商品説明
北のことばフィールド・ノート ー 18の言語と文化
津曲敏郎 編著
定価:1,980円(本体価格1,800円+税)
判型:四六 並製
頁数:278
ISBN:978-4-8329-3361-3
Cコード:C1080
発行日:2003-10-10
●本書の特徴
サハリンから北東アジア、アラスカを経て北西海岸に至る環北太平洋。そこでは言語の多様性が急速に失われようとしている。そこに散らばる小さなことばたちを訪ねた若手言語学者がつづる、ことばの世界の奥深さと不思議さ、その魅力と話者への想い。
●目次
序文:北方言語研究への一つの願い………池上二良
はじめに:北のことばを訪ねて………津曲敏郎
1 北サハリンを発つ朝(ニヴフ)………白石英才
2 アムールの恵みとともに(ナーナイと他のツングース)………風間伸次郎
3 デルスの見た星(ウイルターナーナイーウデヘ)………津曲敏郎
4 新天地をめざした白鳥の子孫(シネヘン・ブリヤート)………山越康裕
5 英雄叙事詩を語り継いで北へ(ヤクート)………藤代 節
6 現代文化の奔流の中で(ユカギール)………遠藤 史
7 フィールドから得るもの、返すもの(コリャーク)………呉人 恵
8 トナカイの角のような家系図(アリュートル)………永山ゆかり
9 カムチャツカの自然とともに生きる(イテリメン)………小野智香子
10 ツンドラにトナカイを追う(チュクチ)………呉人徳司
11 極北の国際語(シベリア・ユピック)………永井佳代
12 エスキモーの最大グループ(イヌイット/イヌピアック)………永井忠孝
13 大国に翻弄された海洋民(アリュート)………大島 稔
14 温帯雨林にはぐくまれた自然の中で(ツィムシアン)………笹間史子
15 トーテムポールに刻まれた願い(ハイダ)………堀 博文
16 「意外」との出会い(ヌートカ)………中山俊秀
17 村に鮭が帰るとき(海岸セイリッシュ・スライアモン)………渡辺 己
18 グランドキャニオンの先住民(ワラパイ)………中山(市橋)久美子
あとがき:<文化をうつすことば>と環北太平洋………宮岡伯人
初出一覧
執筆者紹介
●著者紹介
津曲 敏郎(ツマガリ トシロウ)
1951年生まれ。北海道大学大学院修了。1988年以来,中国およびロシアでツングース諸語の調査に従事。現在,北海道大学大学院文学研究科教授。専門はツングース諸語の記述的・類型的研究。
白石 英才(シライシ ヒデトシ)
1974年生まれ。千葉大学大学院修了。1995年以来北海道でアイヌ語調査, 1999年以来ロシア連邦サハリン州でニヴフ語の調査に従事。現在,オランダ・フローニンゲン大学文学部言語学科助手。専門はアイヌ語,ニヴフ語の音韻論。
風間 伸次郎(カザマ シンジロウ)
1965年生まれ。北海道大学大学院修了。1988年以来,中国およびロシアでツングース諸語の調査に従事。現在,東京外国語大学外国語学部助教授。専門はツングース諸語の記述研究。
山越 康裕(ヤマコシ ヤスヒロ)
1976年生まれ。東京外国語大学大学院修了。専門はモンゴル諸語の記述的研究。2000年よりシネヘン・ブリヤート語およびハムニガン・モンゴル語の調査に従事。現在,北海道大学大学院博士課程在学中,日本学術振興会特別研究員。
藤代 節(フジシロ セツ)
1959年生まれ。京都大学大学院博士課程単位取得退学。1991年以降,サハ・ヤクート共和国,タイムル自治管区等で北方チュルク語の調査に従事。現在,神戸市看護大学看護学部助教授。専門はヤクート語英雄叙事詩オロンホの言語学的研究。
遠藤 史(エンドウ フビト)
1960年生まれ。北海道大学大学院修了。1995年以来,主にサハ共和国ネレムノエ村にてコリマ・ユカギール語の調査に従事する。現在,和歌山大学経済学部助教授。専門はユカギール語の記述言語学的研究。
