商品説明
象徴機能と物象化 ー 人間と社会の時代診断に向けて
見附陽介 著
定価:6,600円(本体価格6,000円+税)
判型:A5 上製
頁数:350
ISBN:978-4-8329-6756-4
Cコード:C3010
発行日:2011-09-30
●本書の特徴
代理母,解離性障害,全体主義言語などさまざまな物象化の場面を追いながら,物象化の一般的作動モデルとそこにおける象徴機能の働きを解明する。同時にA. ホネットの議論をもとに非物象化の基準として人間学的な「原コミュニケーション」モデルを提示する。
●目次
序章
第1節 主題設定
第2節 本論の構成
〔第1部 物象化のいくつかの類型〕
第1章 人間の物象化
第1節 人間の商品化/道具化
第2節 症候的物象化
第2章 社会的関係の物象化
第1節 社会の物象化
第2節 記号の物象化
〔第2部 物象化の理念型〕
第1章 原コミュニケーション(Urkommunikation)――非物象化の人間学的モデル
第1節 ホネットの物象化論
第2節 実存哲学的基底――承認、我-汝、ケア
第3節 ホネット物象化論の可能性と限界
第2章 機械としての社会――物象化の社会的モデル
第1節 ルカーチの物象化論――「機械化」と「比喩としての機械化」
第2節 役割行為と制度的物象化――廣松渉の役割存在論によせて
第2章のまとめ
第3章 モノローグと距離化――物象化の記号的モデル
第1節 バフチンの物象化論
第2節 象徴的距離化――眼差しと戦争について
第3章のまとめ
第4章 象徴機能と物象化
第1節 アドルノの同一性批判――社会的モデルと記号的モデルをつなぐ同一化原理について
第2節 象徴的受胎――同一化と象徴機能について
第3節 物象化の理念型
結論 我々はなぜ物象化から逃れられないのか
あとがき
参考文献一覧
事項索引
●著者紹介
見附 陽介(ミツケ ヨウスケ)
1979年 北海道広島町(現北広島市)に生まれる
2010年 北海道大学大学院文学研究科博士後期課程修了 博士(文学)
現在 北海道大学大学院文学研究科専門研究員・札幌大谷大学非常勤講師
〈主論文〉
「M.M.バフチンとS.キルケゴール――対話と実存について」『ロシア語ロシア文学研究』(2010),42:41−48.
「疎外論の現在――「我有化(Aneignung)」モデルの可能性について」『理想』(2010),685:133−142.
「M.M.バフチンの対話理論における人格とモノの概念――C.フランクとの比較の観点から」『スラブ研究』(2009),56:63−89.
「アドルノにおける認識批判と社会批判――同一性批判の社会哲学的展開について」『倫理学年報』(2009),58:217-230.
「A.ホネットの物象化論――その可能性と限界について」『社会思想史研究』(2008),32:140-157.
など
(本書刊行時の情報です)