商品説明
ドイツ観念論における「自律思想」の展開
田村一郎 著
定価:4,950円(本体価格4,500円+税)
判型:A5 上製
頁数:348
ISBN:978-4-8329-5331-4
Cコード:C3010
発行日:1989-01-25
●本書の特徴
ドイツ観念論を貫く,”内なる「ア・プリオリな原理」による人間の「自律性」の基礎づけ” を「自律思想」として位置付け,その流れを考究した労作.たんなる「論理」を超えた「心根」から思想を理解すべく,社会・文化状況までも射程に入れて検討を加える.
●目次
はじめに
序論 ドイツ観念論と「自律思想」
1 「時代の子」としての思索
2 「ドイツの惨めさ」
3 「ドイツ観念論」とは
4 「自律思想」とは
5 「自律思想」重視の理由
6 ドイツでの「自律」観の伝統
〔第1編 カント〕
第1章 カントにおける「自律」の問題と「コペルニクス的転回」
第1節 『純粋理性批判』における「自律思想」の展開
第2節 『実践理性批判』への展望:「理念」の内容と意味の転換を手がかりに
第3節 デカルトによる「意志作用」の概念の導入
第2章 「自律」への「啓蒙」
第1節 「病める」時代と「啓蒙」
第2節 カントの時代の「病的」状況
第3節 カントの「自律」観の推移
第4節 カントの「啓蒙」観の推移
第5節 「道徳性」への期待と「類的視点」
第3章 カントとルソー:「自律思想」の一形成史として
第1節 ルソーとカントとのかかわりについての諸説
第2節 カントの叙述からの検討(その1):ルソーの名の出てくる箇所を中心に
第3節 カントの叙述からの検討(その2):「『美と崇高の感情についての考察』への覚え書」を中心に
〔第2編 フィヒテ〕
はじめに:なぜTathandlung か
第1章 Tathandlungとはなにか
第1節 Tathandlungの意味
第2節 Tathandlungの内容
第3節 「三原則」としての展開
第2章 「実践」理解の転換
第1節 「統覚」とTathandlung
第2節 「実践」理解の拡大
まとめ
〔第3編 ヘーゲル〕
第1章 ヘーゲルにおける「自由」観の構造
第1節 ドイツ観念論の中心テーマと共通前提
第2節 「ア・プリオリな原理」の絶対視と自由
第3節 ヘーゲルの「自由」観
第2章 ヘーゲルの「自由」観とルター
第1節 ヘーゲルの「自由」観の源泉
第2節 ルターの「自由」観
第3節 ヘーゲルのルター,プロテスタンティズム解釈と「自律」
むすび
初出一覧
略年表
索引
●著者紹介
田村 一郎(たむら いちろう)
1934年 北海道に生まれる
1957年 北海道大学文学部哲学科卒業
1963年 同大学文学研究科西洋哲学専攻科博士課程単位取得
現在 鳴門教育大学教授
著書に、宇都宮芳明編『西洋倫理思想:その歴史と形態』(共著,弘文堂)、熊谷直男編『哲学的思索の歩み』(共著,学術図書出版)ほか。
訳書に、G・リヒトハイム『マルクス主義:歴史的・批判的分析」(共訳,みすず書房)、B・ヴィルムス『全体的自由:フィヒテの政治哲学』(共訳,木鐸社)ほか。
論文に、「『自律』への『啓蒙』」「”Tathandlung"考」ほか。
(本書刊行時の情報です)