呉人 恵(クレビト メグミ)
1957年生まれ。東京外国語大学大学院修了。1985年から主に中国内モンゴル自治区でモンゴル語, 1993年からはロシア連邦マガダン州セヴェロ・エヴェンスク地区を中心にコリャーク語の調査に従事。現在,富山大学人文学部教授。専門はコリャーク語の記述言語学的・言語人類学的研究。
永山 ゆかり(ナガヤマ ユカリ)
1969年生まれ。北海道大学大学院修了,同博士課程在学中,日本学術振興会特別研究員。1997年以来,ロシア連邦コリヤーク自治管区でアリュートル語の調査に従事。専門はアリュートル語の記述言語学的研究。
小野 智香子(オノ チカコ)
1970年生まれ。千葉大学大学院博士課程単位取得退学。1997年以来,カムチャッカでイテリメン語の調査に従事。現在, 日本学術振興会特別研究員。専門はイテリメン語の記述研究。
呉人 徳司(クレビト トクス)
1965年生まれ。京都大学大学院博士課程単位取得退学,博士(文学)。1992年からチュクチ語の現地調査に従事。現在,東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所助教授。
永井 佳代(ナガイ カヨ)
1970年生まれ。京都大学大学院博士課程研究指導認定退学。1995年以来,アラスカ州でシベリア・ユピック語の調査に従事。現在, 日本学術振興会特別研究員。専門はシベリア・ユピック語の記述的研究。
永井 忠孝(ナガイ タダタカ)
1972年生まれ。東京大学大学院修了。1996年以来,米アラス力州でイヌピアック語の調査に従事。現在,米アラスカ大学フェアバンクス校大学院博士課程在学中。専門はイヌピアック語のボイスの研究。
大島 稔(オオシマ ミノル)
1951年生まれ。北海道大学大学院修了。l977年以来アラスカとカムチャッカでアリュート,コリヤークの民族言語学的調査に従事。現在,小樽商科大学言語センター教授。専門はアラス力とカムチャッカ先住民の民族言語学的研究。
笹間 史子(ササマ フミコ)
1968年生まれ。京都大学大学院博士課程修了,博士(文学)。1991年以来,カナダ北西部にて海岸ツィムシアン語の調査に従事。現在,大阪学院大学情報学部講師。専門は海岸ツィムシアン語の記述的研究。
堀 博文(ホリ ヒロフミ)
1968年生まれ。京都大学大学院博士課程修了,博士(文学)。1991年よりハイダ島スキドゲイトでハイダ語の調査に従事。現在,静岡大学人文学部助教授。専門はハイダ語の記述的研究。
中山 俊秀(ナカヤマ トシヒデ)
1963年生まれ。米カリフォルニア大学サンタ・バーバラ校大学院博士課程修了(Ph.D.)。1991年以来, ビクトリアおよびポート・アルバーニ(カナダ,ブリティッシュ・コロンビア州)でヌートカ語の調査に従事。現在,東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所助教授。専門はヌートカ語の記述的・類型的研究。
渡辺 己(ワタナベ オノレ)
1965年生まれ。京都大学大学院博士課程修了,博士(文学)。1990年以来,カナダ,ブリティッシュ・コロンビア州にてスライアモン語調査に従事。現在,香川大学経済学部助教授。専門はスライアモン語の記述的研究。
中山(市橋) 久美子(ナカヤマ イチハシ クミコ)
1963年生まれ。米カンザス大学大学院言語学科修士課程終了。カリフォルニア大学サンタ・バーバラ校大学院言語学科博士課程在籍中。東京外国語大学非常勤講師。専門はワラパイ語の記述的研究。
宮岡 伯人(ミヤオカ オサヒロ)
1936年生まれ。京都大学大学院修了,文学博士。小樽商科大学,東京外国語大学,北海道大学,京都大学教授を経て,現在,大阪学院大学情報学部教授。専門はエスキモー語。
(本書刊行時の情報です)