商品説明
現代宗教文化研究叢書 8
宗教とウェルビーイング ― しあわせの宗教社会学
櫻井義秀 編著
定価:6,380円(本体価格5,800円+税)
判型:A5 上製
頁数:438
ISBN:978-4-8329-6850-9
Cコード:C3014
発行日:2019-03-29
●本書の特徴
ウェルビーイングについて宗教社会学的なアプローチを用い、主観的幸福感とウェルビーイングとの関係を、計量的研究と質的研究の双方から考える。社会調査の対象者になりにくい人々の現実と課題からしあわせの深奥に迫る。
●目次
はじめに
〔第1部 宗教とウェルビーイングの基礎理論〕
第1章 しあわせとソーシャル・キャピタル――人口減少社会日本における希望ときずな………櫻井義秀
1 人口減少社会における個人化と絆
2 しあわせ研究の知見
3 ソーシャル・キャピタルと宗教
4 幸福の最大化よりも不幸を最小限に
第2章 宗教とウェルビーイング――研究の視点と展望………櫻井義秀
1 はじめに
2 宗教とは何か
3 幸せをどうとらえるか
4 社会・環境の改善
5 生活満足度
6 生きる力
7 幸福感
8 幸福感と客観的条件の乖離
9 おわりに
第3章 「人間になる」――自律の夢から覚める………寺戸淳子
1 〈ラルシュ〉共同体運動
2 社会契約論批判:人間の尊厳
3 ラルシュ共同体運動の意義
4 結びにかえて
〔第2部 宗教とウェルビーイングの計量社会学〕
第4章 アジアにおける幸福と満足の文化――その理論的考察と方法論的検討………真鍋一史
1 はじめに
2 データ分析の背後にある問題関心
3 アジア・バロメーターによる「幸福と満足をめぐる諸理論・仮説・命題」の実証的なテスト
4 おわりに
第5章 宗教的な人々は幸せになるか?――ヨーロッパ社会調査からの治験………ウォルフガング・ヤゴチンスキー(清水香基・櫻井義秀 訳)
1 はじめに
2 理論的考察
3 仮説と操作化の手続き
4 実証的分析
5 考察と結論
第6章 日本の宗教とウェルビーイング………清水香基・櫻井義秀
1 調査の企画と構成
2 主観的幸福感の構成
3 宗教意識・宗教実践の構成
4 宗教実践と主観的幸福感との関連
5 宗教意識・宗教実践の正味の寄与率
6 考察と課題
〔第3部 宗教と女性・高齢者のウェルビーイング〕
第7章 水子供養は何を癒すのか………猪瀬優理
1 水子供養とは
2 水子供養についての諸議論
3 水子供養によって癒されうるウェルビーイング
第8章 高齢女性の主観的ウェルビーイングと装い――人生の危機と自己の再帰的確認………片桐資津子
1 目的、方法、対象設定
2 分析枠組み
3 調査の概要
4 活動的高齢女性の装い認識
5 要介護高齢助成の装い認識
6 考察
7 まとめ、残された課題
第9章 限界集落における祭礼の維持がコミュニティー持続に及ぼす影響――旧仁淀村別枝地区の単身帰郷者に着目して………冬月 律
1 はじめに
2 旧仁淀村の暮らし
3 お宮と氏子
4 信仰の継承と地域活動によって創出される生き甲斐
5 おわりに
第10章 現代農村の信仰継承――日本基督教団丹波新生教会のウェルビーイング………川又俊則
1 はじめに
2 問題設定
3 丹波新生教会の歴史
4 丹波新生教会の現況
5 現在の葛藤
6 考察
7 おわりに
第11章 多文化化する韓国社会と移民の社会的包摂――キリスト教団体の社会支援………李賢京
1 はじめに
2 韓国における外国人移住民の現状と関連政策の動向
3 外国人移住民をめぐる社会的排除と包摂
4 キリスト教の移住民支援活動の現状――3つの団体を中心に
5 むすびに代えて――移住民のしあわせ(ウェルビーイング)と宗教
おわりに
付録「宗教と主観的ウェルビーイング」に関する調査 単純集計表
索引
執筆者紹介
●著者紹介
櫻井 義秀(サクライ ヨシヒデ)
1961年 山形県生まれ
1987年 北海道大学大学院文学研究科博士課程中退
現在 北海道大学大学院文学研究科教授
〈単・共著〉
『東北タイの開発と文化再編』北海道大学図書刊行会、2005年.
『⽛カルト⽜を問い直す』中央公論新社、2006年.
『東北タイの開発僧』梓出版社、2008年.
『霊と金』新潮社、2009年.
『統一教会』(共著)北海道大学出版会、2010年.
『死者の結婚』北海道大学出版会、2010年.
『カルト問題と公共性』北海道大学出版会、2014年.
『人口減少時代の宗教文化論』北海道大学出版会、2017年.
〈編著〉
『カルトとスピリチュアリティ』ミネルヴァ書房、2009年.
