商品説明
桜井泰憲・大島慶一郎・大泰司紀之編著
判型: B5 上製
頁数: 500
ISBN: 978-4-8329-8208-6
Cコード: C3045
発行日: 2013-02-28
●本書の特徴
オホーツク海をめぐる海洋物理・海洋化学・海洋生物学,水産学および海獣類・鯨類・鳥類の生態などについて詳述する。オホーツク海をひとつの海洋生態系としてとらえ,各分野各分類群などを総合的に,図表写真を数多く使ってカラーでビジュアルに取りまとめた。
●目次
まえがき
I 流氷の海をめぐる海洋物理化学
1 オホーツク海の循環と温暖化・流出油
2 環オホーツク海域の物質循環と生物生産
3 オホーツク海の長期変動
4 オホーツク海及び親潮域における物質循環のモデリング
5 鉄が結ぶ「巨大魚附林」——アムール・オホーツクシステム
II 海洋生態系と魚類・漁業
1 「ESSAS,亜寒帯海洋生態系研究プロジェクト」の概要
2 オホーツク海における気候海洋学的イベントと魚類の資源変動に対するいくつかの考察
3 親潮生態系の生物生産と漁業資源——オホーツク海との関わり
4 北海道オホーツク海沿岸における漁業の現状とその果たす役割
5 サハリン沿岸の日本海及びオホーツク海における気候トレンドと
外洋性魚類の種組成並びに豊度の長期変動
6 北海道産サケ類の持続的利用と保全
7 サハリン—千島周辺地域におけるカラフトマスとシロザケの野生魚及び
ふ化場魚の再生産並びに漁獲量
8 日本系シロザケの生命線オホーツク海——日本とロシアの架け橋
9 生態系ベースの持続的漁業——知床世界自然遺産を例として
10 オホーツク海南西部と国後島と択捉島沿岸におけるスケトウダラの分布特性と資源動向
11 国後・択捉島周辺海域における底生魚の種構成及び資源構造——トロール調査の結果
12 気侯変動とそのオホーツク海の生態系への影響
コラム1 根室海峡のスケトウダラ底刺し網は優れた資源管理型漁具
III 海生哺乳類I 鯨類
1 オホーツク海における鯨類——日本・ロシア共同調査の結果
2 オホーツク海における鯨類の食性と生態系モデリング
3 北海道東部及び北方四島におけるシャチの移動
4 北西太平洋鯨類捕獲調査の現状と成果
5 鯨類総括——オホーツク海における日露共同鯨類資源研究の将来展望
IV 海生哺乳類II トド・アザラシ類
1 ロシア海域におけるトドの資源動態
2 北海道におけるトドの越冬生態と資源管理
3 オットセイの資源動態と回遊生態
4 オホーツク海に生息する鰭脚類の過去と現在
5 サハリンや千島列島周辺でのアザラシ類によるサケ・マスの捕食2009
6 ゴマフアザラシの近年の生態変化と海洋生態系への影響
コラム2 北海道・千島列島周辺におけるゼニガタアザラシの資源動態
V 海鳥と希少猛禽類
1 オホーツク海の海鳥類の分布と食性
2 日露共同オオワシ・オジロワシ調査の成果と北海道の越冬状況
3 オホーツク海北部におけるオオワシの過去20年間のモニタリング結果
4 サハリン北部のオオワシ個体群の現状と開発地域における保全の展望
5 北海道におけるオオワシへの脅威と保護の取り組み
6 北海道におけるオジロワシの繁殖の現状と保全上の課題
7 シマフクロウの保護と研究の現状,将来
8 チャイボ湾周辺の石油・天然ガス開発地域における鳥類多様性の保護
VI 陸生哺乳類 ヒグマとコウモリ類
1 ヒグマ研究におけるユーラシア東部の重要性とサケとクマがつなぐ海と森
2 ロシア極東のヒグマ
3 北海道及び周辺地域におけるヒグマの遺伝的構造
4 国後島・択捉島のヒグマ——特に白いヒグマについて
5 ロシア極東地域のコウモリの分布
6 北海道東部と国後島のコウモリ類
7 北海道のコウモリ類とその保全について
VII 生物多様性保全のためのデータベース作りと保護区管理
1 オホーツク海及び沿岸陸域の生態系並びに生物多様性保全のための統一データベース作成に
ついて
2 知床世界自然遺産地域の管理
3 シホテアリン世界自然遺産地域の管理
VIII ロシアとの共同研究と今後の課題
1 日露米共同観測により一挙にわかってきた海洋循環・物質循環
2 アムール・オホーツクコンソーシアムの設立とその意義
3 北海道の水産試験場とサハリン漁業海洋学研究所との研究交流
4 オホーツク海における漁業資源の日露共同調査
5 日露連携による鯨類資源共同研究と管理の今後
コラム3 国後・択捉・色丹及び歯舞群島における生態系共同調査
6 アザラシ類調査のこれまでの成果と日露の今後の課題
7 鳥類の日露共同研究における今後の課題
8 ヒグマを通じた日露環オホーツク生態系研究の今後
9 コウモリ類の日露共同研究の状況とこれからの課題
10 オホーツク生態系保全のための地理情報システムの活用について
11 オホーツク生態系保全の観点から見た保護区の管理について
12 オホーツクと海洋保全生態学
索 引
●著者紹介
桜井 泰憲
1950年 岐阜県高山市に生まれる
1981年 北海道大学大学院水産学研究科博士課程単位取得退学
現在 北海道大学大学院水産科学研究院海洋生物資源科学部門教授
水産学博士(北海道大学)
専門 水産学・海洋生態学,特に気候変化に応答するタラ類・イカ類の資源変動に関する研究
水産海洋学会「宇田賞」(1999年),日本水産学会「進歩賞」(2001年),環境保全功労賞(2012年)など受賞。海洋保全生態学(講談社,共編)など著書多数
大島 慶一郎
1960年 北海道釧路市に生まれる
1986年 北海道大学大学院理学研究科博士後期課程途中退学 理学博士(北海道大学)
現在 北海道大学低温科学研究所水・物質循環部門教授
専門 海洋物理学・極域海洋学,特に高緯度海域の海洋循環と海洋海氷相互作用に関する研究
第32次日本南極地域観測隊隊員として南極昭和基地にて越冬(1990〜1992年)。日本海洋学会「岡田賞」(1996年),日本気象学会「堀内賞」(2008年)など受賞
大泰司 紀之
1940年 公主嶺(旧満州国)に生まれる
1964年 北海道大学獣医学部卒業 獣医学博士(北海道大学)
現在 北海道大学名誉教授・北海道大学総合博物館資料部研究員・NPO法人 北の海の動物センター会長
専門 比較解剖学・進化系統分類学・動物地理学・保全生物学,特にシカ類の動物地理,知床・北方四島の保全生物学的研究
環境大臣表彰(2008年),日本哺乳類学会賞(2010年)など受賞。知床の動物(北海道大学図書刊行会,共編),知床・北方四島(岩波新書,共著)など著書多数