商品説明
北海道大学大学院文学研究院研究叢書 31
古代キリスト教研究論集
戸田 聡 著
定価:7,700円(本体価格7,000円+税)
判型:A5 上製
頁数:312
ISBN:978-4-8329-6866-0
Cコード:C3016
発行日:2021-03-25
●本書の特徴
新約聖書で最初にできたのは『マルコ福音書』ではなく『マタイ福音書』である;仮説の「Q資料」など存在しない;1945年発見の外典『トマス福音書』の原語は?などなど――通説への挑戦の書がここに誕生! 『トマス福音書』新訳を収録。
●目次
〔第1部 聖書(旧約・新約)とその周辺〕
第1章 共観福音書問題のための覚書
1 はじめに
2 ルカは自分の福音書を書く際に何を手にしていたか?
3 使徒パウロは何に拠ってイエスの言行を知ったか?
4 共観福音書問題の検討
5 結論
第2章 『トマスによる福音書』における弟子イメージ
1 はじめに
2 分析
3 終わりに
第3章 聖書解釈をめぐる若干の考察
1 はじめに
2 「賢い」蛇?(創世記3章)
3 論争の天才イエス、自分の言葉に足を掬われる(マタイ15章)
4 故郷で神の国を宣べ伝える(ルカ9章)
5 終わりに
第4章 巨大な地下迷宮?──ディアテッサロン再論
1 はじめに
2 ディアテッサロンの西方伝承?
3 ディアテッサロンの東方伝承
4 ディアテッサロンの著作(編纂)原語
5 結論
第5章 『エウセビオスのカノン』に見る福音書理解
1 『エウセビオスのカノン』に関するこれまでの研究
2 検討
3 終わりに
第6章 【翻訳】『トマスによる福音書』
『トマスによる福音書』
第7章 『トマスによる福音書』をめぐる諸問題
1 はじめに
2 『トマス』の著作原語
3 『トマス』の著作年代、或いは『トマス』と共観福音書の関係
4 『トマス』の傾向性、そして再び著作年代
5 結論
第8章 福音書正典/外典に見るイエス像──古典としての聖書
1 はじめに
2 福音書正典/外典に見るイエス像
3 結びに代えて
【補論】メシア(キリスト)に対するイエス自身の関心のありようについて
【書評】秦剛平/守屋彰夫編『古代世界におけるモーセ五書の伝承』
【書評】田川建三訳著『新約聖書 訳と註』
〔第2部 古代キリスト教〕
第1章 最初期のキリスト教をどう理解するか──Daniélouの所説の射程
1 はじめに
2 Jean Daniélou(1905-1974)
3 最初期のキリスト教に関するDaniélouの所説
4 ユダヤ的キリスト教に関するDaniélouの所説の問題点
5 ユダヤ的キリスト教以前の段階に関するDaniélouの議論
6 終わりに──Daniélouの議論をどう評価するか?
第2章 いわゆる「キリスト教のギリシア化」をめぐって
1 「キリスト教のギリシア化」という問題
2 「キリスト教のギリシア化」にはどういう意味がありうるか?
3 「キリスト教のギリシア化」の到達点
4 何が「キリスト教のギリシア化」の展開を決定づけたか?
5 終わりに
第3章 初期キリスト教と聖書翻訳
1 はじめに
2 シリア語訳
3 コプト語訳
4 アルメニア語訳
5 グルジア語訳
6 エチオピア語訳
7 終わりに──聖書のアラビア語訳をめぐって
【書評】マルクシース『グノーシス』
【書評】POUDERON, Les apologistes grecs du IIe siecle
【書評】グニルカ『コーランの中のキリスト教』
初出一覧
あとがき
研究者人名索引
●著者紹介
戸田 聡(トダ サトシ)
北九州市に生まれる。東京大学経済学部卒。中小企業金融公庫(当時)勤務ののち、一橋大学大学院に進学、同中退。ベルギー・ルーヴァンカトリック大学(フランス語圏)に留学し、同哲学・文学部東洋学研究所(当時)に在籍、1999年同特別学士課程修了。2003年オランダ・ライデン大学文学部(当時)博士課程に転籍、2006年同大学から文学博士号(doctor litterarum)を授与される。
専門は古代キリスト教史、東方キリスト教文学。
諸大学での非常勤講師等を経て2013年4月から北海道大学大学院文学研究科(現・文学研究院)准教授、現在に至る。
〈著書〉
『キリスト教修道制の成立』創文社、2008年.
『Vie de S. Macaire l'Egyptien』Gorgias Press、2012年.
『砂漠に引きこもった人々 キリスト教聖人伝選集』編訳、教文館、2016年.
伊藤邦武・山内志朗・中島隆博・納富信留編『世界哲学史2』ちくま新書、筑摩書房、2020年(第3章「キリスト教の成立」を執筆).
〈訳書〉
A.H.M.ジョーンズ『ヨーロッパの改宗:コンスタンティヌス《大帝》の生涯』教文館、2008年.
P. ブラウン『貧者を愛する者:古代末期におけるキリスト教的慈善の誕生』慶應義塾大学出版会、2012年.
H.-G.ベック『ビザンツ世界論:ビザンツの千年』知泉書館、2014年.
M. ヴェーバー『宗教社会学論集 第1巻上』北海道大学出版会、2019年.
ほか
(本書刊行時の情報です)