農村社会,あるいは抗租に関する歴史像に対し,福建農村社会から見た独自の抗租像を提示. また抗租と明清国家の法制度との関連を究明し,抗租に見られる図頼という行為を発掘・検討した,新たな明清史研究を展望する意欲作.
●目次
序
第一部 抗租と福建農村社会
第1章 明末以降の福建における抗租の展開
はじめに
1 万暦—崇禎年間
2 順治—康熙年間
3 乾隆年間
4 嘉慶—道光年間
おわりに
第2章 雍正年間の崇安県における抗租の展開
はじめに
1 史料
2 分析
おわりに
第3章 抗租と阻米——明末清初期の福建を中心として
はじめに
1 商品作物の展開
2 米穀の生産・流通
3 地主‐佃戸関係と商業・高利貸資本
4 抗租と阻米——むすびにかえて
おわりに
第4章 沙 県——清代福建の一地方社会
はじめに
1 県城および各都の概況
2 墟市・商品生産・商業資本
3 水碓・船碓と地主・商業資本
おわりに
第二部 抗租と明清国家
第5章 清代前期福建の抗租と国家権力
はじめに
1 雍正年間の平和県における抗租弾圧
2 地主収租体制と国家権力
おわりに
第6章 抗租と法・裁判——雍正五年の〈抗租禁止条例〉をめぐって
はじめに
1 〈抗租禁止条例〉の制定とその内容
2 〈抗租禁止条例〉制定以前の抗租と裁判
3 〈抗租禁止条例〉制定以後の抗租禁圧
おわりに
第三部 保甲制と福建郷村社会
第7章 明末の福建における保甲制の展開
はじめに
1 福建における里甲制の変質
2 保甲制の実施とその展開
3 保甲制と明末の農民闘争
おわりに
第8章 長関・斗頭から郷保・約地・約練へ——福建山区における清朝郷村支配の確立過程
はじめに
1 郷保・約地・約練
2 長関と斗頭
3 保甲・団練と鉄砲狩令
おわりに
附 篇 明代里老人制の再検討
はじめに
1 里老人制の成立
2 申明亭と都・図
3 里老人制と裁判——当為と実態
おわりに
補 論
第四部 図頼と伝統中国社会
第9章 抗租と図頼——『点石斎画報』「刁佃」の世界
はじめに
1 『点石斎画報』「刁佃」の記事
2 明末以降の抗租における図頼の展開
3 図頼関係人命案件——租佃関係をめぐって
おわりに
第10章 軽生図頼考——特に威逼との関連について
はじめに
1 図頼とは何か
2 図頼の地域的展開と習俗化
3 図頼と威逼
おわりに
第11章 伝統中国における図頼の構図——明清時代の福建の事例について
はじめに
1 明清律と図頼
2 風俗と図頼
3 小忿・図頼・告官
おわりに
結 語
参考文献一覧
あとがき
史料索引
人名索引
事項索引
●著者紹介
三木 聰
1951年 北海道に生まれる
1974年 北海道大学文学部卒業
1980年 北海道大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学
現在 高知大学人文学部教授・博士(文学)
■著書・主要論文
『盗みの文化誌』(共著、1995年、青弓社)
「清代前期福建農村社会与佃農抗租闘争」(『中国社会経済史研究』1988年2期)
「明代の福建における魚課について」(『山根幸夫教授退休記念明代史論叢』上巻、1990年)
「許孚遠の謀略──豊臣秀吉の「征明」をめぐって」(『人文科学研究』4号、1996年)