商品説明
近久武美著
判型: 四六 並製
頁数: 188
ISBN: 978-4-8329-7417-3
Cコード: C1036
発行日: 2019-03-25
●本書の特徴
われわれは子どもたちに安心できる環境を残すために何ができるか? それは自然エネルギーによる社会形成は十分に可能であり、さらに経済活性化にもつながることを理解することである。本書では、地球温暖化の危機的状況とそのメカニズム、容易に生じる貧富格差の理由、失業率と自殺率の相関から見た幸福論、社会コストと温室効果ガス低減に対する最適エネルギー構成、競争がますます激化している現代社会の間違いと教育の重要性などについて、一般読者にわかりやすく解説している。提案するエネルギー社会の形成のために、市民による理解の共有を目指そうとするものである。
●目次
はじめに—進む世界終末時計
第1章 迫りくる地球崩壊の兆し
気温の急上昇 / 地球大気の歴史 / 温暖化メカニズム / 地球温暖化の脅威 / 地球温暖
化防止の活動 / 人間のエゴイズム
第2章 原子力発電の行方
原子力発電所事故の恐怖と影響 / 原子力発電の抱える克服不可能なふたつの重大事項 /
原子力発電の危険と覚悟 / 政府の方針と原子力発電コスト / ミラクル技術に期待する
人間の性(さが) / 原子力発電所立地住民の選択と都会人の責任 / 原子力発電必要論
の変遷と共有可能な考え方
第3章 旧来型資本主義の限界
不安が広がる現代社会 / 統計学からみた格差社会 / 完全自由競争は人減らし競争 /
健全な資本主義社会形成に有効な再生可能エネルギー技術
第4章 幸福論と経済活性化法
GDPの向上により、果たして我々は幸福になったか / 幸福とは何か / サービスと対
価からみた雇用論 / 国内経済活性化のための経済考察 / 価格が高いことは必ずしも悪
いことではない
第5章 自然エネルギーの可能性
再生可能エネルギー / 再生可能エネルギーの導入可能量 / 北海道をモデルとした太陽
および風力エネルギーの導入量試算 / 変動を含めた自然エネルギー導入可能量の試算 /
WWFジャパンによる脱炭素社会に向けた長期シナリオレポート
第6章 自然エネルギーの貯蔵技術と水素社会
電力貯蔵技術 / バックアップに有力なガスタービン発電と二酸化炭素フリー燃料 / 水
素社会 / さまざまな広域電力融通
第7章 地域協調に基づいた有望な省エネルギー技術
コージェネレーションおよびヒートポンプ技術 / コージェネレーションが普及しない
理由 / 分散協調型コージェネレーションネットワーク概念 / 大型地域熱電併給との比較
第8章 日本のエネルギー政策とエネルギー先進国ドイツ
日本のエネルギー政策の変遷 / 長期エネルギー需給見通し / 電力・ガスの自由化と発
送電分離計画 / ドイツの原子力発電政策と再生可能エネルギー / ドイツにおける発電
単価の変遷 / 政治を動かす国民性の差異
第9章 新時代に向けたエネルギー政策
雇用創出効果分析 / 近世ヨーロッパのルネサンスと現代社会 / エネルギー構成の変革 /
新エネルギーシステム論 / 持続可能な経済発展 / 変革のための新たな仕組みづくり /
具体的エネルギー政策の提案 / 炭酸ガス削減のためのもっとも容易な世界的合意形成
法の提案
第10章 豊かな社会を築くための教育
雇用を重視した発想の転換 / 社会ルールの必要性 / ガラパゴス化社会における教育の
重要性 / 近視眼的教育の危うさ / 重要な怠けものアリ
文献
おわりに
●著者紹介
近久 武美
1954年 北海道石狩郡当別町に生まれる。
北海道大学大学院工学研究科博士課程修了 工学博士(北海道大学)
1982年から北海道大学工学部機械工学科において講師、助教授、教授を経て、
現在、北海道大学大学院工学研究院エネルギー環境システム部門特任教授
研究分野:機械工学、熱工学、内燃機関、燃料電池