商品説明
仁平 尊明編
判型: 四六 並製
頁数: 272
ISBN: 978-4-8329-3400-9
Cコード: C1095
発行日: 2017-06-23
●本書の特徴
世に悩みの種はつきものです。一挙解消の妙薬は処方できませんが、古今東西の文学や思想、歴史、社会科学の最新知見から、文学部の講師陣が《悩める人間》というテーマにせまります。悩みについて知れば、人生を豊かにするヒントが見つかるかも。
●目次
はしがき
第一章 宗教は悩みにどう向き合うか………宮嶋俊一
1 「悩み」と「苦しみ」について
2 仏教やキリスト教は悩みといかに向き合ってきたのか
3 マックス・ウェーバーの神義論
4 試練としての苦しみ
5 まとめ
第二章 作家(アーティスト)はつらいよ………北村清彦
はじめに
1 日本の芸術家人口
2 芸術の経済
3 芸術と社会
4 「芸術」という能力
おわりに
第三章 平安文人官僚の切なる昇進の願い──小野道風と菅原文時………小倉真紀子
はじめに
1 時代の背景と小野道風・菅原文時の生涯
2 小野道風の任官申請
3 菅原文時の叙位申請
おわりに
第四章 新しい社会原理の模索──三木清と国体イデオロギーの接点………権 錫 永
はじめに
1 日本のヒューマニズム運動の背景
2 三木清のヒューマニズム論
3 国体イデオロギーとの接点
おわりに
第五章 書くべきか、書かざるべきか──マーク・トウェインの悩み………竹内康浩
1 ある文学者の悩み
2 『ハックルベリー・フィンの冒険』の初期構想──推理小説として
3 書くべきか、書かざるべきか
4 『ハック』の完成へ──良心と休戦
第六章 僥倖がもたらした苦悩と絶望──竹取の翁の人生を考える………後藤康文
はじめに
1 僥倖と逸脱
2 翁の野望
3 愛娘喪失と腸断の苦しみ
4 絶望と死
おわりに
第七章 是か非か、悩んだ果てに──荘子の悩み………近藤浩之
はじめに
1 『荘子』斉物論篇の「辯」─是非の対立論争
2 『十七条憲法』に見える是非論争の心得
3 物として可ならざる無し
4 朝三暮四——同じ事なのに一喜一憂する愚かさ
五 類と不類と、相与(とも)に類を為す──対立者同士が同類
六 対立する両者が同類になる試み
七 結 論──まとまらないまとめ
第八章 思考抑制──忘れようとすると逆効果………河原純一郎
1 シロクマ効果
2 二重構造の心
3 皮肉過程理論
4 どうしたらシロクマ効果を回避できるか
おわりに
第九章 学生相談に見る現代若者の悩み………櫻井義秀
1 日本人は悩む力をもっているのか
2 北海道大学の学生相談
3 現代人の欲求と悩み
おわりに
あとがき
執筆者紹介
●著者紹介
仁平 尊明
1971年生、筑波大学大学院博士課程地球科学研究科修了。博士(理学)。
現在、北海道大学大学院文学研究科准教授(地域システム科学講座)。
著書に『エネルギー効率から見た日本の農業地域』(筑波大学出版会、2011年)、『地域調査ことはじめ−あるく・みる・かく』(梶田真・加藤政洋との共著、ナカニシヤ出版、2007年)、『世界の国々(6)北アメリカ州』(帝国書院編集部編、監修、帝国書院、2012年)。
宮嶋 俊一
1966年生、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。文学博士。
現在、北海道大学大学院文学研究科准教授(宗教学インド哲学講座)。
著書に『祈りの現象学−ハイラーの宗教理論』(ナカニシヤ出版、2014年)、『シリーズ生命倫理学(4)終末期医療』(安藤泰至・高橋都編、分担執筆、丸善、2012年)。
論文に「スピリチュアルケアにおけるナラティヴの意義について」(『北海道生命倫理研究』四巻、一八─二七頁、2016年)。
北村 清彦
1955年生、京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定退学。博士(文学)。
現在、北海道大学大学院文学研究科教授(芸術学講座)。
著書に『藝術解釈学−ポール・リクールの主題による変奏』(北海道大学出版会、2003年)、『岩波講座 哲学(7)芸術/創造性の哲学』(飯田隆他編、分担執筆、岩波書店、2008年)、『日常性の環境美学』(西村清和編、分担執筆、勁草書房、2012年)。
