商品説明
高橋沙奈美 著
判型: A5 上製
頁数: 460
ISBN: 978-4-8329-6839-4
Cコード: C3014
発行日: 2018-02-28
●本書の特徴
1953年からペレストロイカ開始までの後期社会主義時代を中心に、社会主義体制下のロシア正教に対する社会心性・宗教性を、教会・修道院建築、イコン、フレスコ画他の美術作品の処遇から叙述する意欲作。ロシア語アーカイブ資料やインタビューなど貴重な資料も提供する。
●目次
はじめに
第1章 ソヴィエト・ロシアにおける宗教政策の展開と宗教の社会的変容
第2章 ソヴィエト・ロシアにおける宗教・社会主義・世俗化
第1節 神なき後の社会主義か ──宗教と世俗をめぐる概念について
第2節 後期社会主義時代のソヴィエト的公衆と宗教文化財への関心
第3節 小 括
第3章 宗教をめぐる学知の確立
第1節 第二次世界大戦以前のロシアにおける宗教研究の展開
第2節 科学的無神論によるソ連宗教研究の完成
第3節 科学的無神論とは何だったのか ──科学的無神論と無神論博物館の活動から
第4章 史跡・文化財保護運動の展開
第1節 教会建築が文化遺産となるまで
第2節 大祖国戦争からフルシチョフ体制までの文化遺産保護運動の展開
第3節 ブレジネフ時代の史跡・文化財保護運動
結 論
第5章 科学的無神論の展開と「信者」の相貌──ウラジーミル州でのフィールドワークを中心に
第1節 ソヴィエト・ロシア初のツーリズム・センター、スーズダリ
第2節 ウラジーミル・スーズダリ博物館と無神論プロパガンダ
第3節 信者共同体と博物館によるウスペンスキー聖堂の共同利用
第4節 「聖地」創造 ──農村部における信仰と無神論政策
結 論
第6章 ふたりのアンドレイ ──ルブリョフとタルコフスキー
第1節 ルブリョフ美術館の開館と一般公開
──1947年のモスクワ建都800周年と1960年のルブリョフ生誕600周年
第2節 「六〇年代人」にとってのルブリョフ、「六〇年代人」としてのタルコフスキー
第3節 映画『アンドレイ・ルブリョフ』におけるロシアとナロードのイメージ
──正義の使者でも殉教者でもなく
第4節 再び、ルブリョフへ
第7章 記憶への旅──社会主義の経験と景観表象の変容
第1節 「ロシアの北」という心象地理と場の聖性
第2節 「驚嘆すべきナロードの芸術」──キジー島における木造建築と民族文化の博物館
第3節 「神秘の地、ゲニウス・ロキ」──ソロフキの美と隠された痛み
第4節 語られぬ過去と懐古する語り──ヴァラーム博物館
結 論──聖地はいつも満員御礼
おわりに──「聖なる景観」……あいまいな愛国主義の聖性
あとがき
文献一覧
人名索引
事項索引
●著者紹介
高橋 沙奈美
静岡県浜松市生まれ,岐阜育ち
2003年 京都大学文学部現代文化学専攻卒業
2011年 北海道大学文学研究科地域文化学専攻博士後期課程学位取得(学術博士)
現 在 北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター 助教
著 書 『ロシア文化の方舟』(共著),東洋書店,2011年
『ユーラシア地域大国の文化表象』(共著),ミネルヴァ書房,2014年,など