商品説明
北海道大学大学院文学研究科研究叢書 21
エリアーデの思想と亡命 ― クリアーヌとの関係において
奥山史亮 著
定価:9,020円(本体価格8,200円+税)
判型:A5 上製
頁数:330
ISBN:978-4-8329-6771-7
Cコード:C3014
発行日:2012-09-25
●本書の特徴
亡命の観点からエリアーデ思想を捉えかえす
本書はルーマニア語で書かれた政治的論説、書簡、短編小説集から、エリアーデの亡命者としての罪責意識や政治的思想を抽出し、それが宗教研究や文学創作の原動力となったことを明らかにする。エリアーデ思想の現代的意義を模索する。
●目次
緒言 各章の構成と意図
第1節 本研究の目的
第2節 研究の方法
第3節 各章の構成と意図
〔第1部 亡命者エリアーデの思想活動とエリアーデ宗教学〕
第1章 ポルトガル滞在期におけるエリアーデの思想形成
第1節 問題の所在
第2節 ポルトガル滞在期におけるエリアーデの『日記』
第3節 「宗教学者エリアーデ」の誕生――『宗教学概論』と『永遠回帰の神話』
第4節 小結
第2章 ルーマニアに対するエリアーデの罪責意識と宗教理論の形成
第1節 問題の所在
第2節 ルーマニア民族の「精神」
第3節 家族へ宛てたエリアーデの書簡
第4節 贖いとしての創造的活動――「ロシア化」と『永遠回帰の神話』
第5節 小結
第3章 亡命者エリアーデの思想におけるエリアーデ宗教学
第1節 問題の所在
第2節 ルーマニアの民族的「精神」に基づく文化活動の提唱
第3節 民族主義に対するエリアーデの批判
第4節 エリアーデ宗教学における「宇宙的キリスト教」と「遊牧民的宗教」
第5節 小結
〔第2部 亡命者エリアーデの思想活動とエリアーデ文学〕
第4章 エリアーデ文学をめぐるエリアーデとクリアーヌの対話
第1節 問題の所在
第2節 エリアーデとクリアーヌの関係
第3節 クリアーヌのエリアーデ文学論
第4節 生の了解としての解釈学
第5節 小結
第5章 エリアーデ文学における「精神」概念に関する考察
第1節 問題の所在
第2節 戦後の作品における「精神」の用例
第3節 戦前の作品における「精神」の用例
第4節 ルーマニア人亡命者組織において提示されたエリアーデの文学論
第5節 小結
〔第3部 エリアーデとクリアーヌの関係〕
第6章 鉄衛団運動をめぐるエリアーデ批判とクリアーヌ
第1節 問題の所在
第2節 エリアーデに対するイエルサレムからの批判
第3節 エリアーデとクリアーヌの『往復書簡』
第4節 エリアーデとクリアーヌの中断された対話
第5節 ルーマニア人亡命者組織でなされたクリアーヌによる鉄衛団への言及
第6節 亡命者エリアーデの思想とエリアーデ宗教学
第7節 小結
第7章 ルーマニア社会主義政権との闘争におけるエリアーデとクリアーヌ
第1節 問題の所在
第2節 1989年以前におけるクリアーヌの政治的言論活動
第3節 1989年以後におけるクリアーヌの政治的言論活動
第4節 クリアーヌの政治的言論と宗教理論
第5節 政治的言論におけるエリアーデとクリアーヌの比較
第6節 小結
第8章 クリアーヌからみたエリアーデ宗教学批判の再考
第1節 問題の所在
第2節 エリアーデに対する反抗者としてのクリアーヌ
第3節 エリアーデとクリアーヌによるルーマニア・フォークロア研究
第4節 小結
結言
和訳資料 『エリアーデ—クリアーヌ往復書簡』からの抜粋
文献解題
参考文献
あとがき
書名索引
人名索引
●著者紹介
奥山 史亮(オクヤマ フミアキ)
2011年 北海道大学大学院文学研究科博士後期課程修了 博士(文学)取得
日本学術振興会特別研究員を経て
現在 北海道大学大学院文学研究科専門研究員
〈主要論文〉
「エリアーデ文学における宗教思想:クリアーヌのエリアーデ文学論を通して」『宗教研究』第358号、日本宗教学会、2008年、1-24頁.
"The Exile Eliade and His Concept of "Religion", " in ANALELE STIINTIFICE ALE UNIVERSITATII #ALEXANDRU IOAN CUZA" DIN IASI, 2009, pp.95-102.
「ポルトガル滞在期におけるエリアーデの思想形成」『哲学年報』第58号、北海道哲学会、2011年、21-43頁.
(本書刊行時の情報です)