商品説明
北海道大学大学院文学研究科言語情報学講座編
判型: A5 上製
頁数: 304
ISBN: 978-4-8329-6723-6
Cコード: C3087
発行日: 2010-03-31
●本書の特徴
日本における朝鮮語 学,日本語学の著名な研究者である門脇誠一名誉教授の退職記念として,12人の言語研究者の最新の論考を纏めた論文集。日本語,アイヌ語,朝鮮語,中国語,ウデヘ語という アジア諸言語に加えて,古代ギリシャ語,オランダ語,スペイン語にいたるまで,幅広い言語についての最新の論考を収録した。文献学,記述言語学のような伝統的な研究分野はもちろん,認知言語学,生成文法,文字論,情報論理,言語学史などさまざまな研究内容を含む。各分野の言語研究者はもとより,言語研究の方法に興味を持つ読者にとって極めて有益な論文集である。
●目次
第1部 朝鮮語の研究
第1章 現代朝鮮語の形容詞のクラスに関する予備的考察………浜之上 幸
1.はじめに
2.形容詞の分類の諸相
3.“美しさ”を表す類語の様相
4.コーパスにおける検証
連体形の場合 / 副詞形の場合 / 述語の位置にある場合 / 述語の位置にある場合の形式 /
共起する名詞
5.おわりに
第2章 文字にかかわる選択──日本語入力とハングル入力………小野芳彦
1.はじめに
2.文字発明(借用)における選択
3.情報処理と文字表記
4.キーボードとキー配列
日本語の音節レベルの入力(カナキーボード) / 日本語の音素レベルの入力(ローマ字入
力) / ハングルの音素→音節入力 / 日韓両国語で可能な音素→音節入力
5.おわりに
第2部 日本語の研究
第3章 感情表現における日中対照研究──感情の語り方と人称制限の普遍性に着目して
………………王 安
1.はじめに
2.感情の語り方
感情の表出を捉える言語表現の特徴 / 感情の描写を捉える言語表現の特徴
3.「感情の表出」を捉える日中感情表現の共通点と人称制限の普遍性
主語の明示を伴わず単独に文を構成できる / 両言語の感情の表出を捉える表現に人称制
限が存在する / モダリティ形式の付加により,人称制限が解除される
4.おわりに
第4章 外的アスペクトと内的アスペクト………加藤重広
1.はじめに
2.限界性の再検討
3.内的アスペクトに関する問題
4.外的アスペクトに関する問題
5.語彙と限界性
6.反復解釈による派生
7.おわりに
第5章 漢字字体の変遷と字書記述との関連──観智院本『類聚名義抄』を例に………池田証壽
1.はじめに
2.石塚(1999)による漢字字体の変遷
3.漢字字書における漢字字体記述
4.観智院本『類聚名義抄』の字体記述
5.おわりに
第6章 日本書紀における中国口語漢語起源二字形容詞の訓点………唐 煒
1.はじめに
2.『日本書紀』訓点資料
3.二字形容詞の訓点
二字一語として訓んでいる例 / 二字一語として訓んでいない例
4.まとめ
第3部 他のアジア諸言語の研究
第7章 ウデヘ語音韻論覚え書き──地域類型的観点から………津曲敏郎
1.はじめに
2.口蓋化子音と唇音化子音
3.母音の量的/質的区別の減少
4.単音節化の流れ
5.文法的区別の減少─孤立語化の流れ
第8章 アイヌ語千歳方言の昔話(uwepeker)テキスト「我が子を樹洞に監禁した女の話」と
その言語的特徴………佐藤知己
1.はじめに
2.本テキストの言語的特徴
人称の不一致について / 主格人称接辞を欠く動詞の例について / 例外的な文の名詞化
(?)を含む構造について / 民族誌的に注目すべき箇所について
3.昔話テキスト本文および訳注
昔話テキスト本文 / 訳注
4.おわりに
第4部 印欧諸言語の研究
第9章 スペイン語における“que”および“el que”を用いる関係節の統語構造………藤田 健
1.序論
2.関係代名詞“que”と“el que”
“que” / “el que”
3.分析
制限用法 / 非制限用法 / 独立用法
4.結論
第10章 オランダ語研究の歴史と言語規範の形成………清水 誠
1.はじめに
2.後期中期オランダ語の時代(1350—1550年頃)
3.初期新期オランダ語の時代(1550—1650年頃)
対訳辞書の編集 / 正書法の提案 / 文法記述の試み / 『欽定訳聖書』と標準オランダ語
4.新期オランダ語の時代I(1650—1800年頃)
規範文法の探究 / 対訳辞書と百科事典
5.新期オランダ語の時代II(1800—1880年頃)
規範文法の整備と最初の公認正書法の制定 / ブリルとデ・ヴリースの歴史言語学研究 /
一般文法と学校文法 / 対訳辞書のその後 / オランダ語圏南部の言語事情とその歴史 /
初期のフランドル運動 / 『オランダ語辞典』(WNT)編纂の歴史 / ヴァン・ダーレのオラ
ンダ語大辞典(GVD)とその後の発達
6.新期オランダ語の時代III(1880年頃—)
南北統一正書法の成立 / フランドル運動の展開とベルギーの言語問題 / 話し言葉として
の標準語と南北オランダ語圏の言語的連帯 / その後の進展
第11章 Ilias, 2.528-530………安西 眞
1.ホメロス本文と後代挿入(interpolation)
2.ギリシアという概念の成立と『イリアス』
3.Il.2.528-530の削除について
4.船のカタログ(Il.2.494-759)の導入形式
あとがき
門脇誠一名誉教授主要業績
●著者紹介
北海道大学大学院文学研究科言語情報学講座
安西 眞
1948年生まれ
東京大学人文科学研究科博士課程中途退学
北海道大学大学院文学研究科教授 文学博士(北海道大学)
第4部第11章執筆
池田 証壽
1955年生まれ
北海道大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学
北海道大学大学院文学研究科教授
第2部第5章執筆
王 安
1975年中国北京に生まれる
北海道大学大学院文学研究科博士課程修了
関西学院大学国際学部講師 博士(文学)
第2部第3章執筆
小野 芳彦
1951年生まれ
東京大学大学院理学系研究科博士課程中途退学
北海道大学大学院文学研究科教授 理学博士(東京大学)
第1部第2章執筆
加藤 重広
1964年生まれ
東京大学大学院人文社会科学系研究科博士課程修了
北海道大学大学院文学研究科准教授 博士(文学)
第2部第4章執筆
佐藤 知己
1961年生まれ
北海道大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学
北海道大学大学院文学研究科教授
第3部第8章執筆
清水 誠
1958年生まれ
東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了
北海道大学大学院文学研究科教授 文学博士(北海道大学)
第4部第10章執筆
津曲 敏郎
1951年生まれ
北海道大学大学院文学研究科博士課程中途退学
北海道大学大学院文学研究科教授
第3部第7章執筆
唐 煒
中国北京生まれ
北海道大学大学院文学研究科博士課程修了
北海道大学大学院文学研究科助教 博士(文学)
第2部第6章執筆
浜之上 幸
1956年生まれ
ソウル大学大学院国語国文学科博士課程単位取得退学
神田外語大学教授
第1部第1章執筆
藤田 健
1968年生まれ
京都大学大学院文学研究科博士課程修了
北海道大学大学院文学研究科准教授 博士(文学)(京都大学)
第4部第9章執筆