商品説明
佐久間敏雄・梅田安治編著
判型: A5 ソフトカバー
頁数: 256
ISBN: 978-4-8329-9731-8
Cコード: C3040
発行日: 1998-03-25
●本書の特徴
土の科学は,19世紀に農学・林学の一分野として発展してきた.そして今や,それはかつてないほど幅広くなり,大気圏の科学や工学あるいは環境科学の関連分野と新しいネットワークを形成しながら急速に展開しつつある.19人の第一線の研究者が,さまざまな視点から土の科学を語る.
●目次
はしがき
第I部 土を科学する——土の科学を築いた人々………佐久間敏雄
1.土の認識・東と西
2.有機栄養説から無機栄養説へ
3.生態的土壌観の成立
4.光芒の1920年代
5.土壌物理学と土質工学の展開
6.人間環境としての土への理解
第II部 土の分類学——土を分ける
第1章 土のなりたち………和田信一郎
1.不均一系としての土
2.土の固相の構成
3.土の粘土画分の物質
第2章 世界の土、日本の土………谷山一郎・大塚紘雄
1.世界の土
2.日本の土
第III部 土と農業—農業の基盤としての土
第1章 土と植物………波多野隆介
1.地球の歴史にみる土と植物
2.元素循環と植物吸収
3.気候連鎖と有機物の蓄積
4.植物生育に必要な土壌の厚さ
第2章 土をつくる動物………渡辺弘之
1.土のなかの動物
2.土壌動物、その数
3.土壌動物の土壌生成へのはたらき
4.土壌改良へ土壌動物のたすけを借りる
第3章 焼畑・移動耕作の秘密——アフリカ・サバンナ帯を例として………荒木 茂
1.ミオンボ林
2.ミオンボ林地帯に展開する焼畑
3.チテメネ、なぜ焼くのか?
4.サバンナの比較焼畑論
第4章 人為による土の変化——はてしのない戦い………佐久間敏雄
1.農耕文化の定着
2.土壌劣化
3.土壌侵食——土壌劣化の最大の要因
4.砂漠化=複合土壌劣化と水環境
5.生態系の異端児——人間
6.その他の土の劣化
第5章 乾燥地農業のアキレス腱——塩漬けの土………松本 聰
1.乾燥地土壌のおいたち
2.乾燥地における伝統的農業形態(ドライファーミング)の思想と実践
3.乾燥地における近代大規模灌漑農業がもたらす土壌荒廃——その機構と実態
4.ドライファーミングに何を学び、現代にどのように生かすか
第6章 土の保全——持続可能な農業の基盤………長澤徹明
1.表土流出の今日的意味
2.表土の侵食流亡と対策
3.河川の流況と浮流土砂
4.水食激甚地域をみて——中国黄土高原
第7章 農耕地の耕うん………髙井宗宏・端 俊一
1.耕うんの目的
2.世界を巡ったプラウと犂のみち
3.日本での犂とプラウの発達
4.プラウとロータリーの耕うん方式
5.耕起作業による土の変形と破壊
6.プラウにかかる土の抵抗
7.省力耕うん技術
第8章 水田——環境と農業の調和………関矢信一郎
1.水田のなりたい
2.水田の土、畑の土
3.環境保全と水田
4.水田と食料
第IV部 土と人間——生活の場としての土
第1章 生活者のための国土計画………佐久間敏雄
1.都市と田舎
2.美しい都市の建設
3.都市の緑を支える土
4.田舎の再生
5.生活者のための国土計画
第2章 地盤——揺らぐ大地・沈下する大地………三田地利之
1.地盤災害——土の強さと変形
2.沈む大地——地盤の圧密現象
3.液状化——土の動的性質
第3章 崖崩れの脅威とその対応………新谷 融
1.土砂災害と崖崩れ
2.なぜ崩れるのか
3.崖崩れ災害は予防できるのか
第V部 土の健康——より良い環境のために
第1章 土は生化学的廃棄物処理場………木村眞人
1.突然、土中の生物がいなくなったら?
2.地球上における炭素、窒素の循環と土中の生物
3.土中における炭素、窒素の循環と土中の生物
4.土中の微生物、微生物の生育環境としての土
第2章 母なる大地………袴田共之
1.地球温暖化と土壌——母なる大地の包容力
2.酸性降下物と土壌——母なる大地の堪忍袋
3.物質循環と土壌——疲れた母をみたくない
第3章 フィルタとしての土——地下水を汚染から守る関所………中野政詩
1.イオン交換による浸透水の浄化
2.ふるい作用による水の汚濁物質のろ過
3.土中における水の下降移動の形態
第4章 土壌圏と大気圏………陽 捷行
1.土壌の呼吸作用
2.土壌のガス組成とガス代謝
3.土壌のガス代謝と土壌—大気間のガス交換
4.大気組成の保全と土壌のガス代謝管理
第5章 土は人間・環境系の「要」………佐久間敏雄
1.土——物質循環の要
2.土の浄化機能と環境容量
3.土にかかわる環境コスト
4.共同負担原理——土も水も公共の資源
引用文献
参考図書
索 引
●著者紹介
佐久間 敏雄
北海道大学名誉教授
梅田 安治
北海道大学名誉教授