商品説明
北大文学研究科ライブラリ 6
誤解の世界 ー 楽しみ、学び、防ぐために
松江 崇 編著
定価:2,640円(本体価格2,400円+税)
判型:四六 並製
頁数:326
ISBN:978-4-8329-3380-4
Cコード:C1039
発行日:2012-03-30
●本書の特徴
人の営みには「誤解」がつきもの! 誤解のない生活、どんな誤解も起こらない恋愛小説など味気ない! 悲しい誤解、あらぬ誤解から嬉しい誤解、笑える誤解まで、北大文学部の執筆者たちがわかりやすい例から「誤解」の諸相を紹介。鋭く深く「誤解」の本質に迫ります。
●目次
はじめに
第一章 言誤学?――未知のコトバとの出会い………津曲敏郎
はじめに
1 コトバの誤解あれこれ
2 誤解から生まれたコトバ
3 異言語/異文化との出会い
4 コトバをどう捉えるか?
5 今、言語が危ない!?
第二章 「誤解」はなぜ楽しいか?――物語における「誤解」から見える人間………村松正隆
はじめに――「誤解」は人の〈まこと〉を明らかにする
1 「誤解」と他の「間違い」は、何が違うのか?
2 フィクションにおける「誤解」はなぜ楽しいか?
3 人の「まこと」を明らかにするものとしての「誤解」
4 誤解と人間の実存――仁和寺の法師は何を誤解しているのか?
5 誤解と笑いと寛容と――なぜ私たちは寅さんを笑うのか?
第三章 誤解とカルト………櫻井義秀
1 誤解するのが当然
2 キャンパス内のカルト
3 生きる意味を求めて――オウム真理教元信者の誤解
4 誤解と人生
第四章 本格ミステリーにおける誤解と誤読………押野武志
はじめに――騙されることの快楽
1 本格ミステリーの歴史
2 戦後本格ミステリーの出発
3 叙述トリックの系譜
4 本格ミステリーの新展開
5 本格ミステリーの受難
おわりに――新たなリアリズムの誕生
第五章 名を正すこと――中国古典における誤解の分析と対策………近藤浩之
1 誤解の前に――そもそも人と人とは理解し合えるのか
2 誤解のない「名」づけ――実行できる発「言」
3 誤解のある「名」づけ
4 実行できない発「言」
5 誤解に対する対策とは
6 「名」づけることが誤解の始まり
第六章 漢字をめぐる誤解――「誤解」の創造性………松江 崇
1 語源の「誤解」
2 誤解による「訓」の誕生――「寅」はどうして「とら」と読むのか?
3 漢字の字形に関わる「誤解」
4 「誤解」によって創り出された文体の魅力――漢文訓読文
5 おわりに
第七章 近代における日本人の愛国心………白木沢旭児
はじめに――日本人の愛国心をめぐる誤解
1 戦後における諸外国の愛国心教育
2 終戦直後における国民の「愛国」意識
3 近代日本独特の愛国心のかたち
おわりに
第八章 ことばの行き違いと誤解――誤解をめぐる日本語の状況とことばの危機管理………加藤重広
1 ことばの研究から見る「誤解」
2 日本語を使う人々の意識
3 日本語の本質と見え方
4 正しい日本語という強迫観念
5 ことばの行き違いが始まるところ
6 ことばの危機管理
おわりに
おわりに
執筆者紹介
●著者紹介
松江 崇(マツエ タカシ)
1971年生,東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程単取得退学.
現在,北海道大学大学院文学研究科准教授(中国文化論講座).
〈著書・論文〉
『古漢語疑問賓語詞序変化機制研究』(好文出版,2010年).
『漢語方言解釈地図』(岩田礼との共著書,白帝社,2009年).
「漢代方言中的同言線束:也談根據《方言》的方言區劃論」(華學誠(匯證)王智群,謝榮娥,王彩琴(協力)『揚雄方言校釋匯證』1509-1533頁,中華書局,2006年).
津曲 敏郎(ツマガリ トシロウ)
1951年生,北海道大学大学院文学研究科博士課程中退.
現在,北海道大学大学院文学研究科教授(北方文化論講座).
〈著書〉
『満洲語入門20講』(大学書林,2002年).
『北のことばフィールド・ノート:18の言語と文化』(共編著,北海道大学図書刊行会,2003年).
『ビキン川のほとりで││沿海州ウデヘ人の少年時代』(訳書,北海道大学図書刊行会,2001年).
村松 正隆(ムラマツ マサタカ)
1972年生,東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了.
現在,北海道大学大学院文学研究科准教授(倫理学講座).
〈著書〉
『〈現われ〉とその秩序 メーヌ・ド・ビラン研究』(東信堂,2007年).
『哲学の歴史 6 知識・経験・啓蒙』(共著,中央公論新社,2007年).
櫻井 義秀(サクライ ヨシヒデ)
1961年生,北海道大学大学院文学研究科博士課程中退.
現在,北海道大学大学院文学研究科教授(社会システム科学講座).
〈著書〉
『統一教会:日本の宣教戦略と韓日祝福』(中西尋子と共著,北海道大学出版会,2010年).
『死者の結婚:祖先崇拝とシャーマニズム』(北海道大学出版会,2010年).
『越境する日韓宗教文化:韓国の日系新宗教 日本の韓流キリスト教』(李元範と共編著,北海道大学出版会,2011年).
押野 武志(オシノ タケシ)
1965年生,東北大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学.博士(文学).
現在,北海道大学大学院文学研究科教授(映像・表現文化論講座).
〈著書〉
『宮沢賢治の美学』(翰林書房,2000年).
『童貞としての宮沢賢治』(ちくま新書,2003年).
『文学の権能:漱石・賢治・安吾の系譜』(翰林書房,2009年).
近藤 浩之(コンドウ ヒロユキ)
1966年生,東京大学大学院人文社会系研究科単位取得退学.
現在,北海道大学大学院文学研究科准教授(中国文化論講座).
〈主編訳〉
『易學哲學史』(全四巻)(朱伯崑原著,伊東倫厚監訳,朋友書店,2009年).
白木沢 旭児(シラキザワ アサヒコ)
1959年生,京都大学大学院農学研究科退学,博士(経済学).
現在,北海道大学大学院文学研究科教授(日本史学講座).
〈著書〉
大恐慌期日本の通商問題』(御茶の水書房,1999年).
加藤 重広(カトウ シゲヒロ)
1964年生,東京大学大学院人文社会科学系研究科修了.博士(文学).
現在,北海道大学大学院文学研究科教授(言語情報学講座).
〈著書〉
『日本語修飾構造の語用論的研究』(ひつじ書房,2003年).
『日本語文法入門ハンドブック』(研究社,2006年).
『その言い方が人を怒らせる:ことばの危機管理術』(筑摩書房,2009年).
(本書刊行時の情報です)