小倉 真紀子
1974年生、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。
現在、北海道大学大学院文学研究科准教授(日本史学講座)。
論文に「公廨稲運用の構造−「越前国雑物収納帳」を素材として」(『日本史研究』506号、56−72頁、2004年)、「古代地子制に関する一考察」(『日本歴史』616号、39−54頁、1999年)、「『令集解』田令田長条穴記の錯簡」(『古文書研究』79号、29−35頁、2015年)。
権 錫 永
1964年生、北海道大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。
現在、北海道大学大学院文学研究科教授(歴史文化論講座)。
著書に『オンドルの近代史−オンドルをめぐる朝鮮人の暮らしと歴史』(一潮閣(ソウル)、2010年)、『岩波講座 文学(2)メディアの力学』(小森陽一他編、分担執筆、岩波書店、2002年)。
論文に「帝国主義と「ヒューマニズム」−プロレタリア文学作家を中心に」(『思想』882号、138−158頁、1997年)。
竹内 康浩
1965年生、東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。文学修士。
現在、北海道大学大学院文学研究科教授(西洋文学講座)。
論文に “Gatsbyʼs Green Light as a Traffic Signal: F. Scott Fitzgeraldʼs Motive Force,” (F. Scott Fitzgerald Review, 14, pp. 198−214, 2016), “Tracking Twain: The Unfulfilled Pursuit in Mark Twainʼs Detective Fiction,” (American Literary Realism, 48.2, pp. 166−182, 2016), “Twainʼs Trauma and the Unresolved Murder of Huckleberry Finnʼs Father,” (Literary Imagination, 15.3, pp. 259−274, 2013).
後藤 康文
1958年生、九州大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。
現在、北海道大学大学院文学研究科教授(日本文化論講座)。
著書に『伊勢物語誤写誤読考』(笠間書院、2000年)、『狭衣物語論考−本文・和歌・物語史』(笠間書院、2011年)、『日本古典文学読解考−『万葉』から『しのびね』まで』(新典社、2012年)。
近藤 浩之
1966年生、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。文学修士。
現在、北海道大学大学院文学研究科教授(中国文化論講座)。
著書に『易學哲學史』(全四卷、朱伯崑原著、伊東倫厚監譯、近藤浩之主編、朋友書店、2009年)、『誤解の世界−楽しみ、学び、防ぐために』(松江崇編著、分担執筆、北海道大学出版会、2012年)、『テーマで読み解く中国の文化』(湯浅邦弘編著、分担執筆、ミネルヴァ書房、2016年)。
河原 純一郎
1970年生、広島大学大学院教育学研究科博士課程修了。博士(心理学)。
現在、北海道大学大学院文学研究科准教授(心理システム科学講座)。
著書に『心理学の実験倫理−「被験者」実験の現状と展望』(坂上貴之との共編著、勁草書房、2010年)、『注意−選択と統合』(横澤一彦との共著、勁草書房、2015年)、『実験心理学ハンドブック』(基礎心理学会監修、責任編集・分担執筆、朝倉書店、近刊)。
櫻井 義秀
1961年生、北海道大学大学院文学研究科博士課程中退。博士(文学)。
現在、北海道大学大学院文学研究科教授(社会システム科学講座)。
著書に『大学のカルト対策』(大畑昇との共編、北海道大学出版会、2012年)、『カルトからの回復−こころのレジリアンス』(編著、北海道大学出版会、2015年)、『人口減少時代の宗教文化論−宗教は人を幸せにするか』(北海道大学出版会、2017年)。