『社会貢献する宗教』(共編)世界思想社、2009年.
『現代タイの社会的排除』(共編)梓出版社、2010年.
『越境する日韓宗教文化』(共編)北海道大学出版会、2011年.
『日本に生きる移民たちの宗教生活』(共編)ミネルヴァ書房、2012年.
『大学のカルト対策』(共編)北海道大学出版会、2012年.
『アジアの宗教とソーシャル・キャピタル』(共編)明石書店、2012年.
『タイ上座仏教と社会的包摂』明石書店、2013年.
『アジアの社会参加仏教』(共編)北海道大学出版会、2015年.
『カルトからの回復』北海道大学出版会、2015年.
『人口減少社会と寺院』(共編)法藏館、2016年.
『現代中国の宗教変動とアジアのキリスト教』北海道大学出版会、2017年.
『しあわせの宗教学』法藏館、2018年.
など
寺戸 淳子(テラド ジュンコ)
生年 1962年
現在 専修大学非常勤講師
〈主著〉
「〈ラルシュ〉で生きる『人間の条件』ヴァニエ,アレント,クリステヴァ――異邦人は招く」磯前順一・川村覚文編『他者論的転回 宗教と公共空間』ナカニシヤ出版,2016年(分担執筆).
「「彼らが幸せでいられるなら」――声・権利・責任」鈴木岩弓・磯前順一・佐藤弘夫編『〈死者/生者〉論――傾聴・鎮魂・翻訳』ぺりかん社,2018年(分担執筆).
真鍋 一史(マナベ カズフミ)
生年 1942年
現在 青山学院大学地球社会共生学部教授
〈主著〉
『国際比較調査の方法と解析』慶應義塾大学出版会,2003年(単著).
Facet Theory and Studies of Japanese Society, Bier'sche Verlagsanstalt, Bonn, Germany, 2001(単著).
Jagodzinski, Wolfgang(ヤゴチンスキー,ウォルフガング)
生年 1943年
現在 ドイツ・ケルン大学教授,及びケルン大学日本大使
〈主著〉
“Religious and Ethical Pluralism” and “Secularization and Church Religiosity” (with Karel Dobbelaere) in Jan W. van Deth ed. The Impact of Values, Oxford University Press, 1995.
清水 香基(シミズ コウキ)
生年 1990年
現在 北海道大学大学院文学研究科博士課程
〈主著〉
「付録 幸福感に関する調査とデータ」櫻井義秀編『しあわせの宗教学――ウェルビーイング研究の視座から』法藏館,2018年(分担執筆).
「日本人の宗教意識に関する計量的研究――NHK『日本人の意識調査』データを用いたコウホート分析」『次世代人文社会研究』第13巻,2017年(単著).
猪瀬 優理(イノセ ユリ)
生年 1974年
現在 龍谷大学社会学部准教授
〈主著〉
『信仰はどのように継承されるか――創価学会にみる次世代育成』北海道大学出版会,2011(単著).
「仏婦がつくる地域――ビハーラの可能性」櫻井義秀・川又俊則編『人口減少社会と寺院』法藏館,2016年(分担執筆).
片桐 資津子(カタギリ シズコ)
現在 鹿児島大学法文学部教授
〈主著〉
「尊厳死は幸せな最期につながるか」『しあわせの宗教学――ウェルビーイング研究の視座から』櫻井義秀編,法藏館,2018年(分担執筆)
「活動的高齢女性の生きがい獲得とその変遷―内省と創発の概念に注目して」ソシオロゴス編集委員会編『ソシオロゴス』40,2016年(単著).
冬月 律(フユツキ リツ)
生年 1979年
現在 公益財団法人モラロジー研究所研究センター 主任研究員
〈主著〉
「過疎と宗教――30年をふりかえる」櫻井義秀・川又俊則編『人口減少社会と寺院』法藏館,2016年(分担執筆).
「過疎地神社の現況と氏子意識――高知県旧窪川町の神社と氏子の調査」『國學院大學研究開発推進センター研究紀要』第13号,2019年(単著).
川又 俊則(カワマタ トシノリ)
生年 1966年
現在 鈴鹿大学こども教育学部教授
〈主著〉
『人口減少社会と寺院――ソーシャル・キャピタルの視座から』法藏館,2016年(編著).
『近現代日本の宗教変動――実証的宗教社会学の視座から』ハーベスト社,2016年(編著).
李賢京(イ ヒョンギョン)
生年 1979年
現在 東海大学文学部講師
〈主著〉
「韓国人ニューカマーとキリスト教会の変容――多文化共生の拠点へ」堀江宗正責任編集『現代日本の宗教事情〈国内編Ⅰ〉(いま宗教に向きあう 第1巻)』岩波書店,2018年(分担執筆).
「宗教は韓国人を幸せにするのか――セウォル号沈没事故を手がかりに」櫻井義秀編『しあわせの宗教学』法藏館,2018年(分担執筆).
(本書刊行時の情報です)