商品説明
北海道大学大学院文学研究科研究叢書 3
藝術解釈学 ― ポール・リクールの主題による変奏
北村清彦 著
定価:6,600円(本体価格6,000円+税)
判型:A5 上製
頁数:310
ISBN:978-4-8329-6391-7
Cコード:C3010
発行日:2003-05-10
●本書の特徴
現代哲学の第一人者であるポール・リクールの思惟を敷衍し,藝術理解の可能性を論じた本書は,リクール解釈学を生産的に受容する一つの方向性を示すとともに,今日の美学・藝術学の領域を大きく切り開く野心的な試みとなっている。美学・藝術学の新しい可能性を提起する一冊。
●目次
主要引用文献略記号
序論 展望と視座
第1節 本書の目的と準線
第2節 主体の哲学としての解釈学
第3節 リクール解釈学への視座
小結
〔1 藝術作品の位相〕
第1章 生命と言語――象徴と藝術作品
第1節 リクールの問題圏
第2節 構造化された無意識
第3節 解釈学的実在としての無意識
第4節 象徴としての藝術作品
小結
第2章 言語的想像力――隠喩と藝術作品
第1節 リクール解釈学の範疇――意味と指標
第2節 テクスト解釈の課題
第3節 詩的テクストと隠喩
小結
第3章 物語る人間――物語と藝術作品
第1節 物語の意味
第2節 アナール派の歴史認識
第3節 文学の現在
第4節 物語の指示
第5節 ミーメーシスの循環
第6節 ミーメーシス概念の現代性
小結
〔2 藝術経験の観想〕
第4章 美的価値について――同意の地平への参画を目指して
第1節 解釈における内在的基準としての価値意識
第2節 価値の創造としての解釈
第3節 世界の構造としての価値意識
小結
第5章 美的距離について――解釈の存在論的条件として
第1節 美的問題としての「距離」
第2節 藝術における距離の諸相
第3節 バルーの「心理的距離」の概念
第4節 美的意識の形成
小結
第6章 美的知識について――コスモロジー・シンボリズム・パフォーマンス
第1節 知識の現在
第2節 臨床の知と美的知識
第3節 美的記号の多義性
第4節 共感の想像力
小結
第7章 美的倫理について――イマージュと共同体
第1節 ポストモダンにおける美的スタイルと美的倫理
第2節 イマージュの力
第8章 美的人間について――内田百閒を例として
第1節 物語的自己同一性について
第2節 自己同一性とスタイル
小結
結語
あとがき
事項索引
人名索引
●著者紹介
北村 清彦(キタムラ キヨヒコ)
1955年生まれ
1985年 京都大学大学院文学研究科美学美術史学専攻博士後期課程研究指導認定退学。同年京都大学文学部助手
1987年 島根大学法文学部助教授
1996年 北海道大学文学部助教授を経て,2000年より現職
現在 北海道大学大学院文学研究科教授 博士(文学)
専門 美学・藝術学
〈主論文〉
芸術の理論と歴史(共著,思文閣出版,1990).
De la distance esthea'tique(AESTHETICS, no.5, 1992).
芸術学フォーラム 第2巻 芸術学の射程(共著,勁草書房,1995).
芸術学を学ぶ人のために(共著,世界思想社,1999).
Aesthetics and Cosmology (Aesthetics of Transhumanity—Beauty, Nature, Universe—, International Yearbook of Aesthetics, vol.5, 2001).
An Aesthetics of Matter (in collaboration with Kitamura Tomoyuki, Aesthetics & Chaos—Investigating a Creative Complicity—, Trauben, Torino, as International Yearbook of Aesthetics, vol.6, 2002).
美術史を語る言葉−22の理論と実践(共訳,ブリュッケ,2002).
など
(本書刊行時の情報です)