商品説明
高木俊輔・渡辺浩一編著
判型: A5 上製
頁数: 568
ISBN: 978-4-8329-6081-7
Cコード: C3020
発行日: 2000-03-10
●本書の特徴
近世史料学研究の新しい動向を先導する力作.文献史料学を,日本近世を対象として深く掘り下げ,緻密な実証研究に基づく新たな方法論を追求する.国立史料館スタッフを中心とする共同研究の成果.
●目次
はしがき
序 日本近世史料学研究の現状と課題
第1部 史料のライフサイクル論
第1章 江戸幕府勘定所と代官所の史料空間
——勘定所系「伺書」のライフサイクルをめぐって………福田千鶴
はじめに——問題の所在
1 幕府勘定所の機構と「伺書」
2 「伺書」から「証文」
3 証文留帳
4 「願書」から「伺書」へ
おわりに
第2章 幕府官僚制機構における伺と指令の文書類型
——江戸町奉行所『撰要類集』の分析を中心として………笠谷和比古
はじめに
1 老中と町奉行との関係に基づく命令の授受
2 御側御用取次との関係に基づく命令の授受
むすびに
第3章 幕府寺社奉行所における建築認可システムの史料学的検討………金行信輔
はじめに
1 「諸宗作事図帳」の作成経緯
2 寺社建築に対する法的規制
3 建築認可システム
4 出願免除特権
おわりに
第4章 松江藩郡奉行所「民事訴訟文書」の史料学的研究………安藤正人
はじめに
1 松江藩郡奉行所「民事訴訟文書」と松江藩の裁判組織
2 松江藩郡奉行所「民事訴訟文書」の分析——ケース1「神門郡妙見社地境争論一件」
3 松江藩郡奉行所「民事訴訟文書」の分析——ケース2「二股大敷網場争論一件」
まとめ
第2部 史料保管史
第1章 幕府寺社奉行と文書管理………大友一雄
はじめに
1 寺社奉行集団と文書の共同管理
2 月番箪笥・年番箪笥の引継と管理
3 月番箪笥から年番箪笥への文書移管の実態
4 月番箪笥・年番箪笥の中身から考える
おわりに
第2章 近世都市高山における「町方」文書の保管構造………渡辺一浩
はじめに
1 近世高山の町年寄と町組頭
2 惣町レベルの文書群
3 個別町レベルの文書群——町組頭引継文書と屋台組文書
特 論 高山町年寄文書の保管容器について………青木 睦
はじめに
1 高山町壱之町・弐之町・三之町に残存する容器について
2 文書容器の保管のあり方
おわりに
第3章 商品流通機構の情報蓄積——肴万問屋と問屋場をめぐって………小林信也
はじめに
1 川上家文書「肴屋諸帳面入」について
2 「肴万」取引
3 肴万問屋川上と肴屋
おわりに
第4章 明治初年竹沢寛三郎支配期の文書引継・保管問題………高木俊輔
はじめに
1 幕府郡代支配より鎮撫使先発(先鋒)竹沢支配へ
2 竹沢寛三郎支配期の諸問題
おわりに
第5章 近代的史料管理秩序の形成
——「高山町会所・戸長役場文書」の引継目録から見た………丑木幸男
はじめに
1 分散管理から集中管理へ——町村の広域化と記録管理
2 主題別分類から機能・組織別分類へ
3 大正期の整理保存
まとめとして
第6章 「町村制」における文書管理の性格——近現代史料論としての考察………鈴江英一
はじめに——本章の課題
1 近現代史料についての論点
2 「町村制」発足期の文書管理
まとめ——近現代史料論と史料管理論の接点
第3部 近世史料学の新しい領域
第1章 近世前期の広域村落支配と史料の作成・授受・管理
——北遠幕領を事例として………佐藤孝之
はじめに
1 広域村落支配の概要
2 「領」支配と史料の作成・授受・管理
3 年貢関係以外の史料のあり方
おわりに
第2章 文書作成請負業者と村社会——近世飛騨地域における筆工を事例として………冨善一敏
はじめに
1 筆工の成立
2 筆工の存在形態——押上屋を中心に
3 筆工の活動
むすびにかえて
第3章 近世後期の年貢徴収をめぐる勘定所—代官関係の史料学的考察
——天保改革期の飛騨幕領を中心に………山崎 圭
はじめに
1 天保改革時の勘定所と代官・郡代——飛騨国の場合
2 天保改革以前の勘定所と代官
3 天保改革以後の勘定所と代官
おわりに
第4章 甲斐国の神社組織と番帳——文書の売買・改竄・管理………西田かほる
はじめに
1 切り刻まれた文書
2 永禄と慶長の条目と番長
3 府中八幡宮管理による条目と番長
4 売買される文書・改竄される文書
5 社家仲間の管理による条目と番長
おわりに
第5章 大名家文書の中の「村方文書」………渡辺尚志
はじめに
1 入会争論の発端と村方騒動への展開
2 藩の裁許
3 江戸越許の決行と一件の集結
おわりに
結 史料空間への旅立ち
あとがき
summary
●著者紹介
高木 俊輔
国文学研究資料館史料館長・教授
渡辺 浩一
国文学研究資料館史料館助教授